先に結論:骨髄肉腫(白血病の腫瘤形成)

  • 骨髄肉腫(myeloid sarcoma、旧名:緑色腫)は白血病細胞が骨髄の外で腫瘤を作るもので、急性骨髄性白血病の一部(まれ)に見られ、白血病の再発や発症のサインになることがあります
  • 眼窩・皮膚・骨・リンパ節・中枢神経・消化管など全身のどこにでもでき、画像は均一に造影される充実性腫瘤で悪性リンパ腫に似ます
  • 白血病の既往がある人の新しい腫瘤では本症を考え、生検で確認します
  • 呼び名は骨髄肉腫=顆粒球肉腫=緑色腫でほぼ同じものを指し、MRIでは拡散制限を示すことが多いと報告されています

白血病の腫瘍化 Myeloid sarcoma(もとgranulocytic sarcoma ≒ chloroma)

  • 骨髄芽球が骨髄以外の臓器に腫瘍を形成して増殖する病態で、WHO分類ではmyeloid sarcoma(MS)の名称で扱われる。
  • granulocytic sarcoma(顆粒球性肉腫) ≒ chloroma(緑色腫)は未熟な骨髄系細胞の腫瘍形成性腫瘍のみを指していたが、それに加え、単芽球、赤芽球、あるいは巨核球よりなる腫瘍がMyeloid sarcomaとして一括された。
  • 骨髄性白血病以外に、真性多血症などの骨髄増殖性疾患にも合併することがある。
  • 急性骨髄性白血病に伴うまれな病態で、小児に多い。白血病の診断より前・同時・後のいずれにも出現しうる。
  • 小児の場合、部位は眼窩・皮下組織に多い。成人の場合、骨>筋肉、中枢神経、頭頸部に多かったとの報告がある。
  • 骨髄芽球はmaturationがあってもなくてもよい。
  • 骨髄芽球が確かな腫瘍を形成し組織の構造に影響を及ぼす場合以外は、いかなる臓器における浸潤もMyeloid sarcomaとは分類しない。
  • 白血病や、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血性悪性腫瘍においてはびまん性に赤色髄化(過形成骨髄)が起こる。また、このようなびまん性骨髄病変に加えて、骨外性腫瘤が見られやすい疾患としては、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、髄外造血、骨転移などがある。
  • MSを生じやすい組織型は、M5a(monoblastic)、M5b(monocytic)、M4(myelomonocytic)、M2(myeloblastic with maturation)である(いずれも旧FAB分類の病型。現行のWHO分類第5版はFAB分類ではなく遺伝子異常などに基づく)。
  • MSの治療は全身化学療法が基本で、化学療法後の残存・再発病変や症状緩和には局所放射線治療が有効である。

白血病の腫瘍化(腫瘤形成)の画像診断

  • 白血病の腫瘍化(腫瘤形成)はT2WIで骨髄や筋肉と同程度の比較的低信号〜高信号と様々。骨・筋肉の骨髄肉腫41例の検討では、骨病変71個のうち68個が溶骨性で、多くは無症状のまま画像で偶然見つかっていた。MRIではT1強調像で低〜等信号、脂肪抑制T2強調像で高信号を示して造影され、画像所見そのものは非特異的であった。
  • 造影にて乏血性で周囲の血管構造などを巻き込まない。という報告や、均一に増強されるという報告もある。
  • 画像診断のみでは確定診断は困難。生検が必要。成人25例のMRIの検討では、病変部位は骨(52%)・筋肉(28%)・中枢神経(24%)・頭頸部(24%)が多く、筋肉と比べてT1強調像で等〜低信号、T2強調像で軽度高信号(95%)を示し、76%で均一に造影されました。

