卵巣甲状腺腫(struma ovarii)

  • 単胚葉性奇形腫。
  • 成熟奇形腫に甲状腺成分が含まれることがある。このうち、腫瘍全体もしくは肉眼で認めるような広範囲を占めるものを、卵巣甲状腺腫(struma ovarii)という。
  • 奇形腫全体の2.7%と稀。
  • 閉経前の中年女性に好発(平均44歳)
  • 95%が良性なので術前に診断される意義は大きい。
  • ホルモンを産生し、甲状腺機能亢進症を生じる頻度は低い。

卵巣甲状腺腫の画像所見

  • 多房性嚢胞性腫瘤+充実部、いわゆるstained glass appearanceを示す。嚢胞が寄り集まったような多嚢胞性腫瘍(個々の嚢胞が丸く、境界明瞭)。
  • 甲状腺コロイドを反映し、T1WI低〜軽度高信号、T2WI低信号、単純CTで高吸収(ヨードを含有するため)。
  • 単純CTで高吸収を示し、比較的頻度の高い石灰化と合わせ、診断の鍵となることがある。
  • T2WIにて著明な低信号を呈する嚢胞を含むことが多い。出血や甲状腺コロイドによる蛋白濃度・粘性の高さを反映したものと考えられている。
  • 充実成分を比較的豊富なことが多く、造影剤で増強される多血性腫瘍(hypervascular tumor)である。
  • I131シンチグラフィにて集積を認めた例が報告されており、鑑別診断に有用な場合があると考えられる。

症例 30歳代女性

引用:radiopedia

嚢胞性の左側付属器の塊が直腸子宮窩を占め、単純CTで一部高吸収を示しています。

T2WIではステンドグラス様の多房性嚢胞性病変を示し、一部は著明に低信号を示しています。

卵巣甲状腺腫(struma ovarii)と診断されました。

鑑別診断

  • 粘液性嚢胞腺腫をはじめとする、stained glass appearanceを呈する腫瘍すべて。ただし、頻度は圧倒的に粘液性嚢胞性腺腫が多い。
  • 逆に、頻度は少ないが、stained glass appearanceを見たときに本疾患を鑑別に挙げられるかが重要。
  • よくenhanceされ、CTで高吸収の充実性部分を含む場合には、卵巣甲状腺腫を考慮する。

T2WIで低信号を呈する卵巣腫瘤

  • 線維腫(Fibroma)
  • Fibrothecoma
  • Brenner腫瘍(充実部優位、遅延性の淡い増強効果、ホルモン産生や石灰化を呈するものあり)
  • 腺線維腫/嚢胞腺線維腫(adenofibroma/cystadenofibroma)
  • Sclerosing stromal tumor (充実部は不均一、早期濃染)
  • 卵巣甲状腺腫(Struma ovarii)(CTで高吸収、ゲル状内容物には増強効果なし)
  • 転移性卵巣腫瘍,Krukenberg tumor(軽度低信号、充実部は不整、壊死を伴う)
  • 内膜症性嚢胞 (T1WI高信号、shading)
  • 境界悪性嚢胞性腫瘍/嚢胞腺癌(厚い隔壁、乳頭状結節、卵巣を超えて進展)
  • 悪性リンパ腫

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