
先に結論:子どもの骨X線では「骨幹端の帯」「母趾の形」「骨幹端の溶骨性病変」に、全身の病気が隠れていることがある
| 所見 | 考える病気 | 次にすること |
|---|---|---|
| 骨幹端の透亮帯(lucent metaphyseal bands) | 急性白血病。新生児では先天梅毒など | 血液検査・末梢血液像。血算が正常でも否定しない |
| 骨幹端の白線・骨端の輪状像・骨膜下血腫 | 壊血病(ビタミンC欠乏) | 偏食・発達特性の有無を確認、血中ビタミンC |
| 母趾の先天的な奇形+頸部・背部の腫れ | 進行性骨化性線維異形成症(FOP) | 生検などの侵襲的検査を避け、遺伝学的検査を相談 |
| 骨端線閉鎖前の骨幹端の溶骨性病変 | 骨巨細胞腫も鑑別に残す | MRI・病理で評価 |
1. 急性白血病の骨幹端透亮帯
小児病院の救急で四肢の骨痛のためにX線を撮った1331人の検討では、最終的に10人が急性白血病と診断されました(Ito 2022)。最も多いX線所見は骨幹端の透亮帯(lucent metaphyseal bands)で7人にみられ、6人は末梢血の血球数に異常がありませんでした。X線で白血病を疑う所見の感度は90.0%、特異度は99.8%でした。
| 項目 | 結果(Ito 2022) |
|---|---|
| 骨痛でX線を撮った人数 | 1331人 |
| 急性白血病と確定 | 10人 |
| 骨幹端透亮帯 | 7人 |
| 血球数に異常なし | 6人 |
| 感度/特異度 | 90.0%/99.8% |
骨痛で受診した子どもでは、血液検査より先にX線で白血病の手がかりが見えることがあります。左右の骨幹端を見比べ、透亮帯があれば小児科に血液疾患の評価を相談します。白血病の骨外の腫瘤については骨髄肉腫(緑色腫)とは?白血病の腫瘤形成の画像診断を参照してください。
2. 先天梅毒の骨所見
先天梅毒が疑われた新生児93人に生後1週以内の長管骨X線を撮った前向き研究では、75人(81%)のX線は正常でした(Greenberg 1992)。最も多い異常は非特異的な骨幹端透亮帯で、骨幹端の梅毒らしい変化と骨膜反応がそろったのは5人だけでした。著者らは、満期産の新生児に長管骨X線をルーチンで撮る必要はないとしています。
新生児の骨幹端透亮帯は先天梅毒に特異的ではないこと、逆にX線が正常でも先天梅毒を否定できないことを押さえておきます。先天梅毒には「Wimberger sign」と呼ばれる所見があり(Stephens 2015)、次の壊血病の「Wimberger ring」と名前が似ているので、区別して覚えます。
3. 壊血病(ビタミンC欠乏)
壊血病はまれですが、発達の特性や偏食のある子どもで報告されています。小児整形外科で診断された9人の検討では、平均7歳で、5人が自閉スペクトラム症、7人に偏った食事がありました(Pan 2021)。歩けない(5人)、皮下出血・点状出血(6人)、歯肉出血(3人)などで受診しています。X線所見は次のとおりです。
| X線所見 | Pan 2021(9人中) |
|---|---|
| 骨幹端の白線(Frankel line) | 6人 |
| 骨端の輪状像(ring epiphysis、Wimberger ring) | 3人 |
| 骨膜下血腫 | 2人 |
| 骨幹端の骨棘(Pelkan spur) | 1人 |
6歳男児の症例報告では、びまん性の骨減少、Trümmerfeld zone、Frankel line、Pelkan骨折、Wimberger ring、骨端周囲の骨膜下血腫がそろい、胸部X線では肋骨の念珠状変化(scorbutic rosary)もみられました(Susilo 2024)。大腿部の腫れと痛みで骨腫瘍と紛らわしかった例です。腫れて歩けない子どもで骨幹端の変化を見たら、食事の内容を聞くことが診断の近道になります。栄養による骨の病気はくる病・骨軟化症の画像診断も参照してください。
症例 1歳男児 壊血病(ビタミンC欠乏症)
大腿骨と脛骨の骨幹端に、白く濃い横線(Frankel線)が見え、骨幹端の縁が外へ張り出しています。症例ページでは目立つ骨膜反応と骨幹端の骨折(Pelken spur)があり、母乳だけで育てられていた1歳4か月の男児で、血液検査で壊血病と確かめられたと記載されています。
4. 進行性骨化性線維異形成症(FOP)の母趾
FOPは、母趾の先天的な奇形と、決まった部位に進行する異所性骨化を特徴とするまれな遺伝性疾患です(Kaplan 2008)。異所性骨化が出る前に診断された7人(3か月〜6歳)では、全員に母趾の先天的な奇形があり、X線で異所性骨化はまだありませんでした。5人には頸部・背部の軟部の腫れがあり、そのうち3人は侵襲的な検査を受けて病状が悪化していました。
