【胸部】症例4
【症例】70歳代女性
【主訴】発熱、意識障害
【現病歴】3日前より39℃の発熱を認めていた。2日前に近医受診したが、インフルエンザ迅速検査陰性であり、点滴治療されていた。1日前より、つじつまの合わないことを言ったり、独語があり、本日当院神経内科受診。SpO2低下、肺野に陰影を認め、当院呼吸器科紹介となる。
【生活歴】3年前よりインコを飼っている。1ヶ月前に温泉旅行あり。週に1度ジムでプールにいって風呂に入る。海外渡航歴なし。夫と2人暮らし。築43年の一軒家、大掃除はしていない。喫煙歴:never smoker、飲酒歴:なし。
【身体所見】BT 37.9℃、BP 116/67、HR 60台、呼吸数 16回/分、SpO2 96%(O2 4L)、呼吸音:両側中肺野で軽度のcoarse crackle認める。wheeze(-)、心音:整、no murmur、明らかな神経学的異常所見認めず。
【既往歴】神経鞘腫にて手術歴あり。気管支喘息。
【データ】WBC 3200、CRP 2.75、インフルエンザ迅速反応:A型陽性
画像はこちら
両側上下葉を中心に区域性に広がるすりガラス影〜一部浸潤影を認めています。
すりガラス影が主体です。
また、一部では気管支壁肥厚を認めています。
気管支肺炎のパターンで、すりガラス影が主体です。
かつインフルエンザA型陽性でWBCが上昇していないといったことから、まず考えるべきはインフルエンザ肺炎です。
- クラミジア・ニューモニエ抗体-IgG 0.59→陰性
- マイコプラズマ/PA <40
- オウム病クラミジア/CF <4
で、これらは否定されました。
また明らかな細菌の混合感染を疑う所見を認めず、結果的にインフルエンザ肺炎と診断されました。
診断:インフルエンザ肺炎
※意識レベルの低下として、インフルエンザ肺炎に伴う低酸素・高熱などが考えられました。入院後意識状態は改善し、その後も意識レベル低下は認めませんでした。
関連:
【胸部】症例4の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
現病歴、生活歴だけを見ると、ウイルス性肺炎や急性過敏性肺炎(住居、鳥関連)、レジオネラ肺炎を考え、画像所見から間質性肺炎も鑑別にあげてレジオネラ肺炎は外しました。ただし、主訴や血液データを加味して総合的に考えると、「インフルエンザ肺炎」を第一優先としました。
アウトプットありがとうございます。
多発するすりガラス影が特徴的ですね。
肺炎の鑑別表とインフルエンザ陽性からウイルス性肺炎の指摘はできましたが、まだ画像上で可能性のある疾患候補があまり浮かんできません。
肺野は腹部に比べて確定的ではなく、傾向やヒントをかき集めて総合的に判断する要素が大きいので難しく感じます。1つずつ症例を重ねていろんな思考ができるようになりたいです。
アウトプットありがとうございます。
>肺炎の鑑別表とインフルエンザ陽性からウイルス性肺炎の指摘はできました
まずは鑑別表から考えていきたいですね。
>肺野は腹部に比べて確定的ではなく、傾向やヒントをかき集めて総合的に判断する要素が大きいので難しく感じます。
そうなんです。画像でこれだ!とは言い切れない。むしろ全然言えない事もしばしばあります。だから難しいですね(^_^;)
だから腹部とかと比べると胸部は個人的にきら(略)
なんとなくウイルス性肺炎で,インフルエンザのせいだろうとは思いましたが,しっかり読影するためには多くの知識が必要だなと感じました.また復習です.
