
先に結論:脊髄癒合不全は「開放性(皮膚で覆われない)」と「閉鎖性(皮膚で覆われる)」に分け、閉鎖性は「皮下腫瘤の有無」でさらに分ける。皮膚所見は、MRIで何を探すかを決める手がかりになる
| 分け方 | ポイント |
|---|---|
| 開放性(皮膚被覆なし) | 脊髄髄膜瘤が代表。神経組織が体表に露出する。Chiari Ⅱ型奇形を伴う |
| 閉鎖性・皮下腫瘤あり | 脂肪脊髄(髄膜)瘤、髄膜瘤など。皮膚は連続している |
| 閉鎖性・皮下腫瘤なし | 終糸の異常(緊張終糸・終糸脂肪腫)、背側皮膚洞、脊髄分割奇形、尾部退行症候群など。皮膚の陥凹や毛、あざが手がかりになる |
| 発生との対応 | 一次神経管形成(閉鎖・分離)と二次神経管形成(尾側の形成と退縮)のどの段階の異常かで整理できる |
| 画像の基本 | 評価の中心はMRI。新生児は超音波、胎児はMRIも使う |
脊髄癒合不全とは
脊髄癒合不全(spinal dysraphism)は、胎生期に体の正中の構造がうまく閉じなかったことで生じる、脊椎・脊髄の先天異常をまとめた呼び方です。MRIが診断の中心となる検査と位置づけられており、発生の段階と、臨床所見、画像所見を結びつけて考えると診断しやすくなります(Kumar 2017)。
分類は、病変が皮膚で覆われているかどうかで、まず2つに分けます。
- 開放性(open):神経組織が皮膚に覆われず、体表に露出している。
- 閉鎖性(closed):病変の上に皮膚が連続している。背中に皮下腫瘤を伴う場合と、伴わない場合がある。
この枠組みは、イタリアの小児二分脊椎センターで24年間に診た986人を整理した報告にもとづきます。開放性が353人、閉鎖性が633人で、開放性の大部分は脊髄髄膜瘤でした。閉鎖性は、背中に腫瘤があるかどうかで分け、腫瘤ありの多くは硬膜欠損を伴う脂肪腫と髄膜瘤で、閉鎖性全体の18.8%を占めました。腫瘤なしの閉鎖性は、緊張終糸や脊髄内の脂肪腫などの「単純型」と、脊髄分割奇形や尾部退行症候群などの「複雑型」に分けられています(Tortori-Donati 2000)。
引用元の図 開放性と閉鎖性の違い

引用:Kumar J et al. World J Radiol 2017(Figure 4)(CC BY-NC)
図:開放性と閉鎖性の脊髄癒合不全の臨床写真。開放性(A、頸部の脊髄髄膜瘤の例)では、神経板(プラコード)が外界に直接さらされ、周囲を部分的に上皮化した皮膚が囲んでいます。閉鎖性で皮下腫瘤がある例(B)では、病変の上に皮膚が連続しています。
発生の段階から整理する
多くの病型は、胎生期のどの出来事が障害されたかで説明できます。大きくは次の2つです。
| 発生の段階 | 何が起こるか | 異常で生じる病型(目安) |
|---|---|---|
| 一次神経管形成 | 神経板が丸まって神経管になる(閉鎖)。同時に、表面の外胚葉から切り離される(分離) | 閉鎖の障害:脊髄髄膜瘤など。分離の障害:脂肪脊髄(髄膜)瘤、背側皮膚洞、限局性背側脊髄裂(LDM) |
| 二次神経管形成 | 尾側の細胞のかたまりが空洞化して、遠位の脊髄・円錐・終糸になる。余分な部分は退縮する | 退縮の障害:太い終糸、終糸脂肪腫、遺残髄索、終末脊髄嚢胞瘤。形成の障害:尾部退行症候群 |
一次神経管形成では、神経板が神経管に閉じるとき、同時に表面の外胚葉から離れる「分離」が起こります。二次神経管形成では、尾側の細胞塊に空洞ができて、遠位の脊髄になります(Kumar 2017、図2・図3)。
限局性の分離の異常として、LDMと先天性の皮膚洞(背側皮膚洞)は連続したスペクトラムの両端にあたり、両者の混合型もあると整理されています(Wong 2021)。一方、二次神経管形成の異常は、遠位の脊髄の形成障害から、退縮の失敗(太い終糸、低位円錐、遺残髄索など)まで広がっています(Yang 2021)。ただし、この対応には動物実験にもとづく部分が多く、仮説の段階のものもあります(Yang 2021)。
実用上は、頭側(腰仙部の高い位置)の異常は一次神経管形成、尾側(仙尾部から臀裂付近)の異常は二次神経管形成と対応づけて考えると、覚えやすくなります。ただし例外もあるため、場所だけで決めず、MRI所見と合わせて判断してください。
