転移性卵巣腫瘍

  • 胃癌、大腸癌、乳癌からの転移が多い。
  • 転移性腫瘍で発症し、原発巣が見つかることも少なくない。
  • 両側性の卵巣腫瘍では常に転移の可能性を考える。
  • 原発巣により転移性卵巣腫瘍に画像的特徴があることがある。
  • 特に、大腸癌や虫垂からの転移性卵巣腫瘍は、多房性嚢胞性病変の形態を呈するため、卵巣原発の粘液性嚢胞性腫瘍との鑑別が困難なことがある。

Krukenberg tumor

  • ほとんどが、印環細胞癌(胃癌)からの卵巣転移。
  • 充実性、分葉状の腫瘤を形成することが多い。
  • T2WIで不均一な低信号を呈する。浮腫により高信号を示すこともある。
  • 造影効果は良好。

大腸癌からの卵巣転移の特徴

  • 多房性嚢胞性病変(ステンドグラス状の形態をとることが多い。
  • 内部は出血や壊死を伴い不均一な信号を呈することが多い。
症例 50歳代女性 直腸癌術後

ovarianmeta1 ovarianmeta2

虫垂腫瘍からの卵巣転移の特徴

  • 片側性の卵巣腫瘍ならば虫垂から近い右側が多いが、しばしば両側性。
  • 大腸癌同様に多房性嚢胞性病変を呈する。
  • 破裂により、腹膜偽粘液腫を形成することがある(腹膜偽粘液腫の原因は虫垂腫瘍原発が最多)
ステンドグラスパターンを呈しT2WI低信号部分を含む嚢胞性卵巣病変
  • 内膜症性嚢胞
  • 転移性卵巣腫瘍
  • 粘液性嚢胞腺腫/癌
  • 成熟嚢胞性奇形腫 → 典型的には皮脂腺より分泌された脂肪成分が脂肪抑制される。
  • ・カルチノイド → 成熟嚢胞性奇形腫と合併するのが典型的。
  • 卵巣甲状腺腫

乳癌からの卵巣転移の特徴

  • 小葉癌に多い。
  • 80%は両側性。
  • 他の腹部臓器にも転移を既に伴っていることが多い。弧発性は稀。
  • 大部分が充実性。嚢胞状になることは稀。
  • 基本的に小さな腫瘍で、5cm以上になることは稀。

ご案内

腹部画像診断を学べる無料コンテンツ

4日に1日朝6時に症例が配信され、画像を実際にスクロールして読影していただく講座です。現状無料公開しています。90症例以上あり、無料なのに1年以上続く講座です。10,000名以上の医師、医学生、放射線技師、看護師などが参加中。

胸部レントゲンの正常解剖を学べる無料コンテンツ

1日3分全31日でこそっと胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学んでいただく参加型無料講座です。全日程で簡単な動画解説付きです。

画像診断LINE公式アカウント

画像診断cafeのLINE公式アカウントで新しい企画やモニター募集などの告知を行っています。 登録していただくと特典として、脳の血管支配域のミニ講座の無料でご参加いただけます。