アウトプットありがとうございます。
インフルエンザ陽性ですし、インフルエンザのせいぽいですよね。
典型的なウイルス性肺炎の画像ですので、押さえておきましょう。
現状では、自分のレベルでは胸部シリーズはほぼ0からのスタートなので分からないことだらけですが、頑張ってついていきたいと思います。回答については当分「なんじゃこりゃ」的な回答しかできないと思いますが・・・。
でも、とても勉強になっています。
アウトプットありがとうございます。
>自分のレベルでは胸部シリーズはほぼ0からのスタートなので
そうなんですね。普段はMRIでしたよね確か。
何か教科書片手に取り組んでみてください。
オウム病と答えてしまい、回答を見るとインフルエンザ陽性と記載があり目を疑いました。紹介元の検査だけで思い込んでいました。最後にきちんと書いているのを見落としていました。インシデントレポートです。
アウトプットありがとうございます。
>インシデントレポートです。
いやいや、それは自分を責めすぎです(^_^;
今日もありがとうございます。
インフルエンザ陽性なのと表とにらめっこする事で今回は正解できました。胸部に関しては苦手意識を持ち続けていたのでもっと知識を蓄積したいです。
アウトプットありがとうございます。
>インフルエンザ陽性なのと表とにらめっこする事で今回は正解できました。
よかったです。ぜひこの機会に少し胸部の苦手意識がなくなりますように_(_^_)_
経過が非常に速く WBC上昇乏しく 比較的徐脈も疑われ ウイルス性肺炎や細胞内寄生菌によるものを疑い、
インフルエンザ肺炎を考えるがプールに行っておりレジオネラ肺炎を考慮。
意識障害も、レジオネラ肺炎にcompatibleであり、尿中レジオネラ迅速検査を行いたい。鑑別として 過敏性肺炎、マイコプラズマ、クラミドフィラとしたのですが、レジオネラ、過敏性肺炎との鑑別点は どこにあるのでしょうか?それともこの画像では鑑別できないので考慮すべきなのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>プールに行っておりレジオネラ肺炎を考慮。
そうですね。このエピソードからはレジオネラ肺炎も考えなくてはならないですね。
>レジオネラ、過敏性肺炎との鑑別点は どこにあるのでしょうか?それともこの画像では鑑別できないので考慮すべきなのでしょうか?
レジオネラ肺炎の特徴として
・大葉性肺炎(肺胞性肺炎)を来すことが多い(もちろん初期は気管支肺炎のパターンですが)。肺葉の膨隆(bulging)を認めることがある。
・陰影が急速に進行する。
・胸水を高頻度で認める。
といったものがあります。
今回は一部コンソリデーションも認めていますが、すりガラス影が主体で、レジオネラ肺炎としては特徴的ではありません。(もちろん否定はできません)
過敏性肺臓炎(通常遭遇することが多い亜急性期)は小葉中心性の淡いすりガラス影が特徴的ですので、今回の所見とは少し合いません。
ただし、もちろん画像だけでは否定できません。
日々精進さんのコメントと似たような内容かもしれませんが、私も比較的徐脈・WBC増加なし・インコ飼育歴・びまん性すりガラス影から、オウム病を疑いました。先生の記事等で調べましたが、オウム病との鑑別がどうしてもわかりません。
オウム病、クラミジア肺炎(オウム病を除く)の画像所見は本症例とは合わないのでしょうか。ご教授のほど宜しくお願い致します。
アウトプットありがとうございます。
>先生の記事等で調べましたが、オウム病との鑑別がどうしてもわかりません。オウム病、クラミジア肺炎(オウム病を除く)の画像所見は本症例とは合わないのでしょうか。
画像だけでは、これらは鑑別は難しいと考えます。
オウム病については、画像所見のまとまった報告はなく、
最近出版された、「困ったときの胸部画像診断 P31」によると、オウム病については、両肺に均一なすりガラス影〜網状影を示す。重症になると広範な浸潤影を呈する。
と記載があるのみで、実際の画像も掲載がありません。
クラミジア肺炎(オウム病除く)については、
・マイコプラズマ肺炎に類似するが、マイコプラズマよりも肺胞性肺炎のパターンを呈しやすい。
・淡い浸潤影が一葉のみに限局していることが多く、主として片側性で中下肺野に多い。
と記載があります。
今回は両葉にびまん性に気管支肺炎パターンですりガラス影として認めていますので、この点で画像的には、クラミジア肺炎ぽくないとは言えますね。
生活歴から、クラミジア肺炎やレジオネラ肺炎、過敏性肺炎なども鑑別に上がる症例でした。呼吸器感染症の画像パターンの図とインフルエンザ迅速検査陽性からインフルエンザ肺炎としましたが、実際の現場だと鑑別が色々挙がり大変だなと感じました
アウトプットありがとうございます。
>実際の現場だと鑑別が色々挙がり大変だなと感じました
おっしゃるとおりです。
インフルエンザ陽性で、インフルエンザウイルス肺炎に矛盾しないから、インフルエンザウイルス肺炎!!!
