そもそも腸脛靭帯(iliotibial ligament)とは?

  • そもそも腸脛靭帯とは、腸骨稜から大腿外側を通り、脛骨外側のGardy結節に至る長大な靭帯。
  • 外側支持組織の重要な構造の一つ。
  • 外側側副靱帯は3層構造で、最も表層にあるのが腸脛靭帯、第2層が大腿四頭筋の腱膜や外側支帯など、第3層に滑液包や外側側副靱帯がある。
  • MRIでは層同士が重なって腸脛靭帯のみを分離することは難しいが、後方の表層部分が腸脛靭帯に相当し、わかりにくい場合はGardy結節からたどるとよい。

腸脛靭帯をT2WI横断像で追ってみました。

腸脛靭帯のみを分離するのは難しいですが、おおよその腸脛靭帯の位置の連続画像はこちら

腸脛靭帯炎(tractus iliotibialis)/腸脛靱帯滑液包炎(infrailiotibial band bursitis)

 

  • 腸脛靱帯炎は腸脛靭帯滑液包炎や腸脛靭帯症候群(iliotibial band friction syndrome)とも呼ばれる。
  • 繰り返す膝の屈伸により腸脛靭帯ー大腿骨外側顆間の摩擦刺激による局所炎症像(friction syndrome)。ただし、この部の脂肪組織が挟まれることによるインピジメント障害とも考えられている。
  • Overuse syndrome(使いすぎ症候群)の1つ。
  • 長距離ランナーなどに認めるためランナー膝(runner’s knee)とも呼ばれる。
  • 膝の外側に痛みを認め、下り坂の走行で疼痛が増悪するのが特徴。

腸脛靭帯炎(tractus iliotibialis)/腸脛靱帯滑液包炎(infrailiotibial band bursitis)の画像所見

  • MRIのSTIRや脂肪抑制T2強調像の冠状断像において、腸脛靱帯と大腿骨外顆との間にある脂肪組織に、境界が不明瞭な信号上昇を認める。
  • 腸脛靱帯そのものに腫脹を認めるわけではなく、腸脛靱帯深部の浮腫や液貯留として認められる点に注意。腸脛靱帯に腫脹を認めている場合は外傷など腸脛靱帯炎以外を考慮する。
  • 大腿骨外顆の骨髄浮腫を伴うこともある。

症例 30歳代男性 長距離ランニング後に右膝外側の痛みあり。

MRIのSTIRの冠状断像において、腸脛靭帯の大腿骨側直下に浮腫性変化を示唆する異常な高信号を認めています。

腸脛靱帯炎と診断されました。

関連記事:膝関節周囲の滑液包(Bursae)の種類と部位

参考)

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