円形無気肺(round atelectasis)
- 肺が限局的に虚脱し、肥厚した臓側胸膜が肺側に折れ込んだもの。
- 胸水貯留によるものや胸膜の病変に関連することが多く、虚脱が残ってしまうもの。
- 原因は、結核性胸膜炎、アスベストーシス、石綿胸水、その他の非特異的胸膜炎などの胸膜病変後。
- 心不全や尿毒症による胸水貯留、胸部外傷でも起こることがある。
- 男性に多い傾向あり。
- 好発部位は、肺の背側側、傍脊椎領域、特にS10に多い。
- 両側のこともある。
円形無気肺の画像所見
- 円形あるいは類円形の腫瘤影を形成する。
- 胸膜肥厚を伴うことが多い。
- 胸水の既往があることが多い。
- 無気肺部に向かって近くの気管支と動脈が、弯曲するcomet-tail sign(彗星の尾に似ている)を認めることあり。
症例 80歳代男性
左下葉にcomet tail signを有する腫瘤影あり。経時的に変化を認めておらず、円形無気肺としてフォローされています。
この症例を動画でチェックする。
症例 80 歳代の男性。健診の胸部 X 線撮影で異常を指摘。
2014年放射線科診断専門医試験問題24より引用。
右下葉に一部石灰化を有する腫瘤あり。comet tail signを有しており、胸水貯留、胸膜肥厚あり。円形無気肺を疑う所見。
症例 60 歳代の男性。胸膜肥厚があり,経過観察されていたが,最近左下葉に腫瘤を指摘された。 肺癌の鑑別目的で FDG-PETCT を施行した。
2007年放射線科診断専門医試験問題67より引用。
左下葉にcomet-tail signを認める腫瘤あり、形状から円形無気肺を疑う所見。FDGの集積を認めていない点も合致する。
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