
症例62
【症例】60歳代 男性
とある疾患でフォローされている。その疾患とは?
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CT
MRCP
膵頭部の主膵管内に膵石を認めており、膵体部〜膵尾部において主膵管の拡張を認めています。
また、膵石より上流である膵体尾部は全体的に形がいびつで萎縮傾向にあります。
また主膵管内の結石だけでなく、膵にはびまん性に小石灰化を認めています。
次にMRCPを見てみましょう。
MRCPでは水を強調するため、膵管や胆管の様子がよく分かります。
膵石よりも上流の膵管が拡張している様子がよく分かりますね。
(※ちなみに、今回はCTで膵石を確認できていますが、このMRCPだけ見ると腫瘍の可能性も考えなければなりません。)
さて、どういった疾患でしょうか?
これは、慢性膵炎ですね。
慢性膵炎は膵管内に結石があるだけで確定診断となります。
今回はそれに加えて、膵全体にも石灰化を認めており、これも確定診断となる所見です。
ですので、確定診断となる所見が2つもあるということです。
診断:慢性膵炎
※アルコール性慢性膵炎、慢性肝炎でフォローされています。
関連:
その他所見:
- 肝嚢胞あり。
- 胆摘後。
- 両側腎嚢胞あり。
- 両側輸精管の石灰化あり。
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
膵尾部周囲に軽度の脂肪濃度上昇がありますが、慢性膵炎によく見られる所見でしょうか?
画像のみでは急性増悪も疑いたくなりました。
アウトプットありがとうございます。
>膵尾部周囲に軽度の脂肪濃度上昇がありますが、慢性膵炎によく見られる所見でしょうか?
画像のみでは急性増悪も疑いたくなりました。
よく見られる所見ではありません。
過去画像との比較が重要で、この画像だけをみるとおっしゃるように急性増悪も考えなくてはなりません。
胃壁の肥厚は問題ないですか?
アウトプットありがとうございます。
胃壁がこれくらい厚く見られることは正常でもよくあります。
局所的に肥厚していたり、広範な粘膜下層の肥厚が認められていたりすると有意と判断します。
今回は単純ですが、スキルス胃癌の場合は、3層構造が失われ広範に全層性に造影効果を認めることもあり、注意が必要ですが。
胆管も太く見える様な気がしますが、見慣れてないだけで正常なんでしょうね
勉強になります。
アウトプットありがとうございます。
胆管は、胆摘後なので拡張してもよいのですが、それほど目立たないですね。
関連症例(腹部TIPS症例23)
https://imaging-diagnosis.com/view/iZ8kfeQp
輸精管の石灰化も認められるので糖尿病もあると思いました。
アウトプットありがとうございます。
症例1で出てきましたね。
耐糖能異常の可能性がありますね。
腎臓も少し萎縮傾向はありませんか。
慢性膵炎があり、その結果、糖尿病となり、慢性腎不全や両側輸精管の石灰化
を来しているということでしょうか。
「両側輸精管の石灰化あり」と糖尿病との関連はかなり強いのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
少し腎臓も萎縮があるかも知れませんが、明らかな萎縮はないですね。
椎体よりも小さければ明らかな萎縮といえます。
>慢性膵炎があり、その結果、糖尿病となり、慢性腎不全や両側輸精管の石灰化を来しているということでしょうか。
腎不全があるかどうかはこの画像からはわかりませんが、輸精管の石灰化がありますので、そのストーリーの可能性はありますね。
>「両側輸精管の石灰化あり」と糖尿病との関連はかなり強いのでしょうか。
かなり強いですね。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/19570
MRIで慢性肝炎ととるのは難しいでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
膵炎ではなく肝炎ですか?
慢性肝炎は肝臓の形状からある程度予測することは可能です。
関連
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/288
腹部大動脈に石灰化が見られるような気がするのですが、これは糖尿病による影響なのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
糖尿病以外にも高血圧、脂質異常症なども関与していると思われます。
いつもありがとうございます。
CTで慢性膵炎かなと思ったのに、MRCPを見てIPMNとしてしまいました。よく勉強しておきます
アウトプットありがとうございます。
IPMNでも主膵管型の場合は主膵管が拡張しますが、今回は膵石があり、それ以外にも石灰化が散見されますので、素直に慢性膵炎をまずは考えましょう。