
【頭部】TIPS症例64
【症例】70歳代 女性
【現病歴】とある疾患でフォローされている。
異常所見と診断は?
左小脳橋角部に内耳道と連続する嚢胞変性を伴った腫瘤を認めています。
聴神経腫瘍を疑う所見です。
内耳道との連続性はCISS画像でより明瞭です。
内耳道内の腫瘤+外の腫瘤はアイスクリームとコーンのようだと例えられることがあります。
診断:左聴神経腫瘍疑い
※14年前からフォローされています。左実効聴力はありませんが、左顔面神経麻痺の徴候などなく、手術をするかは今度次第とのことです。(嚢胞性腫瘍は充実性腫瘍と比較して増大速度が速く、手術時の完全摘出率が低い。(よくわかる脳MRI P125))
聴神経腫瘍は症例43で出てきてるぞ。嚢胞変性パターンが新しいトピックということか?
いえ、そうではありません。新しいトピックはここからです。
側脳室は両側拡大し、周囲に浮腫性変化を認めています。
また両側側脳室下角の開大もあり、水頭症を疑う所見です。
脳室などに明らかな閉塞機転は認めていないので、交通性水頭症ということになります。
聴神経腫瘍と水頭症に一見何の関連もないように思うかも知れませんが、実は、この聴神経腫瘍は蛋白を分泌することが知られており、それにより髄液の吸収障害を来すことあることが知られています。結果、交通性水頭症を来すことがあります。
診断:左聴神経腫瘍疑い+交通性水頭症
関連:
【頭部】TIPS症例64の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
解説でのリス君のコメント止まりの印象でした。そのさきは恐れ入りました。水頭症は最近のトピックスなのに気付かずでした。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
申し訳ございませんでした。まさかの指摘でございました。気を付けます(笑)
いえいえ、久々過ぎてログインするのに時間がかかりました(^^)
場所的にも非交通性を考えたくなりますが、非交通性もありうるとは意外でした。
アウトプットありがとうございます。
聴神経腫瘍や髄膜腫でたまに見られますので、これらでフォローされている方は是非そういう目で見てみてください。
いつも勉強になっております。
聴神経腫瘍がタンパク粘液を出し、それによって吸収障害を起こし、交通性の水頭症になるというのは恥ずかしながら初めて知りました。
解説動画では続発性ではないということでしたが、今回のは聴神経腫瘍が原因なので、続発性ではないのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
>解説動画では続発性ではないということでしたが、今回のは聴神経腫瘍が原因なので、続発性ではないのでしょうか。
続発性に列挙してあるものは該当しませんが、と言う意味で、続発性に相当します。
わかりにくくて申し訳ありません。
ありがとうございます。
>続発性に列挙してあるものは該当しませんが、と言う意味で、続発性に相当します。
理解いたしました。
くも膜下腔の拡大は目立たないように感じてしまいました。
非交通性水頭症の場合、画像で必ず閉塞機転が確認できるでしょうか?
つまり、くも膜下腔の拡大が目立たないと判断してしまっても、画像で閉塞機転がないことと側脳室から第4脳室の拡大していることで交通性水頭症と判断してもよいのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>非交通性水頭症の場合、画像で必ず閉塞機転が確認できるでしょうか?
できないこともしばしばあります。
中脳水道の狭窄などでは、本当にそこで狭窄しているのか判断に迷うこともあり、髄液の流れを画像化して確認することもあります。
こちらはMonro孔の髄液の流れですが、こんな感じで確認することがあります。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/8983
>くも膜下腔の拡大が目立たないと判断してしまっても、画像で閉塞機転がないことと側脳室から第4脳室の拡大していることで交通性水頭症と判断してもよいのでしょうか?
これは難しいところで、安易にそのように判断できず、脳室の拡大と大脳半球の萎縮の程度、年齢相応なのか、など考慮する必要があります。