IgG4関連疾患まとめ(IgG4 related disease)

  • IgG4を中心とした疾患範囲は大きく広がり、全身のさまざまな臓器に炎症細胞(リンパ球、形質細胞)の浸潤を伴う線維性病変を形成し、涙腺、唾液腺、甲状腺、リンパ節、髄膜、大動脈、肺、心膜、胆管、腎臓、前立腺、皮膚など殆どすべての臓器に生じうる疾患と考えられる。

頭頸部のIgG4関連疾患

  • 自己免疫性下垂体炎(Autoimmune hypophysitis)
  • 眼窩偽腫瘍(Orbital pseudotumor)
  • Mikulicz病(Mikulicz’s disease) :両側涙腺、唾液腺の腫脹はMikulicz病として知られ、近年IgG4関連疾患の一部分症として位置づけられている。
  • Küttner腫瘍(Küttner’s tumor):慢性硬化性唾液腺炎
  • 橋本甲状腺炎(Hashimoto’s thyroiditis)
  • Riedel甲状腺炎(Riedel’s thyroiditis):1893年B Riedelが報告した女性に多く多発線維化と甲状腺腫大を伴う慢性甲状腺炎

※涙腺、顎下腺、甲状腺の病変は典型的にはびまん性・両側対称性。MRIのT2強調像で病変の活動期は高信号、経過とともに全体的に信号低下。内部の線維性変化を反映する。

※自己免疫性膵炎では特に唾液腺腫脹が認められる。唾液腺機能の低下が認められるとの報告あり。Sjogren症候群と本疾患との合併はしばしば報告されているが、SS-A,SS-B抗体が陽性になることは稀で、SjSとは別の病態と捉えられるべきである。

胸腹部のIgG4関連疾患

  • 間質性肺炎(Interstitial pneumonia)

※肺病変では、結節影、気管支壁肥厚、広義間質肥厚、浸潤影の順で見られ、半数で複数のタイプの混在あり。

  • 自己免疫性膵炎(Autoimmune pancreatitis)
  • 硬化性胆管炎(Sclerosing cholangitis)
  • 尿細管間質性腎炎(Tubulointerstitial nephritis)
  • リンパ形質細胞性大動脈炎(Lymphoplasmacytic aortitis)
  • 炎症性動脈瘤(Inflammatory aneurysm)
  • 好酸球性血管中心性線維症(Eosinophilic angiocentric fibrosis):鼻腔や喉頭に多い炎症性線維症
  • 炎症性偽腫瘍(Inflammatory pseudotumor)
  • 前立腺炎(Prostatitis)
  • 皮膚偽リンパ腫(Cutaneous pseudolymphoma)
  • Rosai-Dorfman病(Rosai-Dorfam disease):リンパ節を主病変とした良性反応性の組織球増殖性疾患
  • 後腹膜線維症:後腹膜では大動脈などの大血管をとりまくように認められることが多い。

 

後腹膜線維症

  • 後腹膜の線維化と炎症を呈する疾患で、50歳以上の男性に多い。
  • しばしば尿路閉塞による症状を契機に発見される。
  • 約70%は特発性であるが、自己免疫との関連も指摘されており、ステロイド治療が有効な例も報告されている。
  • 膵病変に先行する例や、後発する例も認められる。
  • IgG4が低値のこともある。
症例 70歳代男性 IgG4高値

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傍大動脈周囲および右優位に腎盂〜尿管周囲に軟部陰影あり。

IgG4関連の後腹膜線維症の疑い。

後腹膜線維症の注意点
  • 後腹膜線維症はIgG4だけとは限らない。
  • Erdheim-Chester disease(下肢長幹骨の硬化性病変。後腹膜病変はIgG4関連疾患と極めて類似。IgG4は決め手にならない。)などの組織球の疾患も重要。
  • 下部尿管においては、内膜症、アミロドーシスも重要な鑑別。

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