肺炎の中には、細菌による肺炎のほか、非定型肺炎に分類されるウイルス性肺炎があります。一番有名なウイルス性肺炎はインフルエンザウイルスですね。
インフルエンザといえば、高熱、関節痛などの症状が有名ですが、肺炎を引き起こすことがあるんです。また小児の肺炎ではこのウイルス性肺炎(中でもRSウイルス)が多いのです。
そこで今回は、ウイルス性肺炎について、どのような種類があるのか症状、診断、治療までまとめました。
ウイルス性肺炎の種類は?
ウイルス性肺炎を引き起こす原因ウイルスには、以下のウイルスが有名です。
- インフルエンザウイルス
- パラインフルエンザウイルス
- メタニューモウイルス
- アデノウイルス
- RSウイルス
- エンテロウイルス
- コロナウイルス
- 麻疹水痘ウイルス
- サイトメガロウイルス など
最も多いのはやはりインフルエンザウイルスです。
麻疹水痘ウイルス、サイトメガロウイルスは、免疫状態が低下した人が日和見感染として罹りやすいとされており、重症化することがあり特に注意が必要です。
また、コロナウイルス肺炎はいわゆるSARS(サーズ、severe acute respiratory sydrome)を引き起こし、重症化してARDSに陥ることがあり、こちらも注意が必要です。
ウイルス性肺炎の症状は?
ウイルス性肺炎の症状に特徴は、 感染したウィルスによって異なります。
風邪症状を引き起こすインフルエンザウィルスやアデノウイルスの場合は、
- 鼻水
- 鼻づまり
- 咳
- 高熱
- 頭痛
- 関節痛
- 筋肉痛
などの症状があります。また、水痘ウイルスの場合は、水疱ができます。
肺炎が増悪すると呼吸困難といった重度の症状も生じてきます。
ウイルス性肺炎のCT画像診断の特徴は?
画像からウイルス性肺炎の確定診断はできませんが、ウイルス性肺炎の画像の特徴はあります。
一般的にウイルス性肺炎では、
- すりガラス影が主体の肺炎
- 気管支肺炎の形態
で肺炎像を画像所見として認めることが多いとされています。
ただし、細菌と混合感染することもあり、またウイルス性肺炎単独であっても浸潤影が目立つことがありますので、注意が必要です。
- 急性間質性肺炎
- 間質性肺炎の急性増悪
- ウイルス性肺炎
- 薬剤性肺障害
- びまん性肺胞出血
- 過敏性肺臓炎
- カリニ肺炎
インフルエンザ肺炎のCT画像所見は?
ウイルス性肺炎の中でも最も頻度の高いインフルエンザ肺炎の画像の特徴は以下の通りです。
- 初期は細気管支炎→気管支肺炎を合併する。中枢の気管支あるいは気管が侵されることも多い。
- 淡いすりガラス影、濃厚浸潤影、小葉中心性結節、分岐線状陰影が認められる。
- 両側広範な淡いすりガラス影、時にcrazy-paving appearanceや浸潤影。
- 胸水は比較的少ない。
症例 50歳代女性
右下葉に小葉中心性のすりガラス結節を認めています。
気管支肺炎のパターンです。
左下葉ではCrazy paving appearanceを認めています。
インフルエンザ肺炎と診断された症例です。
こちらの症例を動画で見てみる。
症例 70歳代女性
このように濃い浸潤影よりはすりガラス影が強いのがウイルス性肺炎全体の特徴です。
こちらの症例を動画でチェックする。
この症例の実際のCT画像を見てみる。→インフルエンザウイルス肺炎のCT画像所見
その他特徴的な画像所見を示すことがあるウイルスは?
上記の特徴以外の特徴を示すウイルスを、ここでは3つ紹介します。
RSウイルス
小児に多いRSウイルスの場合、急性細気管支炎を起こします。肺は、過膨張様の所見を示すことがあります。
水痘ウイルス
また、水痘ウイルスでは、両側の肺に多数の数mm〜1cm代の微小結節をランダムに認めるのが特徴とされます。これは、ウイルスが血行性に広がりウイルス血症を生じそれが肺にばらまかれるためです。
サイトメガロウイルス肺炎
ニューモシスチス肺炎(PCP)と並んで免疫不全の人に起こりやすい肺炎で、両者はしばしば併発します。PCPとの特徴の違いは、PCPがまだらなすりガラス影が主体なのに対して、サイトメガロウイルス肺炎は粒がPCPよりもはっきりすることが多いと言われています。
ウイルス性肺炎の治療は?
ウイルス性肺炎は診断することがなかなか難しく、基本は対症療法となります。
ただし、ご存知のようにインフルエンザウィルスについては、迅速診断でき、しかも抗インフルエンザウイルス薬がありますので、それで治療をします。
関連記事はこちらから)
- 若い健常人に多いマイコプラズマ肺炎はこちら→マイコプラズマ肺炎(Mycoplasma pneumonia)
- 非定型肺炎についてはこちらで詳しく掲載しました。→非定型肺炎とは?細菌性肺炎との違いは?診断から治療まで!
最後に
肺炎といえば、細菌性肺炎が有名ですが、ウイルスでも肺炎になることがあります。細菌性肺炎は定型肺炎と呼ばれるのに対して、ウイルス性肺炎は非定型肺炎に分類されます。
単なる風邪と思っていたら、肺炎を合併していたということもありますので、風邪と診断されても、症状が良くならない場合は注意が必要です。特に小児のウイルス性肺炎は多いので要注意です。