
症例63
【症例】20歳代 男性
【主訴】慢性下痢
脾臓の造影効果がおかしいのではないかと指摘されたが、どう答えますか?
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脾臓は早期相でまだらな造影効果を示していますが、平衡相では均一に造影されています。
局所的ではなくて脾臓全体で同様の傾向があります。
脾梗塞でもあるのでしょうか?
悪性リンパ腫でもあるのでしょうか?
ではなく、
脾臓は赤色髄の存在により(赤色髄の脾洞および脾索の流速が一様ではないことに起因)、動脈相で不均一な斑状または縞状の造影パターンを呈することが知られています。
縞模様のように見えることからモアレ像と呼ばれます。
モアレまたはモワレ(仏: moiré)は、干渉縞ともいい、規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた時に、それらの周期のずれにより視覚的に発生する縞模様のことである。(wikipedia)
ということで、正常でこのような所見が見られます。
診断:脾実質のモアレ像(正常)
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
ダイナミック撮影の動脈相において、所見よく見かける所見ですが「モアレ像」というのですね、覚えておきます。
専門外の当直医に、極たまに質問されることあります。
アウトプットありがとうございます。
>専門外の当直医に、極たまに質問されることあります。
そうですね。普段から撮影されている技師さんにとっては常識かもしれませんが、見慣れてない人は少しびっくりするかもしれません。
同じようなまだらな造影効果でも動脈相で肝臓で見られたら異常ですからね。
脾臓ならではですね。
正常所見なのは知っていましたが、機序や名称を知りませんでした。より理解が深まりました。
後輩の指導にも役立ちそうです。
アウトプットありがとうございます。
ダイナミックCTを撮影するとみなさん見たことはあるあるですね。
>後輩の指導にも役立ちそうです。
よかったです(^^)
ところで、この患者さんは非常に大腰筋や腹部の筋肉が発達しており、体脂肪が極端に少なくみえます。
症状の慢性下痢の原因はCT上わからないのでしょうか?
内臓脂肪が少ない方の読影には苦労します。
小腸と思われる一部が肥厚しているようにも見えます。
またSMAの分枝の周囲に低吸収域が取り巻いていますが、リンパでしょうか?(61/225 左総腸骨動脈の腹側)
アウトプットありがとうございます。
>ところで、この患者さんは非常に大腰筋や腹部の筋肉が発達しており、体脂肪が極端に少なくみえます。
若い男性で、おっしゃるように体脂肪が少ないですね。
>症状の慢性下痢の原因はCT上わからないのでしょうか?
今回はわからないと考えています。
>小腸と思われる一部が肥厚しているようにも見えます。
確かに一部小腸内の液貯留が目立つところがありますので、小腸炎の可能性はありますね。
>またSMAの分枝の周囲に低吸収域が取り巻いていますが、リンパでしょうか?(61/225 左総腸骨動脈の腹側)
おっしゃるように(非特異的)リンパ節ですね。