皮膚の所見から考える
閉鎖性の病変は、皮膚の外から見ただけでは分かりにくいことがあります。そのため、背中から臀部の皮膚所見が、深部の病変を疑うきっかけになります。
| 皮膚所見 | 疑う病型(目安) |
|---|---|
| 皮膚で覆われていない嚢胞状の病変 | 開放性(脊髄髄膜瘤・脊髄裂) |
| 皮下の腫瘤(脂肪腫を触れる、膨らみがある) | 脂肪脊髄(髄膜)瘤、髄膜瘤、終末脊髄嚢胞瘤 |
| 陥凹(ピット)、皮膚洞の開口部、毛、血管腫 | 背側皮膚洞、LDM、緊張終糸・終糸脂肪腫に伴う係留 |
| 臀裂の左右差・ゆがみ、短縮 | 尾部退行症候群など |
| 皮膚に目立つ所見なし | 終糸の異常などが後から係留症状で見つかることがある |
皮膚所見の意味は、数字でも示されています。新生児や乳児で皮膚に所見があった6,558人を集めたメタ解析では、潜在性脊髄癒合不全がみつかった割合は2.8%で、そのうち脳神経外科的な治療を受けたのは0.6%でした。複数の皮膚所見がそろう場合は10.5%、1つだけの場合は2.3%と、複数あるほど高くなっていました。典型的でないえくぼ(atypical dimple)では8.8%、単純なえくぼでは0.6%でした(Choi 2020)。
仙骨部のえくぼについては、直径5 mm未満で肛門から2.5 cm以内の正中にあり、ほかの皮膚所見がない「単純なえくぼ」は脊髄癒合不全と関連せず、画像検査を要しないとされています。大きい、深い、正中を外れる、毛の房や血管腫を伴う、といった非典型の例は、新生児では脊椎の超音波検査、月齢が進んだ乳児や判断に迷う例ではMRIで調べることが勧められています(Eun 2026)。
開放性:脊髄髄膜瘤・脊髄裂とChiari Ⅱ型奇形
開放性では、神経組織が皮膚に覆われずに外に出ています。嚢胞を作るものが脊髄髄膜瘤(myelomeningocele)、嚢胞を作らずに神経板がそのまま見えるものが脊髄裂(myelocele、myeloschisis)です。MRIでは、脊髄髄膜瘤で脳脊髄液を満たした袋が背側に突出し、袋の中に脊髄と神経線維が含まれ、皮膚の被覆がなく皮下脂肪が途切れて見えます(Kumar 2017、図5)。
引用元の図 腰部の脊髄髄膜瘤

引用:Kumar J et al. World J Radiol 2017(Figure 5)(CC BY-NC)
図:腰部の脊髄髄膜瘤。T2強調矢状断(A)、T1強調矢状断(B)、T2強調軸位断(C)。脳脊髄液を満たした袋が後方に突出し(白矢印)、中に脊髄と神経線維を含みます(黒矢印)。皮膚の被覆がなく、皮下脂肪が途切れています。
開放性の脊髄癒合不全では、前述の986人の報告では、開放性の全例にChiari Ⅱ型奇形がありました(Tortori-Donati 2000)。そのため、脊髄髄膜瘤を見たら、脳のMRIで小脳扁桃の下垂や水頭症も確認します。Chiari Ⅱ型奇形についてはキアリ奇形Ⅱ型(ChiariⅡ奇形)とは?MRI所見とⅠ型との違い、脊髄髄膜瘤・脊髄空洞症で詳しく説明しています。
引用元の図 脊髄髄膜瘤とChiari Ⅱ型奇形

引用:Kumar J et al. World J Radiol 2017(Figure 8)(CC BY-NC)
図:頸胸椎部の脊髄髄膜瘤とChiari Ⅱ型奇形の例。T2強調矢状断(A)、T1強調矢状断(B)、T2強調軸位断(C)で、後方に脳脊髄液を満たした袋が突出しています(破線矢印)。皮膚の被覆はなく、同じ高さで脊髄が屈曲し、中心管の拡張(脊髄空洞症を疑う所見)があります。脳のMRI(D〜F)では、小脳扁桃の下垂がみられます。
胎児MRIは、診断の確認に加えて分類にも役立ちます。皮膚で覆われない開放性の病変は、胎児手術の候補になりうるため、出生前の評価が重要です。一方、閉鎖性は、嚢胞(sac)の有無で分類され、嚢胞を伴わない閉鎖性の病変は複雑な型が多く、単純な型は出生前に診断されることが少ないとされています(Nagaraj 2026)。
閉鎖性・腫瘤あり:脂肪脊髄(髄膜)瘤など
