先に結論:外腹斜筋の解剖

  • 外腹斜筋は腹壁の側腹部の3層の筋肉のうち最も外側にあり、第5〜12肋骨から起こり、腸骨稜・鼠径靭帯・白線(腹直筋鞘)に付きます
  • 線維は上外側から下内側(ポケットに手を入れる向き)に走り、体幹の屈曲・反対側への回旋・腹圧を高める働きがあります
  • 下端の腱膜は鼠径靭帯をつくり、鼠径ヘルニア・腰ヘルニアの解剖を理解するうえで大切です
  • 読み方はがいふくしゃきん、英語はexternal oblique muscle。支配神経は第7〜11肋間神経と肋下神経(T7〜T12)です

外腹斜筋(がいふくしゃきん:abdominal external oblique muscle)は、腹部の外側・前面に位置する筋肉で、体幹の動きや腹腔内圧の調整、姿勢の維持に重要な役割を果たします。

外腹斜筋のCT、MRI画像の解剖

胸腹部のCTやMRI画像を読む上で外腹斜筋がどの場所にあるのか解剖をチェックしましょう。

解剖がよく理解できるように胸部(縦隔条件)の実際のCT画像の外腹斜筋に色を付けてみました。

CTの横断像では以下の場所に外腹斜筋があります。

外腹斜筋は、CT横断像で腹部の最外層に位置する筋肉として確認されます。

自分でCT画像をスクロールしてコロコロ連続画像で見たい方はこちら→外腹斜筋(abdominal external oblique muscle)のCT画像の解剖

症例 60歳代男性

右外腹斜筋に脂肪腫を認めています。腹壁の腫瘤は、まずヘルニアでないことを確かめ、そのうえで脂肪を含むもの・嚢胞性・充実性に分けて考えると整理しやすくなります。脂肪を含む腫瘤で最も多いのは脂肪腫で、充実性腫瘤ではデスモイド腫瘍・肉腫・子宮内膜症・転移などが鑑別になります。

外腹斜筋の起始

第5~第12肋骨の外側面:肋骨の下部から筋線維が始まり、斜め下方・内側に向かって走行します。

外腹斜筋の停止

外腹斜筋は筋線維が集まり、以下の部位に付着します:

  • 腸骨稜:骨盤の外側上部に位置する腸骨の稜線。
  • 鼠径靭帯:上前腸骨棘と恥骨結節を結ぶ靭帯。
  • 白線:正中線に沿って走る腹直筋鞘の結合部分。
  • 恥骨結節・恥骨稜:恥骨の上縁にある突起と稜線(鼠径靱帯を介して付着)。

外腹斜筋の機能

外腹斜筋は体幹の運動や安定に関わる筋肉で、主に以下の機能を果たします:

  • 体幹の回旋:片側が収縮すると、反対側に体幹を回旋させる。
  • 体幹の側屈:同側に体幹を傾ける(側屈の動き)。
  • 体幹の屈曲:両側が収縮すると、体幹を前方に屈曲させる。
  • 腹圧の調整:内臓を支え、排便・排尿・分娩時に腹圧を高める。
  • 呼気の補助:強制呼気時に腹腔を圧迫し、横隔膜を押し上げて空気を排出する。

外腹斜筋の神経支配

肋間神経(T7~T11)と肋下神経(T12):胸椎から出る神経が外腹斜筋を支配します。

外腹斜筋の特徴

  • 線維走行:上外側から下内側に向かって走行し、ポケットに手を入れた際の手の向きに一致する(下斜め方向)。
  • 表層筋:腹壁の最外層に位置し、内腹斜筋や腹横筋とともに腹筋群を形成します。
  • 筋膜の広がり:腹直筋を覆う筋膜(腹直筋鞘)を形成し、白線に合流します。

外腹斜筋の起始・停止・作用・神経支配の一覧

起始 第5〜第12肋骨の外側面
停止 腸骨稜・鼠径靭帯・白線(腹直筋鞘前葉)・恥骨結節
作用 両側:体幹の屈曲・腹圧上昇・強制呼気
片側:同側への側屈・反対側への回旋
神経支配 肋間神経(T7〜T11)・肋下神経(T12)

外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の走行の違い

筋 位置 線維の走行
外腹斜筋 最も外側 上外側→下内側(ポケットに手を入れる向き)
内腹斜筋 中間 外腹斜筋とほぼ直交する向き
腹横筋 最も内側 ほぼ水平

CTでは側腹部に3層の筋が重なって見え、その一番外側の層が外腹斜筋です。前方では腱膜になって腹直筋鞘に加わります。

外腹斜筋と鼠径靭帯

外腹斜筋の腱膜の下端が、上前腸骨棘と恥骨結節の間で内側へ折れ返ったものが鼠径靭帯です。腱膜には精索(女性では子宮円索)が通る裂け目である浅鼠径輪があり、外腹斜筋腱膜は鼠径管の前壁をつくります。鼠径部ヘルニアをCTで読むときは、この位置関係が手がかりになります(Burkhardt 2011)。

外腹斜筋は、第5~第12肋骨から起始し、腸骨稜、鼠径靭帯、白線、恥骨結節に停止する腹部の最外層の筋肉です。体幹の屈曲・回旋・側屈を行うとともに、腹圧を調整し、呼吸の補助や姿勢の維持に関与します。日常動作からスポーツ動作、呼吸機能まで幅広く重要な役割を担う筋肉です。

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参考文献

  1. Burkhardt JH, Arshanskiy Y, Munson JL, et al. Diagnosis of inguinal region hernias with axial CT: the lateral crescent sign and other key findings. Radiographics. 2011;31(2):E1-12. PubMed
  2. Toms AP, Cash CC, Fernando B, et al. Abdominal wall hernias: a cross-sectional pictorial review. Semin Ultrasound CT MR. 2002;23(2):143-55. PubMed
  3. Ballard DH, Mazaheri P, Oppenheimer DC, et al. Imaging of Abdominal Wall Masses, Masslike Lesions, and Diffuse Processes. Radiographics. 2020;40(3):684-706. PubMed
  4. Suarez S, Hernandez JD. Laparoscopic repair of a lumbar hernia: report of a case and extensive review of the literature. Surg Endosc. 2013;27(9):3421-9. PubMed

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