【胸部】症例3

【胸部】症例3

【症例】40歳代男性
【主訴】咳嗽
【現病歴】ここ半月咳嗽が続くため来院。
【内服薬】なし。
【生活歴】喫煙:20本/日×25年間、飲酒:ビール500ml/日を週5日程度。
【データ】WBC 9100、CRP 2.85

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左優位に上葉に空洞を有する浸潤影を認めています。

その周囲には小葉中心性の粒状影を認めており、いわゆるtree-in-budと呼ばれる分枝状構造も見えています。

症例1で見たマイコプラズマとは異なり、粒が非常に細かいことがわかります。

その病原体がどのような所見を示すのかは、浸潤影のように炎症所見が強い場所ではなく、少し弱い部位を観察することが重要です。

今回ですと、浸潤影ではなく(空洞は重要ですが)、浸潤影のまわりの小葉中心性の粒状影を見るということです。

今回見やすいのは左下葉のS6です。

非常に細かい小葉中心性の粒状影およびtree-in-budと呼ばれる分枝状構造を認めていることがわかります。

気管支肺炎のパターンを示し、左の上葉では一部肺胞性肺炎のパターンを呈しているということがわかりますが、今回はそれで診断を終えてはダメな症例です。

 

  • 上葉やS6に分布
  • 空洞を有する浸潤影を形成
  • 非常に細かい小葉中心性の粒状影
  • tree-in-budと呼ばれる分枝状構造

 

これらの所見を呈する病原体は何でしょうか?

 

そう、結核です。

 

診断:肺結核の疑い

 

※このような所見を見た場合、特に粒が細かな小葉中心性の粒状影を見た際には、結核の可能性を考えて必ず精査する必要があります。

起因病原体と呼吸器感染症の画像パターンの関係を今回もチェックしてみましょう。

結核、非結核性抗酸菌症の場合は、びまん性すりガラス影以外はほぼ何でもありですね。

この表では、大雑把に結核、非結核性抗酸菌症を一緒の項目に入っています。

ですので、重要な結核に敏感になるためにもちょっとこれでは不十分ですね。

この表では、「あれ?結核が小葉中心性の粒状影が△になってるけど?」と思われた方もおられるかもしれませんが、あくまでびまん性粒状影の場合ですので、その点を誤解しないように読み取ることが重要です。

(2次性)結核の場合は、

  • 粒の小さい小葉中心性分布
  • tree-in-budと呼ばれる分枝状構造
  • 空洞形成
  • S1,2,6に多い

といった点が重要となります。

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【胸部】症例3の動画解説

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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