【頸部リンパ節】症例6

【症例】50歳代 女性
【主訴】右頸部腫脹
【現病歴】10日前より右頸部腫脹あり、近医受診。抗生剤処方されるも改善せず来院。
【身体所見】発熱なし。右耳下部リンパ節腫脹複数触知、軽度圧痛・熱感あり。やや硬く可動性不良。
【データ】WBC 5400、CRP 4.92

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まず舌骨よりやや頭側レベルを見てみましょう。

右レベルⅡA、ⅡBに複数のリンパ節腫大を認めています。

また、周囲の脂肪織濃度上昇〜軟部影が目立ちます。

左の頚動静脈の周囲の脂肪濃度と比較すると右側では脂肪織濃度上昇や軟部影に置き換わっていることがわかります。

続いて舌骨レベルを見てみましょう。

ここでも舌骨およびその尾側レベルでレベルⅢを中心に胸鎖乳突筋後縁より背側のレベルⅤAにもリンパ節腫大を認めており、周囲の脂肪織濃度上昇あり。

右頸部が全体的に腫大しているのがよくわかりますね。

次に輪状軟骨レベルを見てみましょう。

輪状軟骨およびその尾側レベルでもレベルⅣに複数のリンパ節腫大および周囲の脂肪織濃度上昇を認めています。

胸鎖乳突筋後縁より背側のレベルⅤBに相当するところにも小リンパ節を認めています。

さらに尾側の甲状腺レベルを見てみましょう。

この辺りはややサイズは小さいですが、レベルⅣ、レベルⅤBにリンパ節を複数認めており、かつやはり周囲の脂肪織濃度上昇を認めています。

 

診断:右頸部多発リンパ節腫大(レベルⅡ、Ⅲ、Ⅳ中心)+周囲の脂肪織濃度上昇が目立つ。

 

今回の特徴としては、

  • 片側性に多発リンパ節腫大を認めている。
  • 内部壊死は認めない。
  • レベルⅡ〜Ⅳで認めている。
  • 周囲に脂肪織濃度上昇・軟部影が目立つ。
  • 亜急性期の経過で認めており、抗生剤で軽減しない。
  • (若年女性とは言えないが50歳代女性である(ちなみに50歳代前半です))
  • (白血球が下がってはいないが上がってもいない)

と言った特徴があります。

特にこれまで見てきたリンパ節腫大の中でも周囲の脂肪織濃度上昇が非常に目立ちます。

このような場合に考えなければならないのが菊池病組織球性壊死性リンパ節炎、亜急性壊死性リンパ節炎などとも呼ばれる)です。

 

※リンパ節生検がなされ、菊池病と最終診断されました。

 

最終診断:菊池病

 

関連:

【頸部リンパ節腫大】症例6の動画解説

 

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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