ではなく、みなさんが書かれている様なさまざまな疾患を除外した上で、結果的にインフルエンザウイルス肺炎であろうと診断した症例ですので、実際の現場ではあらゆる検査が行われています。
画像だけで言えるものではありません。
今回も大変勉強になりました。本当にありがとうございます。
①背景肺の透過性がやや下がっている気がしたので、間質性肺炎を鑑別に挙げたのですが考えなくてもよいでしょうか。背景肺の透過性は通常でもこの程度でしょうか。
②淡い浸潤影からは肺胞出血などを考える必要はないでしょうか?
③頭蓋内の基質的な疾患が合併している可能性は考えなくてもよいでしょうか。頭部MRIもご検討くださいといったレポートを書かれることはございますか?
画像診断には苦手意識を持っており、的外れな質問でしたら申し訳ないです…。
アウトプットありがとうございます。
>①背景肺の透過性がやや下がっている気がしたので、間質性肺炎を鑑別に挙げたのですが考えなくてもよいでしょうか。背景肺の透過性は通常でもこの程度でしょうか。
通常でこの程度です。もしかしたら少し含気不良があるのかもしれません。
>②淡い浸潤影からは肺胞出血などを考える必要はないでしょうか?
そうですね。肺胞出血も鑑別には挙がりますね。
ただし今回びまん性ですので、びまん性の場合は多くは全身性の疾患で起こる事が知られています。
具体的には、
Goodpasture症候群
特発性肺ヘモジデローシス
肺血管炎
膠原病
血液凝固障害
抗凝固療法中
などですね。
>③頭蓋内の基質的な疾患が合併している可能性は考えなくてもよいでしょうか。頭部MRIもご検討くださいといったレポートを書かれることはございますか?
例えば脳転移ぽいものを頭部MRIで見つけた場合に、脳転移が疑われるので、原発巣精査ください。と記載することはあります。
ただ今回、「つじつまの合わないことを言ったり、独語があり」という症状はありますが、それで頭部MRIが必要かどうかは、主治医(もしくはコンサルトされた神経内科医)が決めることですので、こちらから頭部MRIいかがでしょうか?的なことは記載しませんね。
現場は特にMRIは枠の問題がありますので、放射線科医としては安易なことは言えません(^_^;)
前回までの学習で
気管支肺炎=小葉中心=胸膜がスペアされる陰影と考えてしまい
区域性の要素ありと考えていました
気管支肺炎の増悪による像と気管支肺炎から区域性肺炎に移行している像の
見分けるポイントはどこなんでしょうか
そもそも すりガラス影で全く異なる 今回症例では疑わないとは
思い直しましたが、すみません。
アウトプットありがとうございます。
>気管支肺炎=小葉中心=胸膜がスペアされる陰影と考えてしまい区域性の要素ありと考えていました
今回は小葉中心性の細かい陰影ではありませんが、気道に沿った分布で、区域性に広がっています。
また胸膜直下も基本的に保たれています。
>気管支肺炎の増悪による像と気管支肺炎から区域性肺炎に移行している像の見分けるポイントはどこなんでしょうか
気管支肺炎から区域性肺炎に移行ではなく、気管支肺炎から非区域性肺炎に移行ですね。
非区域性の場合は、気道の領域では説明がつかないような横方向への肺胞を介した陰影の広がりを占めている場合に考えます。
通常ベターとした浸潤影として広がり、症例2の中葉のS5で見たような広がり方です。
一方で今回は区域性に気道領域に広がっています。一部炎症が強いところは浸潤影になっていますが、非区域性に広がっているとは言えません。
インコの飼育歴に引っ張られて、クラミドフィラ肺炎としてしまいました。
言われて、よく考えてみれば、ここまで両側性に多発するすりガラス状陰影になるのはみたことがない、と思いました。
ウイルス性肺炎との鑑別は難しいですが、画像からは積極的に考えるものではなさそうです。ニュートラルに画像を読まなければ嵌ってしまう典型でした。
ごろ~先生に「修業が足りん!!」と怒られた気がします。
明日から頑張ります。
アウトプットありがとうございます。
>ごろ~先生に「修業が足りん!!」と怒られた気がします。
いえいえ、肺炎の画像診断は、腹部のように虫垂炎があるかないか、尿管結石があるかないか、といったわかりやすいものではなく、さまざまな起炎菌がさまざまな陰影を呈するので、難しいですね(^_^;)
なかでも結果的に教科書通りの典型的な画像所見を示した症例を提示していきますので、分布や広がり方、粒の大きさなどに着目して、よりその疾患らしい特徴を体験していただけたらと思います。
本日もありがとうございました。
すりガラス陰影は汎小葉性の分布だと考えてよろしいでしょうか?