頸部や背中の腫れがある子どもで母趾の形が普通でないときは、FOPを考え、生検などの侵襲的な処置を避けて遺伝学的検査を相談することが、早期診断の要点です。足のX線や頸部の画像の依頼を受けたら、母趾も見る習慣が役立ちます。
5. 小児の骨巨細胞腫は骨幹端にも出る
骨巨細胞腫は骨端の病変として知られます(骨巨細胞腫(GCT)とは?CT・MRI画像所見)。18歳未満の14人の検討では、骨端1人、骨幹端4人、骨端〜骨幹端6人でした(Tabarestani 2023)。骨端線が開いている5人のうち3人(60%)は骨幹端だけに腫瘍があり、局所再発は骨端線が開いている5人中4人に対し、閉じている例では1人でした。
骨端線閉鎖前の骨幹端の溶骨性病変でも、骨巨細胞腫を鑑別から外さないようにします。年齢と部位からの鑑別は骨腫瘍の画像診断|年齢・部位・レントゲン所見で考える鑑別にまとめています。
よくある疑問(Q&A)
Q. 血液検査が正常なら白血病は否定できますか?
できません。骨痛で白血病と診断された10人のうち6人は、血球数に異常がありませんでした(Ito 2022)。X線の骨幹端の変化は大切な手がかりです。
Q. 骨幹端透亮帯があれば白血病ですか?
限りません。新生児では先天梅毒が疑われる子どもでも、最も多い異常は非特異的な透亮帯でした(Greenberg 1992)。年齢・症状・血液検査と合わせて判断します。
Q. 壊血病は今でもありますか?
まれですが、偏食のある子どもや発達の特性のある子どもで報告されています(Pan 2021)。
お子さんの骨や関節の痛み、腫れ、歩き方の変化など気になる症状があれば医療機関を受診し、結果については主治医に相談してください。
あわせて読みたい:子どもの骨で「骨折?」と言われやすい正常
参考文献
- Ito A, Osumi T, Fujimori K, et al. Utility of emergent plain X-ray for childhood acute leukemia with bone pain. Pediatr Int. 2022;64(1):e14843. PubMed
- Greenberg SB, Bernal DV. Are long bone radiographs necessary in neonates suspected of having congenital syphilis? Radiology. 1992;182(3):637-9. PubMed
- Stephens JR, Arenth J. Wimberger Sign in Congenital Syphilis. J Pediatr. 2015;167(6):1451. PubMed
- Pan T, Hennrikus EF, Hennrikus WL. Modern Day Scurvy in Pediatric Orthopaedics: A Forgotten Illness. J Pediatr Orthop. 2021;41(3):e279-e284. PubMed
- Susilo F, Clarissa S, Handoyono QF, et al. A case report of a childhood scurvy musculoskeletal manifestation: Radiologic findings and diagnostic implications. Radiol Case Rep. 2024;19(8):3235-3239. PubMed
- Kaplan FS, Xu M, Glaser DL, et al. Early diagnosis of fibrodysplasia ossificans progressiva. Pediatrics. 2008;121(5):e1295-300. PubMed
- Tabarestani TQ, Levine N, Sachs E, et al. Giant cell tumor of bone in the pediatric population: a retrospective study highlighting cases of metaphyseal only location and increased local recurrence rates in skeletally immature patients. Skeletal Radiol. 2023;52(12):2399-2408. PubMed
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