胸部CTで見られる重力効果とは?
- 重力と深吸気不足によって胸部CTの肺野条件の両下葉背側の濃度上昇(わずかなすりガラス影)のこと。
- 肺が十分に拡張していないために認める。
- 生理的な肺胞の虚脱によると考えられている。
- 通常左右対称で、背側に行くほど陰影が濃くなることが多い。
- 早期の間質性肺炎と鑑別がつかない場合は、腹臥位CTを撮影することがある。腹臥位CTで陰影が消失すれば間質性肺炎ではなく重力効果であると診断することができる。
症例 80歳代男性
両下葉背側に層状のすりガラス影を認めています。
腹臥位で撮影するとすりガラス影が消えていることがわかります。
この点からこのすりガラス影は早期の間質性肺炎などでなく、重力効果による影響であったことがわかります。
参考文献:肺HRCTエッセンシャルズ 読影の基本と鑑別診断 P9