【頭部】TIPS症例63

【頭部】TIPS症例63

【症例】40歳代 女性
【主訴】嘔気
【現病歴】乳癌術後再発があり、多発骨転移、肝転移、肺転移で化学療法を受けているが、1ヶ月前から治療を拒否。

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異常所見と診断は?

左の硬膜もしくは硬膜下にDWIで等信号の構造があり、ADCではやや信号低下を認めています。

T1WI、T2WIでは灰白質と等信号程度で左の硬膜が肥厚しているように見えます。

造影すると、左優位に硬膜を縁取るように硬膜の肥厚を認めており、硬膜転移を疑う所見です。

髄膜転移のうちDA patternに相当します。

硬膜転移だけでなく、転移性脳腫瘍を疑う所見を大脳半球や小脳半球にも認めています。

 

診断:転移性脳腫瘍+硬膜転移

 

※全脳照射および化学療法の再開となりました。

 

なお、病歴に記載していませんでしたが、頭部の皮膚転移を視診で指摘されています。

その目で見てみると両側の皮膚部にDWI/ADC=高信号/信号低下している結節があり、これが皮膚転移と考えられます。

また今回の硬膜転移が

  • 骨転移からの浸潤
  • 血行性転移

なのかという問題ですが、びまん性に硬膜肥厚を認めている点も血行性転移を示唆する所見ですが、今回のMRIやこの後の全脳照射後の頭部CTでも骨転移を疑う所見は認めていないので、血行性転移と診断することができます。

全脳照射後の頭部CTがこちら。

横断像

 

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【頭部】TIPS症例63の動画解説

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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