膝関節周囲の滑液包(Bursae)の種類と部位

膝関節周囲の滑液包としては、

などがある。

膝蓋上滑液包(suprapatellar bursa)

  • 関節腔と大きく交通あり、膝蓋上嚢と呼ばれることもある。
  • 関節痛と交通があるため炎症がなくても関節液の増加に伴い液貯留を認める。
  • 胎生期には膝蓋上隔壁(suprapatellar septum)により膝蓋上嚢と膝関節腔は分離しているが、この隔壁が退縮して膝蓋上ヒダとなる。このヒダの残り方にはvariationがある。

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深膝蓋下滑液包(deep infrapatellar bursa)

  • 健常者においても生理的に少量の液貯留を認めることがある。
  • 膝蓋上滑液包、深膝蓋下滑液包以外の滑液包は潜在的な空間であり、健常人ではMRIで液貯留を認識できない。

症例 70歳代男性

深膝蓋下滑液包に生理的な液貯留を認めています。

鵞足滑液包(pes anserine bursa)

  • 鵞足滑液包は鵞足と内側側副靱帯(MCL)の脛骨付着部の滑液包で関節腔との連続性はない。
  • 鵞足滑液包炎(pes anserine bursitis)は肥満体やスポーツ選手、内側側副靱帯損傷後などで見られる。

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膝蓋前滑液包(prepatellar bursa)

  • 膝蓋前滑液包は3層構造であるが画像でどの領域に液貯留が存在しているかの判断は難しい。
  • 膝蓋前滑液包炎(prepatellar bursitis)は長時間膝をつくなど、膝蓋骨と皮膚の間に存在する関節包への過剰な刺激が原因とされる。
  • そのため膝をつく職業に見られるためhousemaid’s kneeとも呼ばれる。
  • MRI画像上、慢性刺激により滑液包の壁は厚く不整であることが多い。

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参考文献:画像診断 Vol.35 No.11 臨時増刊号2015 P136-139

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