【胸部】TIPS症例21

【胸部】TIPS症例21

【症例】70歳代男性

石綿関連肺疾患としてフォローされている。

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左下葉の腫瘤影は何?

両側の傍椎体や左横隔膜穹隆部に胸膜肥厚および石灰化を認めています。

石灰化はどちらかというと壁側胸膜側(外側)に認めており、前回の症例20で見た石綿関連の胸膜プラークを疑う所見です。

それに加えて今回は左下葉に胸膜に接して腫瘤影を認めています。

 

肺癌でしょうか?

 

確かに、石綿関連肺疾患では、肺癌の可能性は常に考えなければなりません。

しかし今回は、気管支や血管を巻き込んでクルッと巻いているような像を認めています。

これをまるで彗星の尾のようだということで、comet tail signと呼びます。

これは円形無気肺を示唆する所見で、石綿(アスベスト)関連肺病変の一つです。

ただし、石綿に特異的ではなく、胸水貯留後ならば認めることがあります。

 

診断:円形無気肺、胸膜プラーク

 

なお、副所見として、両側上葉優位に小葉中心性の気腫性変化を軽度認めています。

また右肺尖部には、bulla(ブラ)が散見されます。

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