非特異性間質性肺炎(NSIP)とは?
もともと2002年の定義ではNSIPは暫定的な疾患でいわゆる“ゴミ箱”的な範疇に入れられていました。
ところが2008年のATS reportからは、NSIPは確立された1つの疾患として定義されています。名前はあまり気にしなくていいでしょう。
- 原因不明の線維性もしくは炎症性間質性肺炎。
- 慢性、ときに亜急性。
- 性差はなく、40〜50歳に好発。
- 主症状は、IPF/UIPと同様に乾性咳嗽、息切れ。
- 治療反応性、時に抵抗性。
- 予後は比較的良好だが、時に不良。
NSIPには2種類ある!
Cellular NSIP
炎症細胞が主体。CTでは、consolidationが特徴。
Fibrotic NSIP
線維成分が主体。CTではすりガラス状陰影が特徴。
※ただし、炎症細胞のみのcellular NSIPは稀であり、全NSIPの数%程度。オーバーラップがあり、画像による鑑別はしばしば困難。
・そしてこれら2種類は予後が全く異なる。Fibrotic NSIPの10年生存率は26%と、UIPよりややよい程度だが、Cellular NSIPの10年生率は100%。
NSIPの画像所見
・CT画像からNSIPパターンと言えればよい。ただし、NSIPパターンを呈するものは特発性だけではなくて、膠原病や過敏性肺臓炎、薬剤性肺炎などでも見られる。
・そこで、最終的な診断はIPF同様、呼吸器内科医、放射線科医、病理医の3者の合議が重要となる。
関連記事)通常型間質性肺炎(UIP/IPF)のCT画像診断のポイントは?ガイドラインは?
NSIPパターンとは?
- 牽引性気管支拡張像を伴う広範なすりガラス影。
- 小葉内網状影。
- volume loss。
- 分布は下葉優位(95%)。下葉内では、様々な分布を示す。
- つまり、胸膜直下優位、気管支血管周囲優位、もしくはびまん性。
- 胸膜下が保たれる(Subpleural spared area)。半数で見られる。
※UIPのような陰影の多彩さはなく、同質の陰影が全体に(気管支血管に沿った分布が多い)認められる。つまり、病変部には正常肺は入り込んでこない。
▶さらに細かく。
cellular NSIP
気管支血管周囲にGGOとconsolidationが主体。内部にairbronchogramを認めることが多い。
Fibrosing NSIP
不正な網状構造が重積するnetwork pattern様のGGO(ときにconsolidation)が主体。fibrosingの方が牽引性気管支拡張、肺構造の収縮、歪みが見られる。
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よくわかりました