骨髄肉腫のCT・MRI所見のまとめ

  • 151例の多施設検討では、白血病の診断より前に出たのが9.9%、同時が28.4%、診断後が60.9%で、24.5%は画像で偶然見つかりました。部位は皮膚・骨・リンパ組織の順で、CTでは多くが均一、T2強調像では多くが高信号、T1強調像では低〜等信号で、多くに拡散制限(平均ADC 0.76×10-3mm2/s)を認めました(Meyer 2019)。
  • FDG-PET/CTは早期の病変を感度よく拾い、全身の広がりや治療効果の確認に役立ちます(Lee 2012)。

白血病そのもののMRI所見(骨髄)

  • 正常な成人の骨髄は脂肪が多くT1強調像で比較的高信号ですが、白血病では脂肪が腫瘍細胞に置き換わって骨髄の信号が著しく低下します(Olson 1986)。骨髄肉腫は、これとは別に骨の外へ腫瘤を作る点が違います。

骨髄肉腫でよくある疑問(Q&A)

Q. 緑色腫・顆粒球肉腫・骨髄肉腫は違う病気ですか?
A. ほぼ同じものです。割面が酵素(ミエロペルオキシダーゼ)のために緑色に見えることから緑色腫と呼ばれ、現在のWHO分類では骨髄肉腫(myeloid sarcoma)の名前を使います。

Q. 悪性リンパ腫と区別できますか?
A. 画像だけでは似ていて難しく、生検の免疫染色で決まります。

参考)

・骨軟部疾患の画像診断 第2版P321
・頭頸部領域の画像診断 P835

症例 60歳代男性 左側頭部痛(急性骨髄性白血病で同種幹細胞移植後)

骨髄肉腫(緑色腫) 造影MRI T1強調 横断像
引用:Radiopaedia(Chloroma – acute myeloid leukaemia)

造影T1強調横断像で、左側頭葉前部に辺縁がリング状に強く造影される腫瘤(約4.8×3.2×2.9cm)が見られ、中心部は造影されず壊死と考えられます。症例報告では硬膜に接する腫瘤が側頭骨を越えて広がっており、生検で骨髄肉腫(緑色腫)と診断されています。

あわせて読みたい:骨髄線維症(myelofibrosis)の画像診断

参考文献

  1. Pileri SA, Ascani S, Cox MC, et al. Myeloid sarcoma: clinico-pathologic, phenotypic and cytogenetic analysis of 92 adult patients. Leukemia. 2007;21(2):340-50. PubMed
  2. Shinagare AB, Krajewski KM, Hornick JL, et al. MRI for evaluation of myeloid sarcoma in adults: a single-institution 10-year experience. AJR Am J Roentgenol. 2012;199(6):1193-8. PubMed
  3. Bakst R, Wolden S, Yahalom J. Radiation therapy for chloroma (granulocytic sarcoma). Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2012;82(5):1816-22. PubMed
  4. Khoury JD, Solary E, Abla O, et al. The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Myeloid and Histiocytic/Dendritic Neoplasms. Leukemia. 2022;36(7):1703-1719. PubMed
  5. Chiu AM, Yoon JG, Tirumani SH, et al. Myeloid Sarcoma: A Primer for Radiologists. J Comput Assist Tomogr. 2023;47(3):475-484. PubMed
  6. Kumar R, Hwang S, Antony M, et al. Musculoskeletal Myeloid Sarcoma: Clinical, Imaging, Management, and Outcomes in 41 Adult Patients. J Comput Assist Tomogr. 2025;50(1):133-143. PubMed
  7. Meyer HJ, Pönisch W, Schmidt SA, et al. Clinical and imaging features of myeloid sarcoma: a German multicenter study. BMC Cancer. 2019;19(1):1150. PubMed
  8. Lee EY, Anthony MP, Leung AY, et al. Utility of FDG PET/CT in the assessment of myeloid sarcoma. AJR Am J Roentgenol. 2012;198(5):1175-9. PubMed
  9. Olson DO, Shields AF, Scheurich CJ, et al. Magnetic resonance imaging of the bone marrow in patients with leukemia, aplastic anemia, and lymphoma. Invest Radiol. 1986;21(7):540-6. PubMed

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