
先に結論:頭頸部のサルコイドーシスは「両側性・びまん性の腫れ」が手がかりで、診断は生検と他の肉芽腫性疾患の除外が必要
| 部位 | 画像の手がかり |
|---|---|
| 涙腺・眼窩 | 両側の涙腺がびまん性に腫れ、骨の変化はない。眼窩の軟部組織の腫瘤もある |
| 耳下腺 | 両側の腫れ。ぶどう膜炎・顔面神経麻痺を伴うとHeerfordt症候群 |
| 鼻・副鼻腔 | 鼻中隔や鼻甲介の結節が最も示唆的。副鼻腔の陰影や骨の変化は非特異的 |
| 喉頭 | 声門上(披裂喉頭蓋ひだ・喉頭蓋・披裂部)の境界明瞭なびまん性の腫れ |
| リンパ節 | 両側頸部のリンパ節腫大 |
| 鑑別 | 多発血管炎性肉芽腫症(GPA)、IgG4関連疾患、結核、リンパ腫、癌 |
頭頸部のサルコイドーシスとは
サルコイドーシスは、全身のさまざまな臓器に「乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫」という炎症のかたまりができる病気です。肺・皮膚・眼に多く、頭頸部の病変は、サルコイドーシスの患者さんの10〜15%にあるとされます(Badhey 2015)。
診断は、①合致する臨床像、②1つ以上の組織で乾酪壊死のない肉芽腫を確認、③他の肉芽腫性疾患の除外、の3つが柱です(Sève 2021)。Löfgren症候群やHeerfordt症候群のように、特徴的な臨床像で組織診断を必要としない型もあります(Sève 2021)。頭頸部の病変は、見た目が腫瘍や他の炎症に似ているため、画像と生検の両方が必要とされています(Badhey 2015)。
なお、頭頸部の病変は、サルコイドーシスの患者さんの中では多くありません。耳下腺の両側の腫れ、鼻・副鼻腔や喉頭の症状は、患者さんの10%未満で、ときに最初の症状になります(Sève 2021)。肺の病変の画像を知っている人ほど、頭頸部の所見を見たときに「サルコイドーシスもある」と思い出せます。肺の所見は肺サルコイドーシスのCT画像所見で、頭蓋内・脊髄の所見は神経サルコイドーシス・脊髄サルコイドーシスで解説しています。
部位ごとの画像所見
涙腺・眼窩
涙腺の病変は、サルコイドーシスの患者さんの7〜15%にあり、最初の症状になることもあります(Caltabiano 2025)。画像では、両側の涙腺が、眼窩部と眼瞼部の両方でびまん性に腫れ、骨の変化を伴わず、均一に造影されるのが典型です(Caltabiano 2025)。
眼窩・眼付属器のサルコイドーシス26例の検討では、病変は涙腺(42.3%)、眼窩(38.5%)、眼瞼(11.5%)、涙嚢(7.7%)にあり、眼窩の病変は前下方に多く、50歳を超える女性に多い傾向がありました。最初の症状は、まぶたのまわりのしこりが最も多く、次いで違和感、眼球突出、眼瞼下垂などでした(Prabhakaran 2007)。13例の眼窩サルコイドーシスでは、眼窩の腫瘤や浸潤が54%、筋円錐への進展が15%、副鼻腔への進展が7.7%でした(Caltabiano 2025)。MRIでは、両側の頸部リンパ節腫大や、耳下腺・顎下腺の腫大が見えることもあります(Caltabiano 2025)。
症例 両側の涙腺に病変があるサルコイドーシス

引用:Caltabiano C, et al. Front Ophthalmol. 2025;5:1724513(Figure 8)、CC BY 4.0(図は加工していません)
両側の涙腺が、眼窩部と眼瞼部の両方で腫れている症例です。この症例では、腫れに左右差があります。腫れた涙腺は、T1・T2強調像で信号の異常はなく、造影後は均一に造影され、ADCマップでは拡散の低下が見られます。
耳下腺・唾液腺
耳下腺の両側の腫れは、サルコイドーシスの10%未満で見られる症状で、最初の症状になることもあります(Sève 2021)。Heerfordt症候群(ぶどう膜耳下腺熱)は、顔面神経麻痺・耳下腺の腫れ・ぶどう膜炎の3つに微熱を伴う、サルコイドーシスに特異性の高い型です。
| 型 | 症状 | サルコイドーシスの患者さんでの頻度 |
|---|---|---|
| 3症状がそろう型 | 顔面神経麻痺・耳下腺の腫れ・ぶどう膜炎(微熱を伴う) | 0.3% |
| 2症状の型 | 上の3つのうち2つ | 1.3% |
(Sève 2021)
耳下腺の腫れに顔面神経麻痺や目の症状がそろっているときは、サルコイドーシスを考えるきっかけになります。
鼻・副鼻腔
鼻・副鼻腔の病変は、サルコイドーシスの患者さんの1%弱とまれです。ドイツの呼吸器専門病院の1,360例のうち、生検で確認できた鼻・副鼻腔のサルコイドーシスは12例でした(Kirsten 2013)。鼻のかさぶた、嗅覚の低下、鼻茸、鼻出血が多い症状でした(Kirsten 2013)。
