
症例53
【症例】40歳代男性
画像はこちら
上行結腸に憩室炎があります。(今回はこちらの解説は省略します。)
右腎盂〜上部尿管の拡張を認めています。
何か閉塞機転があるのでしょうか?
尿管を尾側に追っていきましょう。
尿管を追っていくと途中から追えなくなります。
尿管が消えた?
消える魔球ならぬ、消えた尿管でしょうか?
いやいや、よく観察してみましょう。
すると、消えたと思った尿管が下大静脈の腹側に移動していることがわかります。
尿管の瞬間移動・ワープでしょうか?
いやいや、thin sliceをよく観察しましょう。
thin sliceで見てみると、右尿管は下大静脈の背面を走行していることがわかります。
冠状断で見てみますと、右尿管が下大静脈背側で横切っており、それよりも頭側が拡張している様子が分かります。
イラストで表すと、右尿管は下大静脈の背側をS字状に走行していることがわかります。
これも正常変異の一つで、名前はそのまま、下大静脈後尿管と言います。
診断:下大静脈後尿管
関連:
その他所見:上行結腸憩室炎及び周囲炎症波及所見あり。
ちょっと尿管が追いにくいので動画作成しました。動画内でも苦戦しています(^_^;
消える魔球と言えば、去年のクリスマスで息子がサンタクロースにお願いしたのが、野球盤!!
で、息子がピッチャーをやるときは、消える魔球ばかり投げてくるので全然こちらは打てません(;゚ロ゚)
そんなクリスマスプレゼントの話を職場でしてたら、
「今どき、野球盤とは!!そんな昭和なものを欲しがるんですね!」
と言われました。
確かに。
時代は平成から令和に変わるというのに、野球盤と言えば「超」昭和。
私は持っていませんでしたが小学校時代、友達の家に行けばありましたよね、野球盤。
子どもの欲しがるものはよくわからないなあ、と思っていましたが、次の誕生日は
「ドローンが欲しい」と。
令和ですね。
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
よく確認しないとホントに消える尿管に見えますね。
この間知り合いの子も「野球盤で場外ホームラン打った」とか言っていてどうゆうこと?と思ったんですが、見ると最新の野球盤はゴロではなく浮くんですね。電池使って電光掲示板でしたし色々と凄かったです。
アウトプットありがとうございますw
>見ると最新の野球盤はゴロではなく浮くんですね。電池使って電光掲示板でしたし色々と凄かったです。
そうなんです。
点数やアウトカウント、ストライクカウントも計算してくれます。
ただしその都度ボタン押さないといけないですが。
おもちゃ屋いっても野球盤いろんなのが売っていますので、
この令和時代も需要があるんですね(^_^;
尿路に限らず、骨盤部は矢状断が重宝することが多いですね。
おもちゃも色々進化してますね。
まだ子供はいないですが、おもちゃ売り場を通ると大人でもワクワクしちゃいますね(^▽^)/
アウトプットありがとうございます。
女性骨盤のMRIでは矢状断像は特に注目すべきですね。
>おもちゃも色々進化してますね。
確かに進化しているのですが、野球盤はドローンのある時代に大分差をつけられている感がありますね。
そういえば最近野球盤で遊んでいるのを見た覚えがないですね(^_^;
尿管の走行異常と思いきや、下大静脈の発生異常が原因なんですね…。
そのようですね。
尿管や腎はむしろ被害者みたいなもんですね(^_^;
今までにも見たことがあったのですが名前があったんですね。下大静脈後尿管 確かにそのまんまの名前ですがそういうのに限っていざという時でてこないのでしっかり見直したいです。名前を伝えることができると医師に伝えるときに信憑性がぐっと上がりますもんね。
アウトプットありがとうございます。
名前も大事ですが、こういう奇形があるということを知っておくことがまず大事ですね。
やっぱり、尿管ですよね・・・
静脈と繋がってるようにしか見えなくてパニクってしまいました。
動画、ほんとに助かります。
野球盤、いいですね。ちなみに人生ゲームも基本構造は変わらないものの、内容はかなり進化していて面白いですよ。
アウトプットありがとうございます。
>静脈と繋がってるようにしか見えなくてパニクってしまいました。
動画、ほんとに助かります。
動画役だって良かったです。
>ちなみに人生ゲームも基本構造は変わらないものの、内容はかなり進化していて面白いですよ
人生ゲームも家に2つあります。
もう何度もやってどこに何があるか覚えているくらいです(^_^;
人生ゲームも楽しいですね。
名前がそのままですね笑
やはり腎後性腎不全の原因となるんでしょうね
アウトプットありがとうございます。
そのまま過ぎてセンスがないですね。変な名前より覚えやすいですが・・・
>やはり腎後性腎不全の原因となるんでしょうね
これについて調べてみたのですが、あまりそういう記述が見つからないですね。
尿管は普通はこんな走行しないですね。
尿管は、総腸骨動脈の上(腹側)、子宮動脈の下(背側)を走行しますね。
自分は、↑を中々覚えられなかったのですが、産婦人科のオペ中に、”water(尿管) under the bridge(子宮動脈)、総腸骨動脈と子宮動脈の位置関係はその逆 で覚えれば良いんだよ”と教えてもらったのが印象に残ってます。
アウトプットありがとうございます。
>”water(尿管) under the bridge(子宮動脈)、
覚えやすい覚え方ありがとうございます。
尿管は追えないこともありますが、基本全部追うことができることが多いので、普段から時間があるときに追ってみましょう。
勉強になりました!
今みで傍腎盂性嚢胞でもないし、尿管結成もないのになんで腎盂拡張してるんだろう?って思ってそのままスルーしてたのでとても勉強になりました。
これは比較的に多いんですか?
あと右の鎖骨下静脈の近くに側副血行路がたくさんあるなーと思ったんですけど、これはope後とかに生じたりするんですか?
アウトプットありがとうございます。
>これは比較的に多いんですか?
今回の下大静脈後尿管は多くありません。
おそらく日常臨床で見られているのは腎外腎盂です。
関連
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/5542
>あと右の鎖骨下静脈の近くに側副血行路がたくさんあるなーと思ったんですけど、これはope後とかに生じたりするんですか?
側副血行路ではなく、造影剤が一部逆流しているのでそう見えているのだと思います。
右上肢から造影剤が入ったのでしょう。
下大静脈後尿管は初めての経験でした。
冠状断で尿管が下大静脈の背側を走行しているのがわかりましたが、
まさか下大静脈にまつわりつくような形で走行しているとは。
アウトプットありがとうございます。
原因不明の水腎症などと片付けてはいけないということがわかる症例ですね。
thin sliceで観察しないと厳しいですね。
この画像では腎杯の拡張はありますか?
走行からは尿管だとは思いましたが、腎外腎盂や傍腎盂嚢胞との区別するのに腎杯がよくわからず…。
アウトプットありがとうございます。
腎杯の拡張も認めています。
腎杯はこちらです。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/training/wp-content/uploads/2021/09/Renal-calyx.png