【新腹部救急】症例27
【症例】80歳代男性
【主訴】心窩部痛
【現病歴】本日午前3時頃より心窩部痛出現あり、朝になっても症状おさまらないため近医受診し、当院に紹介受診となる。
【既往歴】大腸ポリープ、急性膵炎、ラクナ梗塞
【身体所見】Murphy徴候陽性
【データ】WBC 12500、CRP 0.42
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胆嚢は腫大し、壁肥厚を認めています。
また胆嚢結石(混合石)を疑う所見を認めています。
さらに、胆嚢床には早期濃染を認めており、炎症波及が示唆されます。
いずれも、急性胆嚢炎を示唆する所見です。
診断:急性胆嚢炎
※身体所見や採血結果と合わせて急性胆嚢炎と診断され、腹腔鏡下胆嚢摘出術が施行されました。
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【新腹部救急】症例27の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
胆嚢や心臓、IVC、腸管などの、張り詰めた感を表現するのに『緊満感』という表現をしますが、「画像を読む専門科」って感じがして、私はこの表現が気に入っています。
アウトプットありがとうございます。
胆嚢炎も胆管炎同様、画像だけで判断するのが非常に難しいですね。
もともとサイズが大きい人もいますし。
その際に「緊満感」の有無というのは判断する上で非常に重要ですね。
混成石が真っ黒に見えることを忘れており、気腫が発生するほどには見えないけどなぁ、こんな黒く見える石あったっけ?と悩んでいました。復習しないと忘れてしまいますね。
アウトプットありがとうございます。
CTでの胆嚢結石は当てにならないですね。見えなくてもMRCPを撮影するとゴロゴロあるということもありますね。
私も気腫?となりました。しっかり覚えます。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
胆石の中の低吸収域はわずかなガスだと思います。
いわゆるメルセデスベンツサインですね。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/18338
ちなみに、胆嚢壁内に気腫があれば、気腫性胆嚢炎の可能性があり要注意です。
正直最初から胆石を見る気はなかったのですが、今回の様な見え方があることも知っておく必要はありますね!
アウトプットありがとうございます。
そうですね。CTでは胆石ははっきりしないことが結構あるので、胆嚢の形状や壁肥厚、周囲の脂肪織濃度上昇などを参考にしたいですね。
あと、ダイナミックCTがあれば早期濃染ですね。
結石に気づけませんでした。
肝臓まで炎症が広がっていてそれなりの胆嚢炎だと思うのですが、あまりCRPは上がってないのですね。
アウトプットありがとうございます。
>結石に気づけませんでした。
胆嚢結石はCTではしばしば少ししか見えなかったり、見えなかったりするので、CTで見えないからといって結石がないとは言えないので注意が必要ですね。
>あまりCRPは上がってないのですね。
遅れて上がってくるのかもしれませんね。
胆嚢炎には気づけたのですが、両側前立腺の辺縁部が低吸収にも見え、前立腺膿瘍?とも思ってしまいました。これは有意なものですか?
アウトプットありがとうございます。
こちらは正常範囲で膿瘍などを疑う低吸収ではありません。