皮膚に覆われた皮下腫瘤を伴う閉鎖性の代表が、脂肪脊髄瘤(lipomyelocele)と脂肪脊髄髄膜瘤(lipomyelomeningocele)です。脊髄の背側の神経板に脂肪が付着し、その脂肪が後方の欠損部を通って皮下脂肪とつながります(Kumar 2017、図11)。MRIでは、T1強調像で高信号の脂肪が、脊髄(プラコード)の背側から皮下脂肪へと連続して見えます。
引用元の図 脂肪脊髄瘤

引用:Kumar J et al. World J Radiol 2017(Figure 11)(CC BY-NC)
図:腰仙部の脂肪脊髄瘤。T2強調矢状断(A)、T1強調矢状断(B)、T2強調軸位断(C)。神経板の背側に高信号の脂肪があり、脊柱管後方の欠損を通って、隣接する皮下脂肪(矢頭)と連続しています。脊髄と脂肪の境界(矢印)は脊柱管内にあります。
脂肪脊髄(髄膜)瘤の詳しい所見や終糸脂肪腫との違いは脂肪脊髄髄膜瘤(脊髄脂肪腫)のMRI画像診断と終糸脂肪腫との違いで説明しています。このほか、髄膜瘤や、尾側の嚢胞性病変である終末脊髄嚢胞瘤も、皮下の腫瘤として気づかれます。
閉鎖性・腫瘤なし:終糸の異常、皮膚洞、分割奇形など
腫瘤がない閉鎖性には、病型が多く含まれます。まず、背中に陥凹があるものを見たら、背側皮膚洞(dorsal dermal sinus)を考えます。皮膚から脊柱管内へ続く管で、MRIではT2強調像で低信号の管が皮膚から脊柱管に向かって走り、脊髄係留を伴うことがあります。感染すると類皮嚢胞(デルモイド)ができることもあります(Kumar 2017、図18・19)。背側皮膚洞(先天性皮膚洞)のMRILDMは皮膚洞とつながるスペクトラムの一端にあたり、両者の混合型もあります(Wong 2021)。
皮膚に所見がなくても、終糸が太い(緊張終糸)・終糸に脂肪がある(終糸脂肪腫)と、脊髄が下に引かれる「脊髄係留」を起こします。画像のポイントや症状は係留脊髄(脊髄係留症候群)のMRI別記事で整理しています。二次神経管形成の退縮が止まって、脊髄に似た組織が遠位に残った遺残髄索(retained medullary cord)も、この仲間です(Yang 2021)。
脊髄が縦に2つに分かれる脊髄分割奇形(diastematomyelia)では、骨の隔壁がない型で、2本の半側脊髄が確認されます(Kumar 2017、図21)。仙骨の一部が形成されない尾部退行症候群は、円錐の終わり方が異常になり、腎臓や肛門など周辺の臓器の奇形を伴うことがあります。肛門直腸奇形と脊髄係留の関係は直腸肛門奇形(鎖肛)の画像診断|Krickenbeck分類の病型と、VACTERL合併奇形・脊髄係留の調べ方が参考になります。
骨側の変化は椎弓の癒合不全・欠損の種類とCT画像|脊椎分離症・椎弓根裂・峡後部裂・二分脊椎も参考になります。
病型の早見表
| 病型 | 皮膚 | MRIで見るポイント |
|---|---|---|
| 脊髄髄膜瘤・脊髄裂 | 被覆なし | 神経板が露出、髄液を満たした袋、Chiari Ⅱ型奇形 |
| 脂肪脊髄(髄膜)瘤 | 被覆あり・皮下腫瘤 | T1高信号の脂肪が神経板と皮下脂肪をつなぐ |
| 背側皮膚洞 | 被覆あり・陥凹 | 皮膚から脊柱管へ続くT2低信号の管、係留、類皮嚢胞 |
| 終糸脂肪腫・緊張終糸 | 通常は所見なし | 太い終糸、脂肪、低位円錐 |
| 脊髄分割奇形 | 毛などを伴うことがある | 2本の半側脊髄、骨性または線維性の隔壁 |
| 尾部退行症候群 | 臀裂の短縮など | 仙骨の欠損、円錐の異常な終わり方 |
検査の進め方
MRIは脊髄癒合不全の診断の中心です(Kumar 2017)。月齢の小さい乳児で、非典型のえくぼがあるときは、超音波検査を先に行い、必要に応じてMRIに進みます(Eun 2026)。胎児期にも、MRIで病型の分類をします(Nagaraj 2026)。
撮像では、病変が尾側にあることが多いため、臀部まで十分に含めた範囲を撮ると、尾側の嚢胞性病変や終糸の異常を見落としにくくなります。
よくある疑問(Q&A)
Q. 赤ちゃんの仙骨のあたりにえくぼがあります。MRIが必要ですか?
