subpleural line(胸膜直下線状影)とsubpleural curvilinear shadow(胸膜下曲線様陰影)は、胸部CTにおいて

  • 胸膜に平行に走る線状陰影

として観察され、特に間質性肺炎や線維化の初期所見として重要な役割を果たします。

先に結論:subpleural line(胸膜直下線状影)とは

  • 胸部CTで胸膜から1cm以内を胸膜と平行に走る細い線状の影で、subpleural curvilinear shadowとほぼ同じ意味で使われます
  • あおむけで撮影したときの背中側では、肺が十分にふくらまない重力効果(正常)でも見られるため、うつぶせ(腹臥位)で消えるかを確認します
  • 消えない場合は、石綿肺・器質化肺炎・過敏性肺炎、COVID-19肺炎の経過中などを考えます
  • 逆に胸膜直下だけ影が保たれる(subpleural sparing)のは、NSIPなどを示唆する別の所見です

定義:subpleural lineとsubpleural curvilinear shadowの違い

用語 定義 由来・使われ方
subpleural line 胸膜に平行に走る細い線状の陰影 一般的な記述用語
subpleural curvilinear shadow 厚さ1〜3mm、胸膜下約1cmを胸膜面に沿って走る細い曲線状の陰影(Fujita 2021) 石綿肺のCT所見として報告された用語(Yoshimura 1986)

両者は画像的にはほぼ同じ所見を指して使われることが多いです。

ですので同じものと考えて問題なさそうです。

また、subpleural bandsと言う用語も同じニュアンスで使われることがあります。

subpleural line / subpleural curvilinear shadowのCT画像的特徴

  • 胸膜面にほぼ平行に走る線状陰影
  • 厚さは1〜3mm程度(Fujita 2021)、長さは数cm〜10cm程度
  • 胸膜から1cm未満の距離で出現する
  • 血管や葉間裂とは異なる走行
  • 下葉に多く見られる。なお、subpleural curvilinear shadowはもともと石綿肺のHRCT所見として報告された用語で、石綿肺19例中15例(78.9%)にみられ、全例で胸壁から1cm未満に位置し、主に下葉に分布していました。線維化の初期変化を反映すると考えられています。

症例 60歳代男性 COVID-19肺炎

引用:Radiopaedia

両側肺野に末梢優位にびまん性のすりガラス陰影を認めている。これに加えて、胸膜面にほぼ平行に走る線状陰影を伴っています。

subpleural line / subpleural curvilinear shadowの所見です。

出現しやすい代表的な疾患(文献に基づく)

以下は、subpleural line /subpleural curvilinear shadow がみられる疾患として文献で報告されている代表例です。

  • 石綿肺
    → この用語が最初に報告された疾患で、線維化の初期変化を反映すると考えられています(Yoshimura 1986)
  • 器質化肺炎・慢性好酸球性肺炎・過敏性肺炎
    → いずれもsubpleural curvilinear shadowがみられる疾患として挙げられています(Fujita 2021)
  • COVID-19肺炎
    → 胸膜に沿うすりガラス影の経過中(発症16日目のCTなど)にsubpleural curvilinear shadowが出現した報告があります(Fujita 2021)。経過観察のCTでsubpleural lineがみられることも報告されています(Wu 2020)
  • 特発性肺線維症(IPF / UIPパターン)
    → 胸膜直下・肺底部優位の線維化を示すため、鑑別として念頭に置きます(IPFの画像診断基準は2022年のATS/ERS/JRS/ALATガイドラインで改訂)
  • 非特異性間質性肺炎(NSIP)
    → 胸膜直下が保たれる(subpleural sparing)ことがある(下記参照)
  • 薬剤性肺障害(抗癌剤、免疫抑制薬)
    → 画像パターンが多彩なため、鑑別に含めて考えます
  • 高齢者の偶然みつかる間質性変化
    → 間質性肺疾患を疑っていない人のCTで偶然みつかる間質性変化は、Fleischner Society(2020年)によりinterstitial lung abnormalities(ILA)と定義され、喫煙者の4〜9%、非喫煙者の2〜7%にみられます。ILAは画像上の進行や死亡率の上昇と関連し、特に胸膜直下の線維化型(subpleural fibrotic subtype)は進行しやすいため、高齢者でも単なる加齢変化と決めつけないことが重要です。

