胆石の種類
- コレステロール胆石:純コレステロール石、混成石、混合石
- 色素胆石:黒色石、ビリルビンカルシウム石
- 稀な胆石:炭酸カルシウム石、脂肪酸カルシウム石、他の混成石など
※黒字はCTで高吸収(=白く)に見えることが多いもの、青字はCTで見えないことが多いもの。
コレステロール胆石
純コレステロール石(pure cholesterol stone)
- CTでやや高吸収〜やや低吸収とCTではわからないことも多い。
- 割面はコレステロール結晶が中心より放射状配列。
- 胆石の10%を占める。
混成石(combination stone)
- コレステロール石あるいは混合石をカルシウム塩が包み込んだものなので、辺縁がCTでリング状に高吸収に見える。
- 割面はコレステロールとビリルビンが混在した放射・層状割面。
- 胆石の10%を占める。
症例 50歳代男性
辺縁にリング状の層状構造あり。
混成石を疑う所見です。
症例 70歳代女性
層状に石灰化を認める胆石あり。
混成石を疑う所見です。
混合石(mixed stone)
- コレステロールと色素が混合したもの。コレステロールが多いほど低吸収となり、CTでは見えにくくなる。
- 割面はコレステロールまたは混合石からなる内層とビリルビン結石からなる外層の二層構造。
- Mercedes-Benz(メルセデスベンツ)徴候を見ることがある。内部はガスで、このサインを認めたらコレステロール胆石、なかでも混合石と診断することができる。
- 胆石の40%を占める。
症例 50歳代男性
胆嚢結石を認め内部にメルセデスベンツのロゴのような低吸収域を認めています。
混合石を疑う所見です。
その底部側にも結石あり。
色素胆石
- 黒色石はカルシウムを含んでいることが多く、CTで高吸収に見えることが多い。胆石の約20%を占める。
- ビリルビンカルシウム石は、感染を伴う胆道で形成される。CTで高吸収に見えることが多い。胆石の約20%を占める。
稀な胆石
- いずれもカルシウムを含有しておりCTで高吸収に見えることが多い。
CTで見えない胆石の割合は?
- 胆嚢結石の1割、胆管結石の1割弱は、CTで同定できない。
- 逆に言えば、9割くらいの胆嚢結石、胆管結石はCTで同定できるということになる。
- しかし実際は、造影CTのみ撮影される(造影CTでは単純CTよりも見えないことが多い)ことも多いのと、わずかに高吸収な結石も多数あるため、CTで同定できる結石はもっと少ない。
症例 40歳代男性
造影CTの横断像です。
胆嚢壁肥厚を認めており、胆嚢頚部には高吸収に見える部位あり。(その周りにやや低吸収あり)
CT上は小さな結石の嵌頓かと思われます。
しかし、MRI T2強調像を撮影してみると・・・。
胆嚢頚部にはCTで見られた結石よりもかなり大きな結石があることがわかります。
このようにCTで予測されるよりも実際の結石が大きかったり、CTでは結石がはっきりしないけれどもMRIを撮影すると結石を認めていることはしばしばあります。
ですので、CTで結石がないから、結石がないだろうとは言えないということですね。
全然わからかったです。この辺りを見ると所見があること、CT造影だと、みえずらい。MRIが有効なのですね。
アウトプットありがとうございます。
胆嚢結石はCTよりもエコーやMRIが強い、CTで見えないからと言って結石がないとは言えないということを覚えておきましょう。
同じコレステロール胆石の中でも純コレステロール石、混合石のようなCTで見えないもの(見えにくいもの)と混成石のようなCTで見えるものがあることを初めて知りました。
今まで撮影してきたCT画像で胆石を認めず、慢性胆嚢炎だと思っていた症例がMRCP(MRI)画像では胆石がしっかり確認できた理由が今、理解できました。
とても楽しい症例でした。ありがとうございました。
このページに記載されている胆石の頻度ですが,混合石5%は少なすぎます.一般的には混合石が胆嚢結石においては最多です.胆石症に関する 2013 年度全国調査結果報告 胆道2014;28:612-617 に本邦での頻度が記載されているので参考にされたらと思います.また,胆嚢結石と総胆管結石では結石種類の割合に違いがあるので,CTで同定可能な頻度にも違いが出ることになります.
コメントありがとうございます。
おっしゃるように少なすぎるようで、修正しました。
ご指摘いただきありがとうございます。