先に結論:上鼻道・中鼻道・下鼻道・総鼻道とは
- 鼻の中(鼻腔)の外側の壁には、上から上鼻甲介・中鼻甲介・下鼻甲介という3つのひだがあり、それぞれの下のすき間を上鼻道・中鼻道・下鼻道と呼びます。真ん中の鼻中隔と甲介の間の空間が総鼻道で、上の方は嗅裂(においを感じる場所)になります
- 副鼻腔や涙の通り道の出口(開口部)は次のとおりです:中鼻道=上顎洞・前頭洞・前篩骨洞、上鼻道=後篩骨洞、蝶篩陥凹=蝶形骨洞、下鼻道=鼻涙管(涙の出口)
- 特に中鼻道には多くの副鼻腔の出口が集まるため、ここが腫れてふさがると副鼻腔炎が起こりやすく、副鼻腔CTでは冠状断で中鼻道まわり(OMC)の通り道を確認します。なお、内視鏡下副鼻腔手術前のCT 800例の検討では、93%に何らかの解剖学的変異(鼻中隔・中鼻甲介の変異など)がみられましたが、同じ変異の組み合わせでも副鼻腔炎の有無は同程度で、変異そのものは病気ではないとされています。
副鼻腔の単純CTの冠状断像の画像を用いて鼻腔の正常解剖について見ていきましょう。
動画解説しましたので、動画を見た上で読んだ方が頭に入るかも知れません。
まず、上から
- 上鼻甲介
- 中鼻甲介
- 下鼻甲介
と三つの隆起があります。

それぞれ
- 上鼻道
- 中鼻道
- 下鼻道
を形成します。

鼻腔の正中には鼻中隔がありますが、そのすぐ左右の空洞は総鼻道と呼ばれます。

総鼻道は上鼻甲介レベルでは、嗅裂と名前を変えます。

嗅裂の上には骨構造があり、ここを篩板といいます。
この篩板の上を嗅神経Ⅰが走行します。

また、後部篩骨洞は上鼻道に開口します。

ちなみに鼻腔と副鼻腔との連続性は
- 中鼻道:前頭洞、前篩骨洞、上顎洞
- 上鼻道:後篩骨洞
- 蝶篩陥凹(上鼻甲介の後上方):蝶形骨洞
- (下鼻道:鼻涙管)
となります。
副鼻腔CTの見方:正常解剖のチェックポイント
副鼻腔CTは、骨の細かい形がわかる薄いスライスの横断像に、冠状断・矢状断を加えて読みます。手術前のCTでは、外科医が手術で進む順番に沿って確認すると、伝えるべき所見を漏らしにくいとされます(Vaid 2011)。
| 見る場所 | チェックすること |
| 鼻中隔 | 弯曲(曲がり)や骨の棘があって中鼻道を狭くしていないか |
| 中鼻甲介 | 中に空気が入って膨らむ(蜂巣甲介:concha bullosa)、逆向きに曲がるなどの変異 |
| 中鼻道まわり(OMC:ostiomeatal complex) | 鉤状突起・篩骨胞・半月裂孔・篩骨漏斗。上顎洞・前頭洞・前篩骨洞の出口が集まる通り道がふさがっていないか |
| 前頭陥凹 | 前頭洞の出口(前頭洞の排泄路)を狭くする篩骨蜂巣がないか |
| 篩板・嗅裂 | 嗅窩の深さと、両側の高さの差(手術で頭蓋底を傷つけないため) |
| 後篩骨洞・蝶形骨洞 | 視神経管や内頸動脈が洞の中へ張り出していないか、蝶形骨洞の外側・上方へ伸びる後篩骨蜂巣(Onodi蜂巣)がないか |
| 上顎洞 | 眼窩の下に張り出す篩骨蜂巣(Haller蜂巣)、上顎洞の出口(自然口)の開存 |
副鼻腔炎の画像診断でCTとMRIはどう使い分ける?
- CT:骨の形をくわしく描出できるため、副鼻腔の病変の有無、骨の破壊(びらん)、解剖学的変異を正確に示し、手術の計画に欠かせない(Hagiwara 2022)。
- MRI:軟部組織のコントラストにすぐれ、眼窩や頭蓋内への合併症、腫瘍の広がり、腫瘍とたまった分泌物の区別に役立つ(Hagiwara 2022)。
- 副鼻腔炎のCTでは、粘膜の肥厚、洞内の液体貯留や液面形成、副鼻腔の出口(特に中鼻道まわり)がふさがっていないかを、上の正常解剖と見比べながら確認する。
副鼻腔CTの解剖でよくある疑問(Q&A)
Q. 総鼻道とはどこですか?
A. 鼻中隔と、外側の上・中・下鼻甲介との間にある縦長の空間です。上・中・下鼻道とつながっていて、上の方(上鼻甲介の高さ)は嗅裂と呼ばれます。
Q. 鼻涙管はCTでどこに見えますか?
A. 眼窩の内側下方から下に向かって上顎骨の中を通る細い管で、下鼻甲介の下の下鼻道に開口します。冠状断や矢状断で上下につながる管として追うとわかりやすいです。
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参考文献
- Vaid S, Vaid N. Normal Anatomy and Anatomic Variants of the Paranasal Sinuses on Computed Tomography. Neuroimaging Clin N Am. 2015;25(4):527-48. PubMed
- Vaid S, Vaid N. Sinonasal Anatomy. Neuroimaging Clin N Am. 2022;32(4):713-734. PubMed
- Lund VJ, Stammberger H, Fokkens WJ, et al. European position paper on the anatomical terminology of the internal nose and paranasal sinuses. Rhinol Suppl. 2014;24:1-34. PubMed
- Earwaker J. Anatomic variants in sinonasal CT. Radiographics. 1993;13(2):381-415. PubMed
- Vaid S, Vaid N, Rawat S, et al. An imaging checklist for pre-FESS CT: framing a surgically relevant report. Clin Radiol. 2011;66(5):459-70. PubMed
- Expert Panel on Neurological Imaging, Hagiwara M, Policeni B, et al. ACR Appropriateness Criteria® Sinonasal Disease: 2021 Update. J Am Coll Radiol. 2022;19(5S):S175-S193. PubMed
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