subpleural line(胸膜直下線状影)とsubpleural curvilinear shadow(胸膜下曲線様陰影)は、胸部CTにおいて
- 胸膜に平行に走る線状陰影
として観察され、特に間質性肺炎や線維化の初期所見として重要な役割を果たします。
定義:subpleural lineとsubpleural curvilinear shadowの違い
用語 | 定義 | 使用されやすい文脈 |
---|---|---|
subpleural line | 厚さ1~3mmで胸膜に平行に走行する直線状の陰影 | 臨床現場、CT読影レポート |
subpleural curvilinear shadow | カーブ状に胸膜面に沿って走る線状陰影 | 論文・教科書など正式な用語 |
両者は画像的にはほぼ同義であり、Radiology誌のAkiraらの報告でも「subpleural curvilinear shadowとして記載される線状陰影は、実質的にsubpleural lineと同等である」と記述されています。
ですので同じものと考えて問題なさそうです。

また、subpleural bandsと言う用語も同じニュアンスで使われることがあります。
subpleural line / subpleural curvilinear shadowのCT画像的特徴
- 胸膜面にほぼ平行に走る線状陰影
- 厚さは1〜3mm程度、長さは数cm
- 胸膜から1cm未満の距離で出現する
- 血管や葉間裂とは異なる走行
- 下葉に多く見られる。
症例 60歳代男性 COVID-19肺炎
引用:radiopedia
両側肺野に末梢優位にびまん性のすりガラス陰影を認めている。これに加えて、胸膜面にほぼ平行に走る線状陰影を伴っています。
subpleural line / subpleural curvilinear shadowの所見です。
出現しやすい代表的な疾患(文献に基づく)
以下は、subpleural line /subpleural curvilinear shadow が頻繁にみられる疾患として、放射線医学と呼吸器病理の文献により報告されている代表例です。
- 特発性肺線維症(IPF / UIPパターン)
→ 末梢優位な線維化の初期所見としてsubpleural lineが出現 (Travis et al., AJRCCM 2002) - 非特異性間質性肺炎(NSIP)
→ subpleural sparingとともにcurvilinear shadowが報告されている (Akira et al., Radiology 1990) - COVID-19回復期肺炎
→ crazy-paving や DAD の回復過程で subpleural curvilinear shadow を形成 (臨床放射線 2023) - 薬剤性肺障害(抗癌剤、免疫抑制薬)
→ 線維化型やNSIP型で出現しやすい (Johkoh et al., Radiology 2020) - 肺水腫による間質の肥厚
- 加齢性肺線維化
→ 背側・下葉に限局した非特異的subpleural lineが高齢者に出現することあり
読影上の注意点とPitfall
- 正常者でも一時的に見られることがある(臥位や背側優位)(関連:重力効果)
- 血管や葉間裂との鑑別が必要
- 線維化以外の要因(肺腫瘍、無気肺、虚脱など)との区別も重要
まとめ
- subpleural line と subpleural curvilinear shadow は実質同義
- 線維化型間質性肺炎、COVID-19回復期などでよく見られる
- 非特異的所見であるため、必ず臨床情報と併せて解釈
文献引用
- Akira M, et al. Subpleural curvilinear shadow in interstitial lung disease: CT-pathologic correlation. Radiology. 1990;176(2):389–394.
- Travis WD, et al. ATS/ERS consensus classification of idiopathic interstitial pneumonias. AJRCCM. 2002;165(2):277–304.
- 臨床放射線 Vol.68 No.3. 特集「COVID-19関連肺炎の画像所見」, 2023年.
- Johkoh T, et al.(Radiology 2020)。
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