
【症例】50歳代 女性
【主訴】たまに黄色の鼻汁あり
【現病歴】半年前から特に左側で鼻の中が痛いことがあり、来院。
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CT
MRI
まずはCTから見ていきましょう。
左上顎洞に全周性の粘膜肥厚を認めており、一部高吸収域を認めています。
副鼻腔炎を疑う所見です。
やや尾側レベルでは、左上顎洞の中心部に高吸収が目立ちます。
このような片側性の副鼻腔炎に主に中心部に高吸収部位を認めた場合、真菌性の慢性副鼻腔炎の可能性を考える必要があります。
骨条件で見てみると、左上顎洞は後壁(〜外側壁)、前壁ともに骨の肥厚を認めており、慢性的な副鼻腔炎を疑う所見です。
次にMRIを見てみましょう。
DWIやADCでは有意な所見は認めていません。
次にT2WIを見てみましょう。
(直下は空気であるため微妙ではありますが)左の上顎洞の粘膜肥厚の中心部にはT2WIで低信号域あり。
これは真菌性の慢性副鼻腔炎を疑う所見です。
診断:左慢性上顎洞炎(真菌性の可能性あり)
※耳鼻咽喉科入院の上、手術が施行され、アスペルギルスが検出されました。
最終診断:左慢性真菌性副鼻腔炎
関連:真菌性副鼻腔炎とは?アスペルギルスは?画像診断のポイントはこれ!
【顔面+α】症例34の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
以前の慢性副鼻腔炎の症例の際に、コメントで真菌症の画像所見について教えて頂きました。
「慢性副鼻腔炎+石灰様の高吸収」と言うことで、今回は、間違えられないと思いました^^
真菌症と言っても書籍で調べて見ると、タイプ(浸潤性、菌球性、アレルギー性)により画像所見が異なるので難しいと感じました。
アウトプットありがとうございます。
>真菌症と言っても書籍で調べて見ると、タイプ(浸潤性、菌球性、アレルギー性)により画像所見が異なるので難しいと感じました。
そうですね。4タイプあるのでややこしいですが、よく見るものは慢性の非浸潤性ですね。
慢性の上顎洞炎だと指摘することはできましたが、内部高信号が強く、真菌症は前回もう少し淡かったので異なると考えてしまいました。
勘違いでした。前回は好酸球でした…
真菌だとまるで石灰化のように白くなることもあるのですね。覚えておきます。
アウトプットありがとうございます。
好酸球性も真菌性もCTで高吸収になりますが、その分布が異なりますね。
また真菌性は通常片側性ですね。
ただ、高吸収になっている場合は、これらの可能性を考慮することは重要です。