進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy:PSP)
■疫学 |
- パーキンソン症候群の1つ。
- 人口10万人あたり5人。
- 50-60歳代に転倒などの歩行障害で発症することが多い。
- タウオパチーの1つ。
- サブタイプがたくさんある。典型的なPSP(Richardson syndrome)は1/4程度と言われる。
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■症状 |
- 転倒などの歩行障害で発症することが多い。動作緩慢、固縮などパーキンソン病に類似する。
- 眼球頭囲反射が保たれる核上性眼球運動障害が特徴的で、垂直方向の眼球の運動、特に下方注視が困難になる。
- パーキンソン症状+認知症。
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■病理 |
- Luys体、中脳上丘、中脳中心部灰白質、黒質緻密質、赤核、淡蒼球、歯状核などに神経細胞の脱落、神経原線維変化を認める。
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■検査 |
MRI、脳血流SPECT |
PSPの画像所見
画像診断 |
脳血流SPECT |
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MRI |
- 脳幹部の萎縮、特に中脳被蓋部〜上丘の萎縮を認め、中脳水道〜第3脳室後部の拡大が認められる。
- 矢状断が有用。正中矢状断像における中脳被蓋の萎縮が唯一の所見であることが多く、ペンギンシルエットサイン・ハチドリサイン(penguin silhouettesign、hummingbird sign)はPSPに特徴的な形態学的変化を反映。
- 横断像では、ミッキーマウスの徴候やアサガオの徴候(Morning glory sign)を認めることがある。
- 脚間槽から中脳水道までの距離を測定した場合、正常では10mm以上であり、9mm以下では異常で萎縮と診断。
- 前頭葉の萎縮も高頻度に見られる。
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※多系統萎縮症や parkinson病ではこのサインを認めず、鑑別に有用。 |
中脳被蓋とは
上のように中脳被蓋は中脳水道から脚間窩までの腹側を、中脳蓋とは中脳水道よりも背側部分を指す。
関連記事:脳幹の解剖と中脳被蓋、橋底部、橋被蓋の長さの正常範囲は?
動画でまなぶPSP
▶キー画像
症例1
中脳被蓋に萎縮を認めています。
矢状断像でより明瞭で、いわゆるペンギンシルエットサイン・ハチドリサイン(penguin silhouettesign、hummingbird sign)を呈しています。
症例2
こちらの症例でも中脳被蓋に萎縮を認めています。
矢状断像でより明瞭いわゆるペンギンシルエットサイン・ハチドリサイン(penguin silhouettesign、hummingbird sign)を呈しています。
症例 80歳代男性 発話、歩行、眼球運動、認知機能障害の進行
引用:radiopedia
中脳水道の後縁に水平線を引き、水平線の交点から被蓋と大脳脚の間の「くぼみ」まで引いた線よりも中脳が陥凹しており、Morning glory signが陽性でPSPを疑う所見。
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