    subpleural sparing(胸膜直下のスペア)とは

    • subpleural sparingは、肺の影が胸膜から約1cm以内の肺の外側部分を避けて(保たれて)分布する所見です(Chong 2021)。胸膜直下に影がある subpleural line とは逆のパターンです。
    • 原因には、NSIP、器質化肺炎、肺胞蛋白症、びまん性肺胞出血、肺水腫、ニューモシスチス肺炎、肺挫傷、COVID-19肺炎などが挙げられています(Chong 2021)。
    • UIPとNSIPを比べたメタ解析では、subpleural sparingはNSIPの40.7%、UIPの4.3%にみられ(中央値)、NSIPを示唆する所見でした(Ebner 2020)。

    線状影・索状影との違い

    所見 向き・形
    subpleural line 胸膜のすぐ内側を、胸膜と平行に走る細い線
    索状影(parenchymal band) 肺の中から胸膜に向かって伸びる帯状の影。瘢痕や無気肺で見られる
    線状影 細い線のような影の総称。部位や向きを添えて記載する

    読影上の注意点とPitfall

    • 正常者でも一時的に見られることがある(臥位や背側優位)(関連:重力効果)
    • 血管や葉間裂との鑑別が必要
    • 線維化以外の要因(肺腫瘍、無気肺、虚脱など)との区別も重要

    まとめ

    • subpleural line と subpleural curvilinear shadow は実質同義
    • 石綿肺、器質化肺炎・過敏性肺炎、COVID-19肺炎の経過中などで見られる
    • 非特異的所見であるため、臨床情報と併せて解釈する。咳や息切れなど気になる症状があれば医療機関を受診してください

    文献引用

    • Akira M, et al. Asbestosis: high-resolution CT-pathologic correlation. Radiology. 1990;176(2):389–394.
    • Travis WD, et al. ATS/ERS consensus classification of idiopathic interstitial pneumonias. AJRCCM. 2002;165(2):277–304.
    • Yoshimura H, et al. Pulmonary asbestosis: CT study of subpleural curvilinear shadow. Radiology. 1986;158(3):653-658.

    参考文献

    1. Yoshimura H, Hatakeyama M, Otsuji H, et al. Pulmonary asbestosis: CT study of subpleural curvilinear shadow. Work in progress. Radiology. 1986;158(3):653-658. PubMed
    2. Akira M, Yamamoto S, Yokoyama K, et al. Asbestosis: high-resolution CT-pathologic correlation. Radiology. 1990;176(2):389-394. PubMed
    3. Hansell DM, Bankier AA, MacMahon H, et al. Fleischner Society: glossary of terms for thoracic imaging. Radiology. 2008;246(3):697-722. PubMed
    4. Travis WD, Costabel U, Hansell DM, et al. An official American Thoracic Society/European Respiratory Society statement: Update of the international multidisciplinary classification of the idiopathic interstitial pneumonias. Am J Respir Crit Care Med. 2013;188(6):733-748. PubMed
    5. Hatabu H, Hunninghake GM, Richeldi L, et al. Interstitial lung abnormalities detected incidentally on CT: a Position Paper from the Fleischner Society. Lancet Respir Med. 2020;8(7):726-737. PubMed
    6. Raghu G, Remy-Jardin M, Richeldi L, et al. Idiopathic Pulmonary Fibrosis (an Update) and Progressive Pulmonary Fibrosis in Adults: An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2022;205(9):e18-e47. PubMed
    7. Fujita J, Nakamura H, Miyagi K, et al. Subpleural Curvilinear Shadows Associated with COVID-19. Intern Med. 2021;60(15):2505-2506. PubMed
    8. Wu J, Pan J, Teng D, et al. Interpretation of CT signs of 2019 novel coronavirus (COVID-19) pneumonia. Eur Radiol. 2020;30(10):5455-5462. PubMed
    9. Chong WH, Saha BK, Austin A, et al. The Significance of Subpleural Sparing in CT Chest: A State-of-the-Art Review. Am J Med Sci. 2021;361(4):427-435. PubMed
    10. Ebner L, Christodoulidis S, Stathopoulou T, et al. Meta-analysis of the radiological and clinical features of Usual Interstitial Pneumonia (UIP) and Nonspecific Interstitial Pneumonia (NSIP). PLoS One. 2020;15(1):e0226084. PubMed

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