鼻・副鼻腔のサルコイドーシス22例の画像の検討では、鼻中隔や鼻甲介の結節がCT・MRIで最も示唆的な所見でした。副鼻腔の陰影、粘膜の肥厚、骨の硬化や破壊は、非特異的で、臨床の状況と病期によって変わります。FDG-PET/CTは活動性の炎症の分布を一度に示し、感度は100%で、67Gaシンチグラフィの75%より高いと報告されています(Braun 2010)。
症例 副鼻腔のサルコイドーシス

引用:Kirsten AM, et al. BMC Pulm Med. 2013;13:59(Figure 1)、CC BY 2.0(図は加工していません)
生検で診断された、両側の上顎洞に病変があるサルコイドーシスの冠状断CTです。
喉頭
喉頭のサルコイドーシスの画像をまとめた検討(症例報告8例と自験6例、計14例)では、次のような所見でした(Baba 2022)。
| 所見 | 頻度(Baba 2022) |
|---|---|
| 声門上の病変 | 92.9% |
| 披裂喉頭蓋ひだ・喉頭蓋・披裂部の病変 | 92.3%・78.6%・71.4% |
| 両側性 | 85.7% |
| 境界明瞭なびまん性の腫れ | 全例 |
| 造影CTで辺縁にまだらな軽い造影 | 92.3% |
| 喉頭だけに病変があった | 57.1% |
リンパ節
頸部のリンパ節腫大は、両側性のことがあります(Caltabiano 2025)。縦隔・肺門のリンパ節と合わせて見ると、サルコイドーシスの可能性を考えやすくなります。FDG-PETで偽陽性になる場面はFDG-PETの偽陽性も参考にしてください。
どんなときに疑うか:症状と次に調べること
頭頸部の病変は、症状が地味で、ほかの病気と間違えられやすいのが特徴です。鼻・副鼻腔や下垂体の病変は、症状が非特異的なため診断が難しいとされています(Badhey 2015)。部位ごとの「疑うきっかけ」と、次に行うことをまとめます。
| きっかけの症状・所見 | 疑う部位 | 次に調べること |
|---|---|---|
| まぶたのしこり、眼球突出、眼瞼下垂、複視 | 涙腺・眼窩 | 眼窩MRI(造影・拡散強調像)、全身の評価(Prabhakaran 2007) |
| 耳の下の両側の腫れ、顔面神経麻痺、目の充血・かすみ | 耳下腺(Heerfordt症候群) | 頸部の画像、眼科の診察、胸部CT(Sève 2021) |
| 続く鼻づまり、鼻のかさぶた、嗅覚低下、鼻出血 | 鼻・副鼻腔 | 副鼻腔CT、鼻内視鏡での生検(Kirsten 2013) |
| 声のかすれ、のどの違和感、息苦しさ | 喉頭(声門上) | 喉頭内視鏡、頸部CT・MRI(Baba 2022) |
どの部位でも、胸部CTで肺門・縦隔のリンパ節や肺の病変を確認すると、全身の病気としての絵が描けます。組織を採るときは、肉芽腫が見つかっても、結核や真菌など他の原因を除外することが診断の条件です(Sève 2021)。
眼窩・眼付属器のサルコイドーシスでは、ステロイドなどの治療で、84.6%の患者さんで症状が消えました。一方で、19.2%に、あとからサルコイドーシスの別の症状が出たため、長期の経過観察が勧められています(Prabhakaran 2007)。
鑑別:他の肉芽腫性疾患と悪性腫瘍
頭頸部の肉芽腫性疾患には、サルコイドーシスのほか、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、Behçet病のような自己免疫性のもの、結核・真菌感染・梅毒などの感染性のものがあります(Nwawka 2014)。眼窩・副鼻腔・唾液腺・気道・側頭骨・頭蓋底に病変を作り、副鼻腔の陰影、軟部組織の腫瘤、骨のびらん、気道の狭窄、リンパ節腫大、唾液腺の浸潤などの画像所見をきたします。これらの所見は悪性腫瘍と重なる部分が大きいため、鑑別に腫瘍を入れておくことが大切です(Nwawka 2014)。
| 病気 | 涙腺・眼窩での手がかり(Caltabiano 2025) |
|---|---|
| サルコイドーシス | 両側・びまん性の腫大、骨の変化なし、均一な造影 |
| IgG4関連眼疾患 | 両側のことが多い(約85%)。涙腺の形は保たれる。外眼筋・眼窩脂肪・眼窩下神経の病変があれば有力 |
| リンパ腫 | 眼球に沿って型どるように広がる。骨のリモデリングはあるが破壊は少ない。強い拡散制限(ADC低値) |
| GPA | 片側・両側いずれもある。骨のびらんや眼球への圧痕を伴うことがある。眼窩は症例の40〜50%で障害される |
涙腺の画像所見は非特異的なので、外眼筋・視神経・眼窩脂肪など、ほかの構造の所見が診断の助けになります(Caltabiano 2025)。IgG4関連疾患の全身の所見はIgG4関連疾患まとめ、GPAは頭蓋内における多発血管炎性肉芽腫症も参考にしてください。
