【胸部】TIPS症例50
【症例】40歳代男性
【現病歴】人間ドックの胸部CTで異常を指摘された。
【生活歴】喫煙:20本/日×28年
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異常所見は?
両側肺門部リンパ節(いわゆる、BHL:bilateral hilar lymphadenopathy)および右気管傍リンパ節の腫大を認めています。
また、症例25でみた心膜外脂肪塊による心陰影の外側への突出を認めています。
心臓に脂肪がべったりくっついているために本来の心陰影が描出されないんでしたね。
次にCTを見てみましょう。
やはり、縦隔リンパ節が目立ち、中でも右気管傍リンパ節の腫大を認めていることがわかります。
単純CTですので血管との区別がはっきりしないものも多いですが、両側肺門部においても血管だけではなく、リンパ節腫大がありそうだということがわかります。
ちょっと時期が異なるのですが、8ヶ月後の造影CTを見てみましょう。
すると血管とリンパ節の鑑別が非常にわかりやすくなります。
やはり両側肺門部にリンパ節腫大を多数認めていることがわかります。
またその様子は冠状断像で見てみるとより明瞭にわかります。
冠状断像では心膜外脂肪塊の様子もよく分かりますね。
診断:縦隔および両側肺門部に多発リンパ節腫大
さて、このようなリンパ節腫大を見たら考えるべきは
- サルコイドーシス
- 悪性リンパ腫
- 肺小細胞癌
- IgG4関連疾患
などを鑑別に挙げる必要があります。
※縦隔リンパ節生検が施行され、類上皮細胞肉芽腫が陽性であり、サルコイドーシスと診断されました。
最終診断:サルコイドーシスによる縦隔・肺門部リンパ節腫大
※肺サルコイドーシスは症例24で見たようなリンパ節腫大に加えて肺病変が見られるタイプの他に、
- リンパ節腫大のみ←今回はこれ
- 肺病変のみ
の場合もありますので注意しましょう。
また副所見ですが、左副腎結節を認めています。
CT値を測定すると、内部に脂肪を含み、CT値の平均値は5HU(<10HU)であり、副腎腺腫が疑われます。
腹部TIPS症例46でやりましたね。
まだの方はこの機会に取り組んでみてください。
関連:
【胸部】TIPS症例50の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
食道周囲にもリンパ節が目立ち、真っ先に食道癌を除外してほしいと感じました。
最終診断はサルコイドーシスだったのですね、リンパ節腫大のみのサルコイドーシスの症例ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。食道癌も鑑別に挙がりますね。
特に今回は結構下の方の食道周囲にもリンパ節を認めていますね。
単純のみの提示で肺門部リンパ節腫大が少しわかりにくいかもしれませんが、結果的にリンパ節腫大のみのタイプのサルコイドーシスでした。
右肺門部のLN腫大を腫瘤として、左は見すぎかと思い小細胞肺がんと思ってしまいました。サルコイドーシスも一瞬考えたのですが、#10Lを優位と見なかったのが敗因です。先生の講義を受ける前ならサルコイドーシスが浮かんでこなかったのですが、それだけでも進歩かと思います。悪性リンパ腫はともかく、IgG4関連疾患は放射線技師には(私だけかも)思い浮かびにくいので今後要注意します。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
画像だけでは正解に至れませんが、色々考えてみることは重要ですね。
この症例ではリンパ節腫大をしっかり指摘すると言うことが重要となります。
>IgG4関連疾患は
これは皆さん同様だと思います。
やはりサルコイドーシスやIgG4などに疎いなと感じます。
左の肺門リンパ節が原発かと考えてしまいました。
アウトプットありがとうございます。
鑑別はさておき、まずはリンパ節腫大が指摘できればOKです。
色んな要素が詰まったとても楽しい症例でした(^^)
まずはXpと単純CTで肺門リンパ節腫大に気付けるようになりたいです。肺門部が血管陰影にしては高吸収だなと思いましたが。
それと心陰影の拡大=心拡大と考えてしまう癖を正したいです。心膜外脂肪塊や心嚢水の貯留の可能性もありますよね^^;
アウトプットありがとうございます。
>色んな要素が詰まったとても楽しい症例でした(^^)
そう言っていただいて何よりです(^^)
>まずはXpと単純CTで肺門リンパ節腫大に気付けるようになりたいです。
そうですね。ここに違和感を覚えられるかがこの症例の最大のポイントです。
造影CTなら明瞭ですが、単純でおかしいと思えるかですね。
>それと心陰影の拡大=心拡大と考えてしまう癖を正したいです。心膜外脂肪塊や心嚢水の貯留の可能性もありますよね^^;
そうですね。まずは、心膜外脂肪塊を考えたいところですね。
縦隔リンパ節の腫大はいくつかは指摘できました。
腹部単純CTで気付きたいですし、胸部レントゲン写真でもしっかりとチェックできるようにしたいです。
アウトプットありがとうございます。
肺門部リンパ節は単純CTですとスルーしてしまいがちなので注意が必要ですね。