粘液性嚢胞性腫瘍(mucinous cystic tumor)
・粘液性腫瘍は表層上皮性・間質性腫瘍に分類され、悪性度により、
- 良性腫瘍→粘液性嚢胞腺腫
- 境界悪性腫瘍→粘液性嚢胞性腫瘍(境界悪性(低悪性度腫瘍))
- 悪性腫瘍→粘液性(嚢胞)腺癌
に分類される。
・粘液性腫瘍には組織学的に、豊富な細胞内粘液を有する上皮成分の構成により、内頸部型(endocervical type)、腸上皮型(intestinal type)、混合型(mixed type)がある。
・全卵巣腫瘍の2割程度を占める。
・粘液性腫瘍の7割は良性。
・30-60歳代の女性に多い。
・胚細胞腫瘍、中でも嚢胞性奇形腫や、Brenner腫瘍を合併することがある。
粘液性嚢胞性腫瘍の画像所見
・一般に多房性嚢胞性腫瘤(いわゆるstained glass appearance)の形態を呈する。まれに単房性のことあり。
・小さな結節状の充実部や肥厚した隔壁の有無をチェックする。ただし、隔壁が肥厚していなくても悪性の場合がある。
・房数の増加と悪性度に相関関係が報告されているため、多数の小さな房を認める場合は、境界悪性以上の可能性あり。
・粘液性嚢胞腺癌の場合、充実部位と嚢胞部位が混在を認め、しばしば充実部位では壊死を伴う。
・ただし、房内を充満する粘稠な液体がT2WIで低信号を呈することがあり、充実性腫瘍に類似することがあるので注意。
症例 50歳代女性
左卵巣は異常なし。右付属器に多房性嚢胞性腫瘤あり。明らかな壁在結節や充実性病変は認めない。隔壁に造影効果あり。手術の結果、粘液性嚢胞性腫瘍の境界悪性(borderline malignancy)であった。