側脳室の解剖は少しややこしく、
- 前角
- 体部
- 三角部
- 後角
- 下角
の5部位からなります。
これがCTの横断像でどのように見えるのか大まかにまとめてみました。
先に結論:側脳室とは・5つの部分
- 側脳室は、左右の大脳の中にある脳脊髄液(髄液)で満たされた部屋で、CTでは黒く(低吸収)、MRIのT2強調像では白く見えます。左右の側脳室はモンロー孔(室間孔)で真ん中の第三脳室につながり、そこから中脳水道→第四脳室へと髄液が流れます
- 側脳室は 前角(モンロー孔より前・前頭葉側)、体部(モンロー孔〜視床の後ろ)、三角部(体部・後角・下角が合流する広い部分)、後角(後頭葉へ)、下角(側頭葉へ前下方に伸びる)の5つに分けられます
- 画像では、下角の拡大は水頭症でも海馬の萎縮(アルツハイマー病など)でもみられること、三角部には脈絡叢があり石灰化してよく白く見える、などが読影のポイントです
側脳室の各部位の解剖の定義
前角(frontal horn(anterior horn))
Monro孔よりも前の部分で前頭葉に伸びる部分。
体部(body)
Monro孔後端から視床後端までの部分。
三角部(trigone(atrium)
側脳室の体部、後角、下角が三方から合流して広くなった部分。三角形を示す。
後角(occipital horn(posterior horn))
三角部から後頭葉に向かって伸びる部分。形状、サイズには変異が多い。
下角(inferior horn)
三角部から側頭葉内へ前下方に細くのびた部分。
と定義されています。
各部位のまわりにある構造(一覧)
画像で側脳室の部位を見分けるときは、すぐ隣にある構造を目印にすると迷いにくくなります(Rhoton 2002)。
| 部位 | まわりの主な構造(目印) |
|---|---|
| 前角 | 外側に尾状核頭部、内側に透明中隔、前上方に脳梁(膝部) |
| 体部 | 上に脳梁、外側に尾状核体部、下に視床と脳弓。脈絡叢が始まる |
| 三角部 | 大きな脈絡叢(脈絡糸球)があり、石灰化して白く見えやすい |
| 後角 | 後頭葉の中。内側壁に鳥距溝による高まり(鳥距)。左右差が大きい |
| 下角 | 側頭葉の中。底〜内側に海馬、前端の近くに扁桃体 |
側脳室はMRIでどう見える?
側脳室の中は髄液なので、MRIでは水と同じように写ります。
- T1強調像:黒い(低信号)
- T2強調像:白い(高信号)
- FLAIR像:黒い(髄液の信号を消しているため)。脳室のまわりの白質の病変が見やすくなります
側脳室の解剖はCTの横断像でどう見える?
これらを実際のCT画像で確認しましょう。

上のように、まずMonro孔の大まかな目安よりも前方を前角、後方が体部となります。
その背側が三角部で側脳室の体部、後角、下角が三方から合流して広くなった部分で、三角形を示している部分です。
それよりも背側で後頭葉に向かって伸びる部分が後角です。

先ほどのレベルを基準として、それよりやや頭側レベルでは、上のように大まかに前角、体部、三角部となります。

一方で尾側レベルでは、三角部から側頭葉内へ前下方に細くのびた部分である下角を確認することができます。
側脳室の拡大・下角の拡大とは?
側脳室が大きくなる原因は、大きく次の2つに分けて考えます。
- 水頭症:髄液の流れが悪くなったり、たまりすぎたりして脳室がふくらむ状態。前角・下角を含めて脳室全体が丸く張ったように広がります
- 脳の萎縮:脳が小さくなった分だけ脳室が広く見える状態。加齢やアルツハイマー病などでみられます
側脳室の大きさの目安としては、Evans index(両側の前角の最大幅÷頭蓋骨の内側の最大幅)がよく使われ、臨床では0.3を超えると脳室拡大と判断されます。ただし測り方や基準値には議論もあります(Zhou 2021)。
下角は海馬のすぐ隣にあるため、海馬が萎縮すると下角が広がります。CTで下角の幅を測った研究では、特異度を95%に固定したとき、アルツハイマー病の93%、軽度認知障害(MCI)の80%を検出できました(Frisoni 2002)。「側脳室下角の拡大」と言われた場合は、水頭症か、海馬の萎縮か、両方の可能性を考えて全体を見ます。
側脳室でよくある疑問(Q&A)
Q. 「側脳室レベル」「側脳室体部レベル」とは何ですか?
頭部CTやMRIの横断像で、側脳室が写っている高さの断面のことです。体部レベルでは左右の側脳室が「ハの字」のように並び、その外側に大脳の白質が広く写るため、脳梗塞や白質病変を評価するときの基準の断面としてよく使われます。
Q. 側脳室の大きさに左右差があると言われました。病気ですか?
側脳室、特に後角は形や大きさの個人差が大きく、軽い左右差は珍しくありません。ただし、片側だけが急に大きくなった場合や、症状がある場合は、髄液の流れをせき止める病変がないかを確認します。気になる症状があれば医療機関で相談してください。
実際の画像で確かめるには、画像診断cafeの頭部MRIの正常解剖ツールで、スライスを動かしながら構造をタップすると名前が表示されます(無料・登録不要)。全体の見方は頭部MRIの解剖にまとめています。
あわせて読みたい:頭部CTの解剖
参考文献:脳MRI 1.正常解剖P103~112
- Rhoton AL Jr. The lateral and third ventricles. Neurosurgery. 2002;51(4 Suppl):S207-71. PubMed
- Whitehead MT, Oh C, Raju A, et al. Physiologic pineal region, choroid plexus, and dural calcifications in the first decade of life. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(3):575-80. PubMed
- Zhou X, Xia J. Application of Evans Index in Normal Pressure Hydrocephalus Patients: A Mini Review. Front Aging Neurosci. 2021;13:783092. PubMed
- Frisoni GB, Rossi R, Beltramello A. The radial width of the temporal horn in mild cognitive impairment. J Neuroimaging. 2002;12(4):351-4. PubMed
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