尿路に尿管結石などの閉塞機転があり、それに伴い尿管〜腎盂が拡張することがあります。
腎盂の拡張を水腎症と言います。
この水腎症との鑑別で重要な正常変異が傍腎盂嚢胞と腎外腎盂です。
水腎症としてはいけないベスト2
- 1位 傍腎盂嚢胞
- 2位 腎外腎盂
傍腎盂嚢胞からみていきましょう。
傍腎盂嚢胞(parapelvic cyst)
- 腎盂周囲か腎洞に存在する嚢胞で、リンパ管などの腎洞由来の嚢胞を指す。広義には腎洞内へ突出した単純性嚢胞も含まれる。
- しばしば両側性に発生し、多発する。
- 症状を有することは稀。痛みの原因となる事がある。
- 嚢胞が大きくなると腎盂腎杯が圧排され、腎杯の拡張を来す事がある。
- 水腎症との鑑別が問題となるが、CTでは排泄相を撮影すれば、造影剤の流入が嚢胞内にないことを確認することにより水腎症との鑑別が可能。
症例 80歳代女性 症状なし
両側腎盂に多数の嚢胞を認めています。
造影剤の流入は認めておらず、尿管とは交通のない傍腎盂嚢胞であることがわかります。
傍腎盂のう胞には造影剤が入り混まない点で診断することができます。
症例 80歳代女性
両側に傍腎盂嚢胞を認めています。
続いて腎外腎盂です。
腎外腎盂(Extrarenal pelvis)
- 腎盂には腎内部分、腎外部分が存在する。腎外腎盂は腎盂が腎門部より外に伸展するもので腎外部分の割合が大きいもの。
- 拡張した腎盂のように見えるので注意が必要。
- 水腎症との鑑別は腎杯の拡張の有無。(腎外腎盂は腎杯の拡張がない)
- 水腎症と紛らわしい場合は、体位を変換してみたり、排尿をしてもらってから再検査することもあり。
- 傍腎盂嚢胞との鑑別が難しいことがあるが、腎排泄相で鑑別は可能なことが多い。(腎外腎盂は造影されるが、傍腎盂嚢胞は造影されない。)
症例 40歳代女性 人間ドックでエコー検査で左腎盂拡張を指摘された。
左腎盂の拡張を認めているが、腎杯の拡張を認めておらず、また、尿管結石などの閉塞機転も認めていませんでした。
腎外腎盂を疑う所見。
腎外腎盂は腎杯の拡張がない点を必ず確認しましょう。
この左腎盂〜尿管〜膀胱までの動画をチェックする。