真菌性副鼻腔炎(fungal sinusitis)

- アスペルギルス、ムコールなど(免疫低下状態、糖尿病)
- 急性浸潤性、慢性浸潤性、菌球、アレルギー性の4つに臨床分類、各々の移行や合併の場合もある。
菌球(寄生型)慢性真菌性副鼻腔炎
- 真菌性鼻副鼻腔炎の中では比較的頻度が高い病態。
- 菌糸に凝血塊や白血球などが絡まり、真菌塊(fungus ball)を形成する。
- ほとんどが片側性。
- 上顎洞に多い。上顎洞、篩骨洞>>蝶形骨洞、前頭洞ではまれ。
- 患者の免疫状態が低下した場合、浸潤性病変に移行する可能性あり。
菌球(寄生型)慢性真菌性副鼻腔炎の画像所見
- 菌球は洞中心部に位置し、内部の菌糸を反映する鉄分、マンガン、集簇する石灰化などの強磁性体物質を反映して、CTで高吸収、T2WIで低信号を示すのが特徴。(アスペルギルスの発育には鉄が必要)
- 菌球の石灰化はほとんどが副鼻腔の中心部に球状に存在するのに対し、非真菌性の慢性副鼻腔炎の石灰化は多くが辺縁部に存在する。
症例 70歳代男性

引用:radiopedia
左上顎洞に広範な粘膜肥厚あり。中心部にCTで高吸収、T1WIでは等信号、T2WIで低信号域を認めています。
アスペルギルスによる副鼻腔炎を疑う所見です。
急性浸潤性真菌性副鼻腔炎
- 進行が速く、重篤化しやすい特徴がある。臨床経過は4週間以内であり、免疫不全者、糖尿病、ステロイド投与など、免疫抑制状態の患者に血管浸潤を起こすとされている。多数の限局性骨破壊を認め、悪性腫瘍との鑑別が難しい場合もあり。
- 初期症状は頭痛、発熱など。進行に伴い、眼痛、眼瞼腫脹、眼筋麻痺、視力低下などの重篤な症状を呈することがある。
急性浸潤性真菌性副鼻腔炎の画像所見
- 隣接する洞内に浮腫や軟部影を伴い、進行すると骨破壊を伴うことが多い。
- 菌球と同様の理由でT2WIで低信号病巣として認め、不均一な造影効果を呈する。
- 眼窩先端部アスペルギルス症の場合は、視神経にT2WI低信号、DWI高信号、神経周囲に造影効果を呈する点が重要。
アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎(AFRS)
- 若年者に好発。
- アトピー性皮膚炎や喘息の合併が多い。
- 鼻腔ポリープを特徴とする。
- 真菌に対する1型および3型アレルギー反応、ならびに2型炎症により生じる鼻副鼻腔炎。
アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎(AFRS)の画像所見
- CTでアレルギー性ムチンを反映した副鼻腔を充満する高濃度域を認める。
- MRIではT1WIで淡い高信号から低信号、T2WIで無信号を示す。
- やや片側優位の分布や左右差を示すことが多い。
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