頸部リンパ節のレベルシステムとは
- Somらによって紹介されたシステムで、画像を基にした頸部リンパ節の分類。
- 再現性に優れているため、実用性が高い。
- ただし、頸部リンパ節領域にのみ系統的に扱ったものであるため、このシステムには含まれないが、実は重要なリンパ節(咽頭後リンパ節など)もあるので注意。
動画解説しました。
レベルシステムの使い方
AJR 174:837-844,2000より引用改変。
おおまかに
の高さと言える。
今どの解剖学的構造が見えるのかで、分類しましょう。
※下の画像はいずれも頸部MRI正常解剖ツールを用いて作成。
中咽頭レベル
- 上の図を見て分かるように、レベルⅠおよびⅡのレベルである。
- 顎二腹筋前腹内側縁、顎下腺後縁、胸鎖乳突筋後縁、僧帽筋前縁が基準となる。
- レベルⅠBは顎下リンパ節に相当。
- レベルⅡはAとBに分かれ、Aは上内深頸リンパ節に相当。
- レベルⅡAは内頸静脈の前方、内側、外側にあるか、内頸静脈に接して後方にあるリンパ節。
- レベルⅡBは内頸静脈との間に脂肪層を挟んで後方にあるリンパ節。
- レベルVAは上部レベルの服神経リンパ節に相当。
症例 60歳代女性 右頸部リンパ節腫脹(生検にてDLBCLと診断)
造影CT
レベルⅡリンパ節の腫大を認めています。
症例 80歳代女性 甲状腺癌術後
造影CT
レベルⅡAリンパ節(上内深頸リンパ節)の腫大を認めています。
甲状軟骨レベル
- レベルⅢ、Ⅴ、Ⅵのレベル。
- 内・総頸動脈内側縁、胸鎖乳突筋後縁、僧帽筋前縁が基準となる。
- レベルⅢとは舌骨体部下縁と輪状軟骨下縁との間で、胸鎖乳突筋後縁より前方、総・内頸動脈内側縁より外側に位置するリンパ節。中内深頸リンパ節に相当。
症例 60歳代女性 右頸部リンパ節腫脹 上と同一症例
造影CT
レベルⅢリンパ節の腫大を認めています。
甲状腺レベル
- レベルⅣのレベル。
- 総頸動脈内側縁、胸鎖乳突筋後縁と前斜角筋後外側縁を結ぶ線、僧帽筋前縁が基準となる。
- レベルⅣとは、輪状軟骨下縁と鎖骨との間で、胸鎖乳突筋後縁と前斜角筋後外側縁を結ぶ線より前内側、総頸動脈内側縁より外側に位置するリンパ節。下内深頸リンパ節に相当。
症例 60歳代女性 右頸部リンパ節腫脹 上と同一症例
造影CT
レベルⅣリンパ節の腫大を認めています。
レベルシステムに含まれない頸部リンパ節
- 鎖骨上窩リンパ節
- 咽頭後リンパ節
- 後頭リンパ節
- 乳突部リンパ節
- 耳下腺リンパ節
- 顔面リンパ節
- 舌あるいは舌下リンパ節
咽頭後リンパ節
- 外側と内側に分けられる。
- 外側咽頭後リンパ節:咽頭後間隙内で内頸動脈と頸長筋の間、前方に位置する。上咽頭癌のリンパ節転移で重要。
- 内側咽頭後リンパ節:咽頭後間隙内で頸長筋の前面で、咽頭後壁背側ほぼ正中に位置する。健常成人ではほとんど見られない。小児でも少ない。
耳下腺リンパ節
- 耳下腺部に位置するリンパ節すべてを総称。
- 解剖学的位置関係より3つに分類される。
- 筋膜上または表層性耳下腺リンパ節
- 筋膜下腺外リンパ節(前あるいは耳介前筋膜下リンパ節、下あるいは耳介下耳下腺下リンパ節)
- 深耳下腺内リンパ節
顔面リンパ節
- 顔面動静脈とその枝の走行に沿って皮下組織内のsuperficial musculoaponeurotic system(SMAS)深部に存在するリンパ節でしばしば欠損する。
- 下顎リンパ節、頬リンパ節、眼窩下リンパ節、頬骨リンパ節、頬骨後リンパ節に分けられる。
舌あるいは舌下リンパ節
- 舌のリンパ管に沿って存在するリンパ節。舌と口腔底との境界付近に存在する。
- 外側舌リンパ節、内側舌リンパ節の2つに分けられる。
参考、一部引用)
・頭頸部画像診断に必要不可欠な臨床、画像解剖 頸部リンパ節 角美佐先生
いつもサイトで勉強させて頂いております。
甲状軟骨レベル
・レベルⅢ〜Ⅳ(+Ⅴ)のレベル。
・内・総頸動脈内側縁、胸鎖乳突筋後縁、僧帽筋前縁が基準となる。
(この下に貼られている画像)
のローマ数字が、レベルⅣ→Ⅵが正しいと思ったのですが、いかがでしょうか?
コメントありがとうございます。
ご指摘いただいた通りでしたので修正しました。
また誤植などございましたらご指摘いただけると幸いです。