先に結論:蝶形骨・蝶形骨洞とは(どこにある?)

  • 蝶形骨は、頭蓋骨の底(頭蓋底)の真ん中にある、羽を広げた蝶のような形の骨です。中央の体部、左右に張り出す大翼・小翼、下へ伸びる翼状突起からなります
  • 蝶形骨洞は、蝶形骨の体部の中にある空洞で、副鼻腔の一つ。鼻の奥のいちばん後ろ、下垂体がおさまるトルコ鞍のすぐ下にあり、すぐそばを視神経や内頸動脈が通ります
  • 蝶形骨洞は前の自然孔から蝶篩陥凹(ちょうしかんおう)へ排出されます。ここがふさがると蝶形骨洞炎(副鼻腔炎)の原因になります

蝶形骨体は前蝶形骨と後蝶形骨(底蝶形骨)からなります。

頭蓋底を上からみたこちらの写真のオレンジの前の赤い部分が蝶形骨です。

蝶形骨洞は前蝶形骨の赤色髄から黄色髄に変換し、含気が生じることにより発生します。MRIでの検討では、生後7か月〜2歳ごろに前蝶形骨の骨髄が脂肪髄に変わり、3歳以降に含気化が進むことが多いと報告されています。含気化の前に見られる脂肪髄は正常の発達過程であり、病変と誤らないことが大切です(Aoki et al. 1989)。

今回は、蝶形骨洞のCT画像における正常解剖についてまとめました。

蝶形骨洞のCT画像における正常解剖(冠状断像)

動画解説しましたので、動画を見ていただいた後で記事を読んでいただくとより頭に入りやすいと思います。

まず冠状断像で蝶形骨洞を囲ってみると、こんなに広範に存在しています。

これは先ほどの頭蓋底の写真を見れば納得できると思います。

最もてっぺんにあり左右に突出しているのが、小翼です。

次に、左右で頭頂骨と縫合する突出が大翼です。

続いて、下方やや外側に突出するのが、翼状突起と呼ばれます。

蝶形骨洞は、蝶形骨の骨に囲まれた空洞部分です。

蝶形骨洞を左右に分けるのが洞中隔と呼ばれます。

続いて前後を走行する孔です。

三叉神経第Ⅱ枝(上顎神経)が走行する正円孔です。

関連記事:正円孔、卵円孔、棘孔、頸動脈管とは?通るものは?中頭蓋底を中心として認められる孔!

また、下の方には翼突管があります。

これら以外にも、蝶形骨洞の内腔に突出する構造としては、視神経隆起、内頚動脈隆起があります。

蝶形骨洞のCT画像における正常解剖(矢状断像)

続いて矢状断像です。

矢状断像は非常にシンプルです。

蝶形骨洞は前方に自然孔があります。

その先には、蝶篩陥凹(ちょうしかんおう)と呼ばれる部分があります。

これは、蝶形骨洞の排泄口となります。(後篩骨洞は上鼻道に開き、蝶篩陥凹とともに後方の排泄路をつくります。)

蝶篩陥凹の閉塞により蝶形骨洞や後篩骨洞に炎症が生じるため、臨床的にも重要です。

 

蝶形骨の主な部位と通るもの(一覧)

部位 場所 通るもの・ポイント
小翼 最も上で左右に突出 視神経管(視神経・眼動脈)をつくる
大翼 左右に大きく張り出す 正円孔(上顎神経)・卵円孔(下顎神経)・棘孔(中硬膜動脈)がある
翼状突起 下方へ伸びる 内側板と外側板
翼突管 翼状突起の付け根を前後に走る 翼突管神経が通る
蝶篩陥凹 蝶形骨洞の前方 蝶形骨洞の排泄口

ということで、今回は蝶形骨洞のCT解剖についてまとめました。

 

関連記事:篩骨洞のCT画像における正常解剖

関連記事:副鼻腔の解剖と排泄経路(開口部)|上顎洞・前頭洞・篩骨洞・蝶形骨洞とOMU・半月裂孔・蝶篩陥凹

参考文献:画像診断 Vol.31 No.11 臨時増刊号 2011 P35

  1. Aoki S, Dillon WP, Barkovich AJ, et al. Marrow conversion before pneumatization of the sphenoid sinus: assessment with MR imaging. Radiology. 1989;172(2):373-5. PubMed
  2. Lund VJ, Stammberger H, Fokkens WJ, et al. European position paper on the anatomical terminology of the internal nose and paranasal sinuses. Rhinol Suppl. 2014;24:1-34. PubMed

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