【腹部TIPS】症例87 解答編

症例87

【症例】50歳代男性
【現病歴】他院でエコーにて左水腎症を指摘され、紹介受診となる。

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左水腎症はありますか?

確かに左および右も腎盂の拡張を認めています。

次に排泄相(一番最後の相)を見てみましょう。

排泄相では尿路に造影剤が行き渡り、尿路全体の形状を見ることができます。

(単純CTでもわかることではありますが)両側とも腎盂の拡張は確かに認めていますが、その手前の腎杯には拡張は認めていません。さらに尿管にも拡張は認めていません。

腎杯に拡張がないことは症例86と比較すると明瞭です。

あくまで今回は腎盂の拡張のみです。

つまり、閉塞機転がなく尿路にうっ滞は存在していない状態です。

このように腎盂のみが拡張する状態を腎外腎盂といいます。

腎盂が腎外に飛び出た状態で正常変異です。

 

診断:両側腎外腎盂

 

※腎盂の拡張のみを見て慌てないことが重要ですね。腎外腎盂なので問題ありませんと紹介元に返事がされました。

 

ちなみに左腎は腎の横に造影効果を認めない低吸収域を認めていますがこれは何でしょうか?

これは、だいぶ前ですが、症例27で出てきた傍腎盂嚢胞ですね。

 

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その他所見:

  • 肝S3に血管腫(症例28)あり。
  • Douglas窩に腹膜ネズミ(症例5)あり。

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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