【胸部】TIPS症例49
【症例】70歳代男性
【主訴】咳嗽、体重減少
【現病歴】半年くらい前から咳嗽あり。ここ2−3ヶ月で5kgの体重減少あり。
【既往歴】胃癌術後
【生活歴】喫煙歴:18歳〜現在×20本/日
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画像所見と診断は?
まず肺野条件を見てみましょう。
両側気腫性変化が目立ちます。
上葉では大きなブラが散見されます。
小葉中心性の肺気腫に加えて、傍隔壁型肺気腫を認めていることがわかります。
右下葉S9に壁の厚い空洞性病変を認めています。
単なる嚢胞ではなく壁は不整で厚いことがわかります。
ブラや嚢胞に発生した肺癌が疑われます。
次に縦隔条件です。
両側の鎖骨上窩に有意なサイズではありませんが、リンパ節を複数認めています。
サイズは有意(短径で1cm以上)ではありませんが、転移の可能性があります(大きなものは短径が8mm程度あり、転移が疑われます)。
縦隔には明らかなリンパ節腫大を認めています。
下部気管傍リンパ節(#4R、L)や気管分岐下リンパ節(#7)は腫大し癒合し、気管分岐部を圧排・狭小化しています。
リンパ節転移を疑う所見です。
また左副腎に腫大を認めており、転移の可能性があります。
診断:右下葉肺癌+縦隔リンパ節転移の疑い+両側鎖骨上窩リンパ節・左副腎転移の可能性
※気管/気管支の狭小化を認めており、気管支鏡のリスクが高いということで、形成外科で頚部リンパ節生検が施行され、肺腺癌の転移と診断されました。
【胸部】TIPS症例49の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
最近、空洞内に結節影を認めた症例で、肺癌とアスペルギルスが疑われ、BFで肺癌だったという症例がありました。
肺気腫や、間質性肺炎は、肺癌のリスクが高いので不整影には要注意ですね。特に、ブラや線維性変化との境界に発生することが多いと聞きます。
アウトプットありがとうございます。
>空洞内に結節影を認めた症例で、肺癌とアスペルギルスが疑われ、BFで肺癌だったという症例がありました。
画像だけでは判断は難しそうですね。
>肺気腫や、間質性肺炎は、肺癌のリスクが高いので不整影には要注意
おっしゃるとおりですね。通常とは異なった形であたかも炎症のような形態で腫大しますので要注意です。
>ブラや線維性変化との境界に発生することが多いと聞きます。
そうですね。境界部に要注意ですね。
今回はリンパ節腫大があり、比較的迷わずに肺がんと思いましたが、リンパ節腫大がない時でも壁の不整などに気を付けていきたいです。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>リンパ節腫大がない時でも壁の不整などに気を付けていきたいです。
そうですね。気腫やブラがある方の壁肥厚には要注意ですね。
気腫性変化があると肺がんリスクが高いとは聞きますが、気腫やブラ自体や協会が癌化するのですね。胃がんからの転移なのか肺がんの原発なのかよくわかりませんでしたが、空洞などから肺がんだと判断できるのですね。
アウトプットありがとうございます。
>空洞などから肺がんだと判断できるのですね。
そうですね。その可能性(肺癌)が高くなります。
嚢胞などの異常影もさらに発癌などを起こすことがあり、一定のフォローが必要ということですね。リンパ節も大きく腫れるとわかりやすいですね
アウトプットありがとうございます。
嚢胞単発だとそうでもないですが、肺気腫があったり、間質性肺炎がある場合の嚢胞部には注意が必要ですね。
こんばんは。
今回は気管分岐部の癒合腫大したリンパ節について、「一部肺静脈まで浸潤しているのかもしれない」と述べてしまいました。
癒合してリンパ節の元の形状がわかりにくいと、難しいと思いました!
