Wilson病(肝レンズ核変性症:hepatolenticular degeneration)
- 稀な常染色体劣性遺伝性の先天性銅代謝異常。細胞内銅輸送蛋白をコードするATP-7B遺伝子異常。
- 銅が組織に沈着し、肝レンズ核変性症として知られている。
- 肝硬変と基底核の変性、角膜のKayser Fleischer輪が特徴的。
- 組織の銅の沈着の程度により、肝型、神経型、混合型に分けられる。
- 症状は、錐体外路症状(羽ばたき振戦、固縮、ジストニア、構音障害)、精神障害、錐体路症状、肝硬変症状。ヒマワリ白内障。
- 10-25歳に多発し、20歳までに80%以上が発症する。
- 男性にやや多い。
- 尿中の銅が上昇し、血中のセルロプラスミン値は低下する。
- 治療は、腸管からの銅の吸収を抑制するために、低銅食、硫化カリウム経口や、尿中の銅の排泄を促進するために、Dーペニシラミンの経口投与。
Wilson病の画像診断
- CTでは正常のことが多い。
- MRIでは脳幹部、小脳、内包後脚、大脳白質、基底核、外包、視床、視床下部にT2WIで高信号を認め、肝障害がある場合、被殻、淡蒼球にはT1WIで高信号を認める。
- 特にT2WIで両側外包に認める円弧状の高信号域は特徴的。
- 中脳では、赤核、黒質網様部外側、上丘以外にT2WIで高信号を認め、face of the giant panda signと呼ばれる。
両側基底核外側がT2WIで線状高信号を示す疾患
- 多系統萎縮症パーキンソン型(MSA-P)
- Wilson病
- CADASIL
- PRES
- ハンチントン病
- 非ヘルペス性傍腫瘍症候群性脳炎
など。
症例 20歳代男性 てんかん発作
引用:radiopedia
T1WIで両側淡蒼球に異常な高信号を認めています。
T2WIでは基底核には異常な高信号は認めません。
症例 20歳代男性 4ヶ月で進行する2年に及ぶ異常行動、歩行困難
引用:radiopedia
T1WIで両側淡蒼球に異常な高信号を認めています。
T2WI/FLAIRでは両側の尾状頭部、被殻、および視床に対称的な高信号を認めます。