先に結論:骨軟化症・くる病

  • 骨軟化症は骨にカルシウム・リンが沈着しない(石灰化しない)病気で、子どもに起こるものをくる病と呼びます。原因はビタミンD不足・腎臓や肝臓の病気・低リン血症(FGF23産生腫瘍など)・薬剤です
  • 成人では骨の透過性の亢進と、骨の表面に垂直な帯状の透亮像(Looser zone・偽骨折)が特徴で、恥骨・坐骨・大腿骨頸部の内側・肋骨に多く見られます
  • くる病では手首・膝の骨幹端が杯状にくぼみ(cupping)、ほつれる(fraying)のが特徴です。原因不明の骨痛と低リン血症では腫瘍性骨軟化症の原因腫瘍を探します

骨軟化症、くる病とは?

  • 骨は類骨組織に骨塩が沈着して形成される。この骨塩の沈着の過程の障害が骨軟化症。この骨軟化症が小児におこったものをくる病という。
  • 骨軟化症は成長が完了した骨に起こり、くる病は成長期に起こる。
  • 原因として最も多いのはビタミンD欠乏(摂取不足・日光浴不足・吸収障害)で、肝や腎疾患による活性型VitDの生成障害も原因となる。
  • 原因疾患としては、慢性糸球体腎炎、先天性尿細管異常(Fanconi症候群など)、胆道閉鎖症など。
  • 他にはVitDの食事からの摂取不足、日光浴の不足、腸管からのVitDの吸収障害も原因となる。
  • また、腫瘍に伴う骨軟化症やくる病がある。腫瘍によって産生されるFGF23(fibroblast growth factor 23)により尿細管のリンの再吸収低下→低リン血症となる。腫瘍性骨軟化症の原因腫瘍は多くが良性の間葉系腫瘍で、小さく見つけにくい。FDG-PETやオクトレオチドシンチグラフィなどの機能画像で候補を探してからCT・MRIで確認し、必要なら静脈サンプリングでFGF23を測る段階的な検索が勧められている。
  • 薬剤性に骨軟化症を認めることがあり、抗痙攣薬、アルミニウム、エチドロネート、静注用鉄剤1)が挙げられる。
  • くる病の所見が目立つのはもっとも成長が盛んな骨幹端。なかでも成長が著しい手関節周囲や膝関節周囲、上腕骨近位で所見を認めやすい。
  • 症状は全身の骨痛や筋力低下など。

骨軟化症、くる病の画像診断

  • 骨軟化症:X線でびまん性の骨陰影減弱、骨梁・骨皮質の不鮮明化、骨の彎曲、および偽骨折(Looser’s zone)。ただし、初期には一般に異常はなし。
    ※Looser’s zone:進行例で見られ、骨表面にほぼ垂直に横走する透明帯。恥坐骨、腸骨、大腿骨近位内側、肋骨、橈骨、脛骨腓骨によく見られる。
  • くる病:上記+正常小児の骨幹端にみられる白い線である予備石灰化層の消失、骨幹端の刷毛状変化(fraying)、杯状のくぼみ(cupping)を伴う。

くる病と骨軟化症(大人)のレントゲン所見の違い

くる病(子ども) 骨軟化症(大人)
見る場所 手首・膝の骨幹端 恥骨・坐骨、大腿骨頸部内側、肋骨
特徴的な所見 骨幹端の杯状のくぼみ・ほつれ・横の広がり、成長板の開大 Looser zone(偽骨折)、骨の透過性亢進、骨梁の不鮮明化
その他 肋骨と肋軟骨のつなぎ目の膨らみ(くる病念珠)、O脚・X脚 骨の彎曲、不全骨折
  • くる病の重さは、手首と膝のX線で骨幹端のほつれ・くぼみと成長板の異常の範囲を0〜10点で評価するスコアで表すことができ、観察者間の一致も良好でした(Thacher 2000)。
  • 骨粗鬆症も骨が黒っぽく(透過性亢進)見えますが、骨梁は比較的はっきりしていて、Looser zoneは見られない点が骨軟化症との違いです。

参考)腎性骨異栄養症

・慢性腎不全に起因する骨変化の総称。

症例 1歳男児 うまく立てない(母親にビタミンD欠乏症の既往)

くる病 膝関節単純X線 正面像(拡大)
引用:Radiopaedia(Rickets)

膝関節単純X線正面像の拡大(注釈付き)です。大腿骨遠位と脛骨近位の骨幹端が杯状にくぼみ(cupping)、辺縁が刷毛状にほつれ(fraying)、横に広がって(splaying)いて、骨端線(成長板)も開大しています。ビタミンD欠乏によるくる病に典型的な所見です。

くる病・骨軟化症でよくある疑問(Q&A)

Q. 大人もくる病になりますか?
A. 成長が終わった大人に起こる同じ病気は骨軟化症と呼ばれ、レントゲンではLooser zoneや骨の透過性亢進が見られます。

Q. どんなときに受診すべき?
A. 子どもの脚の彎曲や歩き方の異常、大人の原因のはっきりしない骨の痛みや筋力低下があれば、医療機関に相談してください。

参考文献
1)画像診断 vol.36 No.12 2016 P1159

  1. Chang CY, Rosenthal DI, Mitchell DM, et al. Imaging Findings of Metabolic Bone Disease. Radiographics. 2016;36(6):1871-1887. PubMed
  2. Chong WH, Molinolo AA, Chen CC, et al. Tumor-induced osteomalacia. Endocr Relat Cancer. 2011;18(3):R53-R77. PubMed
  3. Thacher TD, Fischer PR, Pettifor JM, et al. Radiographic scoring method for the assessment of the severity of nutritional rickets. J Trop Pediatr. 2000;46(3):132-9. PubMed

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