副腎腺腫(副腎皮質腺腫)の画像診断
- 副腎結節を偶発的に認める(incidentaloma)ことは、2−9%。そのような副腎病変を偶発腫(incidentaloma)と呼ぶ。
- incidentalomaのうち4割は腺腫>2割が転移。
- 担癌患者でもサイズが3cm以下なら9割が良性腫瘍。
副腎偶発腫診断の流れ
画像診断 26:1243-1251,2006を一部改変
関連記事)骨髄脂肪腫とは?画像診断のポイントは?
副腎皮質腺腫の画像所見
- 境界明瞭な結節性病変
- サイズが小さい: 偶発腫では4cm以下(癌は5-20cm)
- 単純CT:10HU以下→lipid-rich adenoma
- Chemical shift MRI:腫瘍の信号低下→Iipid-rich adenoma(pitfall:癌でも信号低下することがあるが、通常含有しない。)
- ダイナミックCTでの良好なwashout(癌は腺腫と比べてwashoutが弱い傾向)
- 単純CT10HU以下にPEW[(CTearly-CTdelay)/CTearly]x 100を組み合わせ
- deIay10分後52%:感度100%、特異度98%
- delay15分後60%:感度92%、特異度98%
- delay5分後48%: 感度78%、特異度100%
脂肪の含有が診断にかなり有用ということです。
※ただし、腎細胞癌や肝細胞癌の副腎転移、褐色細胞腫の一部には内部に脂肪を含むことがあり注意が必要。この場合は既往歴、ホルモン異常、症状などから総合的に判断する。
症例 70歳代男性
動画で学ぶ副腎腺腫
左副腎にin-phaseからout of-phaseにかけて信号低下あり。
脂肪の含有が疑われ、副腎腺腫を疑う所見です。
その他、診断のヒントとなる所見を有する副腎腫瘤
- CTで粗大な脂肪塊→骨髄脂肪腫
- CTで粗大な石灰化→陳旧性感染や出血
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いつもお世話になっております。
副腎偶発腫瘍診断の流れのフローチャートの10HU未満で塊状の脂肪なし皮質腺腫とは、副腎皮質腺腫の事ではないという事で、正しいでしょうか?
副腎皮質腺腫は副腎腺腫とは言うが、皮質腺腫とは言わないという理解で大丈夫でしょうか?
用語が混乱するので質問させていただきました。
副腎皮質腺腫=副腎腺腫=皮質腺腫です。
失礼いたします。
ケミカルシフトイメージングというのは、T1強調画像かと思いますが、これは通常の単純MRIで含まれるのでしょうか。それとも特別に追加が必要なものでしょうか。
MRIにおけるASII(信号低下率)というのも、このケミカルシフトイメージングのin→outでの低下率を指すのでしょうか。だとしたら、そのカットオフ値もありますでしょうか。
また、PEWは通常の造影CTで算出できるのでしょうか。それともダイナミックCTを行う必要があるでしょうか。
いろいろすみませんが、教えていただけると幸いです。
コメントありがとうございます。
>T1強調画像かと思いますが、これは通常の単純MRIで含まれるのでしょうか。それとも特別に追加が必要なものでしょうか。
副腎を撮影する場合はルーチンで含まれていると思いますが、施設のルーチンをご確認ください。
>そのカットオフ値もありますでしょうか。
視覚的に判断し、カットオフ値はありません。
>PEWは通常の造影CTで算出できるのでしょうか。それともダイナミックCTを行う必要があるでしょうか。
ダイナミックCTを行う必要があります。
どうもありがとうございます。
副腎/脾臓比(ASR)という値もありますか?
それは何でしょうか?
出典はわかりますか?
初めまして。いつもこちらのサイトには大変お世話になっております。
inとoutの信号比較について教えていただきたくコメントいたしました。
inでは全体的に低信号を示し、outではinより高信号を示す副腎結節の中に一部淡く低信号部分(この部分もinの方が低信号)が見られる場合はどう判断したらよいのでしょうか。
①inよりoutの方がいずれの部分でも信号が高いため、脂肪を含まない
②inは均一な信号だが、outだけで見ると一部信号が落ちているので、脂肪を含む
参考書ではinの方が高信号なので判断しやすいのですが、inで全体的に低信号の場合、outでの信号低下の有無をどう判断したらよいのか悩んでおります。
お忙しいところ恐縮ですが、お教えいただけますと幸いです。よろしくお願い申し上げます。
コメントありがとうございます。
outよりもinが全体的に低信号の場合は脂肪は含有しないと考えます。
また、out→inで信号が低下している場合はヘモジデリン沈着や石灰化、金属沈着、線維性成分の混在などを示唆します。
CTとも合わせて判断したいですね。
関連
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/6598
早々にお返事頂き、また関連する内容についてのリンクまでありがとうございます!
chemical shift imagingではin→outでの信号低下しか気にしていませんでしたが、逆パターンの信号低下もよく見てみることにいたします。
初期研修で放射線科を1ヶ月選択したのですが、とても面白く、これからも画像を勉強していきたいと思いました。
このようにたくさんの内容が勉強できるサイトを開設してくださり、本当にありがとうございます!