心影の拡大は濃度的に心膜外脂肪塊ですね!
アウトプットありがとうございます。
>すりガラス陰影は汎小葉性の分布だと考えてよろしいでしょうか?
そうですね。小葉中心性ではなく、汎小葉性ということになるかと考えます。
>心影の拡大は濃度的に心膜外脂肪塊ですね!
そうですね。両側心膜外脂肪塊がありますので、それによるレントゲンの心陰影の拡大ですね。TIPS講座で出てきたやつですね。
こんばんは,遅ればせながら,胸部救急編もよろしくお願いいたします!
39℃台の発熱時の脈拍数がないので,比較的徐脈があるかどうかは判断できませんでしたが(39℃以下では脈拍数と体温の解離を検出するのに不十分だそうです),古い家屋,温泉,オウムなどなど情報が多くてかなり迷いました.
中枢神経症状が認められたことから,私も日々精進さんと同じようにレジオネラの初期の画像を鑑別にあげてみました.
レジオネラの初期は末梢側の淡い陰影として始まり,次第に区域性の硬化像となるのですね!
また,すりガラス状陰影と境界明瞭な浸潤影が混在するのも特徴のようで,迷いました…
なかなか呼吸器感染症は特異的な所見というものに乏しい気がして,やはり総合的に判断することが大事なのだなぁと思いました.
アウトプットありがとうございます。
>古い家屋,温泉,オウムなどなど情報が多くてかなり迷いました.
そうですね・・・。
>なかなか呼吸器感染症は特異的な所見というものに乏しい気がして,やはり総合的に判断することが大事なのだなぁと思いました.
ですね。肺炎!としか言えないケースが多い中、特徴的な画像所見を示し、かつ起炎菌が同定された(あるいは推測された)症例を提示しています。
実際は、○○肺炎!と一発で言い当てるものではなく、喀痰培養や血培や各種抗原検査などをして除外した結果の診断ですので、色々鑑別を挙げることも重要ですね。
所見を記載すると、自分の理解の浅さがよくわかります『区域性』と『斑状』などこれまで意識しないまま、使ってしまっていました。いつも病態理解、鑑別に勉強になる解説ありがとうございます。これからも精進します。
アウトプットありがとうございます。
>自分の理解の浅さがよくわかります『区域性』と『斑状』などこれまで意識しないまま、使ってしまっていました。
この領域の独特の用語がたくさんありますよね。
この講座で出てくるくらいの用語は覚えておいたら役立つかもしれません。
新型コロナの肺炎像によく似ているなと思いましたが、これもウイルス性の肺炎であり、似ていても不思議ではないですね
アウトプットありがとうございます。
>これもウイルス性の肺炎であり、似ていても不思議ではないですね
おっしゃるとおりです。ウイルス性肺炎なので基本似ていますね。
区域性のすりガラス影
と大まかに覚えておきましょう。
ただし、新型コロナの場合は非区域性分布をすることがあるのでそれも特徴ですね。
解説にインフルエンザA型陽性でWBCが上昇していないといったことから、まず考えるべきはインフルエンザ肺炎とありますが、インフルエンザ肺炎の場合、WBCは上昇しないものなのでしょうか?
また、他のウイルス性肺炎はWBCは上昇する場合が多いのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>インフルエンザ肺炎の場合、WBCは上昇しないものなのでしょうか?
することもありますが、正常や軽度上昇であるのが非定型肺炎の特徴です。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/6484
まず、胸部所見の表現をすっかり忘れてしまっています。
これでは、レポート書けません。紹介状も書けません(汗;;)
と、いうわけで、勉強をしております。
すみません、超劣等生です。
当方も温泉、スイミングだので、レジオネラ感染症を疑いました。もちろん、ペットからの感染症も!
また、大掃除をしていない、というので、真菌症も。
インフルエンザ肺炎は全く考えませんでした。
鑑別方法があれば教えていただければ幸いです。
アウトプットありがとうございます。
表現の仕方は慣れるまでは確かに難しいかもしれません。
>当方も温泉、スイミングだので、レジオネラ感染症を疑いました。もちろん、ペットからの感染症も!