A. 単純なえくぼ(直径5 mm未満で肛門から2.5 cm以内の正中にあり、ほかの皮膚所見がない)は、脊髄癒合不全と関連しないとされ、画像検査は要しません。大きい、深い、正中を外れる、毛の房や血管腫を伴う場合は検査が勧められます(Eun 2026)。気になる所見があれば、小児科や小児外科で相談してください。
Q. 閉鎖性は症状がないのですか?
A. 閉鎖性でも、脊髄係留によって、足や排尿の症状、整形外科的な変形が出ることがあります。皮膚に目立つ所見がなくても、後から見つかる病型もあります。症状の有無と治療方針は、病型ごとに異なります。
Q. 脊髄髄膜瘤とChiari Ⅱ型奇形は、いつもセットですか?
A. 前述の986人の報告では、開放性の脊髄癒合不全の全例でChiari Ⅱ型奇形がみられました(Tortori-Donati 2000)。このため、脊髄髄膜瘤の評価では、脳のMRIも併せて確認します。
あわせて読みたい:脂肪脊髄髄膜瘤(脊髄脂肪腫)のMRI画像診断と終糸脂肪腫との違い
あわせて読みたい:背側皮膚洞(先天性皮膚洞)のMRI、係留脊髄(脊髄係留症候群)のMRI
参考文献
- Tortori-Donati P, Rossi A, Cama A. Spinal dysraphism: a review of neuroradiological features with embryological correlations and proposal for a new classification. Neuroradiology. 2000;42(7):471-491. PubMed
- Kumar J, Afsal M, Garg A. Imaging spectrum of spinal dysraphism on magnetic resonance: A pictorial review. World J Radiol. 2017;9(4):178-190. PubMed
- Wong ST, Pang D. Focal Spinal Nondisjunction in Primary Neurulation: Limited Dorsal Myeloschisis and Congenital Spinal Dermal Sinus Tract. J Korean Neurosurg Soc. 2021;64(2):151-188. PubMed
- Yang J, Lee JY, Kim KH, et al. Disorders of Secondary Neurulation: Mainly Focused on Pathoembryogenesis. J Korean Neurosurg Soc. 2021;64(3):386-405. PubMed
- Choi SJ, Yoon HM, Hwang JS, et al. Incidence of Occult Spinal Dysraphism Among Infants With Cutaneous Stigmata and Proportion Managed With Neurosurgery: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Netw Open. 2020;3(7):e207221. PubMed
- Eun J, Lee KS, Yang SH. Sacral dimple: clinical perspectives of lesions hidden beneath the skin. Clin Exp Pediatr. 2026;69(2):103-113. PubMed
- Nagaraj UD, Bierbrauer KS, Kline-Fath BM. Fetal imaging approach to spinal dysraphism diagnosis. Pediatr Radiol. 2026;56(8):1664-1677. PubMed
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