研修医が見落としやすい点
- 両側性の涙腺・耳下腺の腫大を見たら、サルコイドーシスとIgG4関連疾患、Sjögren症候群を並べて考える
- 鼻・副鼻腔で骨の変化がある、または結節があるときは、悪性腫瘍とGPAとサルコイドーシスを並べる。画像だけで決めない
- 喉頭の声門上の左右対称なびまん性の腫れでは、感染や浮腫だけでなく、肉芽腫性疾患も考える
- 胸部CTで肺門・縦隔のリンパ節腫大や粒状影が見つかれば、頭頸部の病変の診断を後押しする
- 生検で「肉芽腫」が確認されても、結核や真菌感染、GPAなど他の原因の除外が必要
よくある疑問(Q&A)
Q1. 頭頸部にサルコイドーシスがあるのは、どれくらい多いですか?
サルコイドーシスの患者さんの10〜15%に、頭頸部の病変があるとされます(Badhey 2015)。ただし、鼻・副鼻腔や喉頭、耳下腺の病変は、より少なく、10%未満です(Sève 2021)。
Q2. 画像だけでサルコイドーシスと診断できますか?
できません。画像は「疑う」ためのもので、乾酪壊死のない肉芽腫を組織で確認し、他の肉芽腫性疾患を除外する必要があります(Sève 2021)。
Q3. PETは役に立ちますか?
FDG-PET/CTは、サルコイドーシスの活動性の炎症の分布を一度に示せます。鼻・副鼻腔の病変では、感度が100%だったという小さな検討があります(Braun 2010)。ただし、FDGは感染や腫瘍にも集積するため、集積だけで診断はできません。
Q4. 目や耳の下が腫れているときは?
両側の涙腺や耳下腺が腫れる、まぶたのしこりが続く、鼻づまりやかさぶたが長引く、声のかすれが続くなどの症状があれば、眼科・耳鼻咽喉科など医療機関に相談してください。
あわせて読みたい:頭頸部癌の治療後画像の読み方、多発外傷の頭頸部評価、有毛性ポリープ(鼻咽頭)のCT・MRI
参考文献
- Sève P, Pacheco Y, Durupt F, et al. Sarcoidosis: A Clinical Overview from Symptoms to Diagnosis. Cells. 2021;10(4). PubMed
- Badhey AK, Kadakia S, Carrau RL, et al. Sarcoidosis of the head and neck. Head Neck Pathol. 2015;9(2):260-8. PubMed
- Caltabiano C, Rana K, Buckby A, et al. Imaging features of lacrimal gland disease. Front Ophthalmol (Lausanne). 2025;5:1724513. PubMed
- Prabhakaran VC, Saeed P, Esmaeli B, et al. Orbital and adnexal sarcoidosis. Arch Ophthalmol. 2007;125(12):1657-62. PubMed
- Braun JJ, Imperiale A, Riehm S, et al. Imaging in sinonasal sarcoidosis: CT, MRI, 67Gallium scintigraphy and 18F-FDG PET/CT features. J Neuroradiol. 2010;37(3):172-81. PubMed
- Kirsten AM, Watz H, Kirsten D. Sarcoidosis with involvement of the paranasal sinuses – a retrospective analysis of 12 biopsy-proven cases. BMC Pulm Med. 2013;13:59. PubMed
- Baba A, Kurokawa R, Fukuda T, et al. Comprehensive radiological features of laryngeal sarcoidosis: cases series and systematic review. Neuroradiology. 2022;64(6):1239-1248. PubMed
- Nwawka OK, Nadgir R, Fujita A, et al. Granulomatous disease in the head and neck: developing a differential diagnosis. Radiographics. 2014;34(5):1240-56. PubMed
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