また、大掃除をしていない、というので、真菌症も。
キーワードから類推することは重要です。
>鑑別方法があれば教えていただければ幸いです。
これについてはここで簡単にできるものではないので、今回の解説や今後出てくるものを参照してください。
あるいは教科書を参照ください。
こちらも参照ください。
関連
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/6966
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/6305
最初は肺胞性肺炎かと一瞬、思いましたが、気道に沿って広がってそうだったので、気管支肺炎パターンかと思って考えました。以前の動画の解説にも説明がありましたが、最初は気管支肺炎となり、気管支の支配区域を超えたら肺胞性肺炎となると理解してていいのでしょうか、、?また、肺胞性肺炎は濃度がより濃く、浸潤影となることが多いのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>最初は肺胞性肺炎かと一瞬、思いましたが、気道に沿って広がってそうだったので、気管支肺炎パターンかと思って考えました。
一部コンソリデーションを示しているところもありますが、広がり方は気管支肺炎のパターンです。
>以前の動画の解説にも説明がありましたが、最初は気管支肺炎となり、気管支の支配区域を超えたら肺胞性肺炎となると理解してていいのでしょうか、、?また、肺胞性肺炎は濃度がより濃く、浸潤影となることが多いのでしょうか?
おっしゃるとおりです。
気管支肺炎が起こり、肺胞間の横方向に炎症が広がると肺胞性肺炎となります。
またおっしゃるように濃く、コンソリデーションとなることが多いです。
今ならまず、COVID-19が真っ先に鑑別に上がりそうです。SARS-CoV-2が出現する前からコロナウイルスでもARDSに移行するような肺炎像を呈することは知りませんでした。ありがとうございます。
アウトプットありがとうございます。
>今ならまず、COVID-19が真っ先に鑑別に上がりそうです。
そうですね。今ならばこの画像でCOVID-19ではない!!とはちょっと言いにくいですね。
ただし、COVID-19肺炎は、気管支肺炎パターン(区域性)よりは非区域性に広がることが多いのでその点は非典型的と言えます。
>COVID-19肺炎は、気管支肺炎パターン(区域性)よりは非区域性に広がることが多い
なるほど。。確かにCOVID-19肺炎は非区域性ですね。ありがとうございます。
「エアブロンコグラム」についてご教示いただけると幸いです。ベタっと白い濃い浸潤影の中に黒い気管支の透亮像がみえるものをエアブロンコグラムというと理解していました。25/106の左下肺の浸潤影の部分は「エアブロンコグラムを伴う浸潤影」の所見といってよいでしょうか。エアブロンコグラムと気管支壁肥厚がいまひとつ区別できずにいます。
アウトプットありがとうございます。
>ベタっと白い濃い浸潤影の中に黒い気管支の透亮像がみえるものをエアブロンコグラムというと理解していました。25/106の左下肺の浸潤影の部分は「エアブロンコグラムを伴う浸潤影」の所見といってよいでしょうか。
そのように表現して大丈夫です。
(浸潤影ではなく、厳密にはコンソリデーションと表現をした方が良いと言われますが)
>エアブロンコグラムと気管支壁肥厚がいまひとつ区別できずにいます。
気管支壁肥厚は気管支の壁が厚くなり本来見えない壁が見えている状態です。
周りにコンソリデーションがあればむしろ分かりにくくなることが多いですね。
肺胞性肺炎を示す肺炎球菌やクラミドフィラでは気管支壁肥厚は25%〜35%程度にしか認めない。
一方でマイコプラズマやインフルエンザ桿菌といった気管支肺炎を来すものでは80%以上に気管支壁肥厚を認めると報告されています。
ですので、気管支壁の肥厚の有無は、肺胞性肺炎パターンなのか気管支肺炎パターンなのかのヒントになります。
他の先生のコメントにもありましたが、現病歴を読んでいると、意識障害も出ているので、レジオネラ肺炎かしら、オウム病かしら、アレルギー性の肺炎かしら、インフルエンザ肺炎かしらなど思いました。結果はインフルエンザ肺炎でしたが、意識障害はインフルエンザ脳症ということはないでしょうか。
画像ですが、気管支肺炎像を呈していますが、両側胸膜側優位のすりガラス陰影が目立つように思います。ウィルス性肺炎に特徴的でしょうか。