アウトプットありがとうございます。
>「一部肺静脈まで浸潤しているのかもしれない」
そうですね。元の形状が分からず浸潤している可能性もありますね。
気腫性変化+肺癌 =瘢痕っぽく見えてしまうので、注意しないといけないというとてもメッセージ性のある症例だなぁと感じました。
確かに、自分で読影したときに”これはどう解釈したらいいんだろう?ただの瘢痕?それとも何か悪いものなのか・・?”と迷いました。
肝に銘じておきます。
アウトプットありがとうございます。
>気腫性変化+肺癌 =瘢痕っぽく見えてしまうので、注意しないといけないというとてもメッセージ性のある症例だなぁと感じました。
メッセージ届いてよかったです(^^)
気腫性変化や間質性肺炎、嚢胞性変化がベースにある場合は炎症や瘢痕ぽく見える陰影も要注意ですね。
過去画像があればそれとの比較が非常に重要となります。
『気管の狭小化』が分かりません。
普通に見えてしまいます。
気管支鏡を止めるレベルなので相当なのだと思うのですが、どのポイントを見れば狭小化が分かるのでしょうか。
縦隔リンパ節は、リンパ節なのかとても迷いました。縦隔腫瘍や膿にも見える気がして。どう見分けたら良いのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
>『気管の狭小化』が分かりません。
正常例と見比べていただけると狭小化している点が分かるかと思います。
http://medicalimagecafe.com/tool/chest/01.html
(基本的にPCでのみ閲覧可能)
正常例では前後径があまり変わらないまま左右に分岐していきますが、今回の症例では99~103/204あたりで気管から左右に分岐する際に細くなっています。
106 / 204あたりの左気管支はより末梢なのに分岐部よりも太く見えますよね。
こちらは本来の太さに近い太さです。
>縦隔リンパ節は、リンパ節なのかとても迷いました。縦隔腫瘍や膿にも見える気がして。どう見分けたら良いのでしょうか。
おっしゃるように癒合して一塊となっていますので一見リンパ節には見えにくいですね。
膿瘍の場合は内部が低吸収域となって辺縁に造影効果を認めます。
縦隔腫瘍のようにも見えますね。
このような癒合しているリンパ節もある点を覚えておいてください。
ありがとうございます。
冠状断でみるのかと思っていました。
水平断で気管前後径の変化をじっと正常と見比べたら、なんとなく分かった気がします。目測苦手なので、臨床では測ってみようと思います。
Axial 136/204で胃壁背側に胃癌局所再発を疑いました。縦隔や右腋窩、右鎖骨上窩などに腫大リンパ節が偏在していたので胃癌転移の影響は小さく肺病変は肺癌かなと思いつつも、胃癌局所再発+転移は否定できないなとも思いました。
アウトプットありがとうございます。
>Axial 136/204で胃壁背側に胃癌局所再発を疑いました。
胃癌のCTでの診断は難しいですが、3層構造を失った均一な壁肥厚を認めている場合は診断できることがあります。
今回の該当部位は胃壁の襞を見ていると考えられます。
>縦隔や右腋窩、右鎖骨上窩などに腫大リンパ節が偏在していたので胃癌転移の影響は小さく肺病変は肺癌かなと思いつつも、胃癌局所再発+転移は否定できないなとも思いました。
double cancerのこともありますし、リンパ節がどちらからなのかは難しいですね。
いつもありがとうございます。左副腎の腫大がどれを指すのかわからなかったのですが、137,138/204で腎動脈の下にみえる構造物が副腎でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>137,138/204で腎動脈の下にみえる構造物が副腎でしょうか?
136-141まで見えている人字型の構造ですね。
他の先生も書いていますが、気管分岐部で#4RL,#7のリンパ節が一塊になっていますが、気管を圧迫していないと思って見ていました。先生の解説でよくわかりました。正常な症例を見てみると、太いまんま分岐していますね。
今回も総合力が試される問題で、勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
一塊となっているためわかりにくいかもしれませんね。
その目で探しにいかないとリンパ節腫大があることにも気づかないかも知れませんね。