【頸部リンパ節】症例7

【症例】60歳代 女性
【主訴】左腋窩リンパ節腫脹、圧痛
【現病歴】1週間前から左腋窩に痛みあり、次第に大きくなってきた。
【身体所見】BT 36.0℃、左腋窩腫脹、圧痛あり。頸部リンパ節腫脹なし。
【データ】WBC 11400、CRP 4.21

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おい!頸部リンパ節腫脹なしじゃ。もはや頸部リンパ節講座ではないのでは・・・
なので急遽、腋窩に修正しているじゃないですか
こ、姑息な・・・

左の腋窩にリンパ節腫大を認めています。

周囲に脂肪織濃度上昇が目立ちます。

腫大リンパ節の尾側には小リンパ節が散見され、その周囲の脂肪織濃度上昇も目立ちます。

右側には認めていません。

また、今回胸部CTであり、頸部の撮影は一部のみであり、撮影範囲内に有意なリンパ節腫大は認めていません。

 

診断:左腋窩リンパ節腫大(周囲炎症所見あり)

 

 

今回の特徴は、

  • 左腋窩にのみリンパ節腫大がある(明らかな内部壊死は伴っていない)
  • 周囲に脂肪織濃度上昇がある
  • 1週間前からの発症と急性期(〜亜急性期)である
  • 痛みを伴う
  • 炎症反応が高値である

というもので、感染性が疑われます。

 

また、病歴には記載がありませんでしたが、よくよく問診をすると、ネコを飼っており、野良猫との接触もあるとのことです。

となると、猫ひっかき病があやしいですね。

生検をする話があったのですが、猫ひっかき病が怪しいということで前に血液検査で診断をすることなりました。バルトネラ属抗体価判定(私費2万円)の承諾を得たので検体提出しました。

Bartonella henselae 抗体 IgG×1024,IgM×40で、猫ひっかき病と診断されました。

 

最終診断:猫ひっかき病

 

※経過観察で症状消失しました。

関連:猫ひっかき病の画像診断

その他所見:

  • 甲状腺右葉にLDAあり。
  • 漏斗胸の形態。
  • 肝に非特異的石灰化あり。
【頸部リンパ節腫大】症例7の動画解説

さては、頸部リンパ節腫大を認めておる猫ひっかき病の症例がなかったんじゃな。
う・・・・。その通りです。探せど探せど見つからず。

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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