新型コロナウィルス肺炎は非区域性に広がることが多いというのも参考になりました。
アウトプットありがとうございます。
>現病歴を読んでいると、意識障害も出ているので、レジオネラ肺炎かしら、オウム病かしら、アレルギー性の肺炎かしら、インフルエンザ肺炎かしらなど思いました。
病歴を詳細に記載したのですが逆に混乱を招いたかも知れませんね(^_^;)
>意識障害はインフルエンザ脳症ということはないでしょうか。
その可能性はあると思います。
>両側胸膜側優位のすりガラス陰影が目立つように思います。ウィルス性肺炎に特徴的でしょうか。
この症例は割と中枢側にも陰影を認めています。
>新型コロナウィルス肺炎は非区域性に広がることが多いというのも参考になりました。
新型コロナウィルス肺炎の場合は、今回のように中枢側にあまり認めず末梢優位に認めるのが特徴です。
その点で今回の画像とは鑑別可能と考えます。
いつも丁寧な解説ありがとうございます。区域性・非区域性という用語と斑状やモザイクというのは別次元の分布の話でしょうか。例えば、同じ肺葉内で気管支肺炎パターンであれば区域性ですが、正常と病変がその中で混在していれば、その状態を斑状と表現するといった理解でよいのでしょうか。今回は区域性、斑状と両方の言葉が出てきたのでお聞きさせていただきました。
アウトプットありがとうございます。
>区域性・非区域性という用語と斑状やモザイクというのは別次元の分布の話でしょうか。
そうですね。
区域性・非区域性は陰影の広がりが気道に沿ったものかどうかの分類です。
一方で、斑状やモザイクというは、陰影の形状によった表現方法です。
その陰影が、区域性や非区域性に広がっているかどうかは問いません。
>例えば、同じ肺葉内で気管支肺炎パターンであれば区域性ですが、正常と病変がその中で混在していれば、その状態を斑状と表現するといった理解でよいのでしょうか。
そうですね。そのように理解していただいて大丈夫です。
いつも丁寧で大変わかりやすい解説をいただきありがとうございます。
3点ご質問がございます。
本症例においては両側びまん性すりガラス影を認め区域性分布が目立つことと迅速検査の結果からインフルエンザウイルス肺炎を第1鑑別で提出いたしましたが、現在の流行状況を踏まえると新型コロナウイルス肺炎も鑑別上位に挙がるかと考えました。区域性分布である点からはよりインフルエンザウイルスのほうが可能性が高いかと考えましたが合っておりますでしょうか。また、特に本年に入ってから流行しているイギリス株による肺炎像ではやや線維化が強い印象を持つのですが、インフルエンザウイルス肺炎における線維化の頻度や特徴などに関して疑問に感じました。
また、本症例で施行された治療に関しても可能であればご教授願いたいです。インフルエンザウイルス肺炎では細菌性肺炎の重複が多く、その中でも黄ブ菌による肺炎が多いかと記憶しております。さらに本症例では意識障害が強いようで病歴からもレジオネラへの暴露リスクが高く、緊急性の面からはレジオネラのカバーも必要かと存じます。上記踏まえると自分であればCTRX(重症度を踏まえるとより広域も考慮でしょうか), MINO, VCMでの初期加療を開始したいなと考えたのですが、実際にはどのような治療が行われましたでしょうか。
質問数が多くなり申し訳ございません。
アウトプットありがとうございます。
>区域性分布である点からはよりインフルエンザウイルスのほうが可能性が高いかと考えましたが合っておりますでしょうか。
おっしゃるとおりです。
新型コロナ肺炎は区域性分布を示しにくい傾向にあります。
>インフルエンザウイルス肺炎における線維化の頻度や特徴などに関して疑問に感じました。
すいません。これについてはわかりかねます。
>本症例で施行された治療に関しても
救急外来で画像診断を的確にして専門科に受け継ぐコンセプトの講座です。
私自身画像診断が専門であり、治療に関することはわかりかねます。
今回は、実際にはどのような治療が行われましたか調べますが、時間がかかりますのでご了承ください。
>インフルエンザウイルス肺炎では細菌性肺炎の重複が多く、その中でも黄ブ菌による肺炎が多いかと記憶しております。
おっしゃるように細菌性肺炎の重複が多く、
肺炎球菌>黄色ブドウ球菌>インフルエンザ桿菌
という頻度のようです。
治療を調べました。
インフルエンザウイルス肺炎と考えられ、ラピアクタ点滴が1回施行されました。
非定型肺炎の否定ができないため、ジスロマック投与。
2次感染予防目的でセフトリアキソンが投与されています。