
先に結論:twig-like MCAはM1部が細い血管網に置き換わる片側性の異常。内頸動脈終末部・後大脳動脈・経硬膜吻合が保たれる点がもやもや病との違いで、動脈瘤の合併が多く、出血で見つかることがある。確定と血管構築の評価にはカテーテル血管造影(DSA)が使われる
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| どのくらいまれか | 脳血管造影を受けた人の0.088〜1.17%で見つかった報告がある(Viso 2021、Seo 2012) |
| MRA・CTAの見え方 | 片側のM1部が写らないか細く、その周りに細い血管の網。M2より末梢は保たれることが多い |
| もやもや病との違い | 内頸動脈終末部の病変0%対100%、経硬膜吻合0%対51%(Goto 2022) |
| 出血の危険 | 脳卒中で見つかった例の41%が出血。動脈瘤の合併35%(Goto 2022) |
| 誤診 | 29例中20例(69%)が最初はもやもや病と診断されていた(Goto 2022) |
twig-like MCA(網状中大脳動脈)とは
twig-like MCAは、中大脳動脈の水平部(M1部)が、1本の太い幹の代わりに細い血管が網目のように集まった構造(plexiform arterial network)で置き換わって見える異常です。twigは「小枝」の意味で、血管造影で小枝が束になったように見えることから名づけられました。文献では aplastic or twig-like MCA(Ap/T-MCA)、unfused MCA、T-MCA、TL-MCA など複数の呼び方があります。M1部の解剖と区域(M1〜M4)は脳血管(脳動脈)の解剖|中大脳動脈M1〜M4とACA・PCAで確認できます。
成り立ちについては、胎生期にMCAのもとになる細い動脈の網が1本に融合しきれずに残った先天的な異常という考え方が以前から有力で、韓国の15例の検討も「先天的な異常」と位置づけています(Seo 2012)。一方で、もともと正常だったMCAに後から網状の血管が現れた「新たにできた(de novo)twig-like MCA」も報告されています。3施設51例の検討では、正常なMCAから進行した例が3例あり、調べた15例中7例(46.7%)にRNF213 R4810K変異がみられたことから、後天的に生じる病変である可能性が論じられています(Park 2026)。成り立ちはまだ決着していないと考えておくのが妥当です。
中大脳動脈のほかの正常変異(重複中大脳動脈・副中大脳動脈・窓形成)は中大脳動脈の破格・正常変異のMRA画像にまとめています。twig-like MCAは、正常変異として放置してよいものではなく、出血や虚血の原因になりうる点で扱いが異なります。
どのくらいの頻度で見つかるか
頻度の報告は、母集団(どんな人が血管造影を受けたか)によって大きく違います。
| 報告 | 対象 | twig-like MCAの頻度 |
|---|---|---|
| Seo 2012(韓国) | 脳血管造影を受けた1,282人 | 15人(1.17%) |
| Viso 2021(アルゼンチン) | 脳血管造影を受けた10,234人 | 9人(0.088%) |
| Onoue 2021(米国) | 4血管の診断的血管造影657人 | 3人(0.45%) |
| Ryu 2025(フランス) | 脳血管造影3,214件 | 12人(0.37%) |
| Zedde 2024(イタリア) | 非侵襲的検査でもやもや病が疑われた成人30人 | 5人(16.7%) |
もやもや病が疑われて紹介された人に限ると、twig-like MCAの割合は無視できない数字になります(Zedde 2024)。MRAやCTAで「片側のMCAの狭窄・閉塞+細い血管」を見たときは、この異常を鑑別に入れておく価値があります。
MRA・CTAでの見え方
頭部MRA(TOF法)やCTAでは、片側のM1部が途中から写らない、または細く途切れて見え、その周囲に細かい血管の集まりが写ります。網の先ではM2部より末梢の枝が写ることが多く、網がM1部の代わりに末梢へ血流を届けている形です。MRAの基本的な見方は頭部MRAとは?MRIとの違い・わかること、CTAとMRAの得手不得手はCTAとMRAの違いと使い分けを参照してください。
ただし、MRAやCTAの空間分解能では網の細かい構造までは描き出せず、動脈硬化による閉塞やもやもや病の側副路と見分けにくいことがあります。そのため確定には血管造影(DSA)が使われます。イタリアの5例の報告も、DSAで血管構築(網に血液を送る副中大脳動脈・Heubner反回動脈・前脈絡叢動脈など)を確かめることが鑑別に欠かせないとしています(Zedde 2024)。
DSAで確かめること
- 網に血液を送っている枝:Heubner反回動脈と副中大脳動脈が5例中3例(60%)、前脈絡叢動脈が5例中4例(80%)で網を栄養していました(Zedde 2024)。12例の検討ではHeubner反回動脈が10例(83.3%)で網に関わっていました(Ryu 2025)。
- 動脈瘤の有無:網の中や、網に血液を送る枝に動脈瘤ができることがあります(Seo 2012、Goto 2022)。
- 穿通枝(レンズ核線条体動脈)の吻合:脳実質内出血で発症した4例中3例に、レンズ核線条体動脈がループを作る吻合がみられ、出血の危険と関係する可能性が示されています(Ryu 2025)。
- 反対側やほかの血管の異常:同じ側・反対側の血管の破格を伴うことが多く、15例中12例(80%)に別の脳動脈の異常がありました(Seo 2012)。
症例 50歳代男性 CTAで見つかったtwig-like MCA

引用:Rios Victoria AF, Trejo Olguin E, Luna Marroquin AK, et al. Twig-Like Middle Cerebral Artery Anomaly Mimicking Vaso-Occlusion Disease: A Rare Neuroimaging Finding. Cureus 2025;17(6):e86883(Figure 1)(CC BY 4.0)
CTAの横断像(A)と冠状断(B・C)、MIP像で、右中大脳動脈のM1部に異常な網状の血管(緑の矢印)がみられます。左中大脳動脈は早い位置で3本に分かれていました(C、橙の矢印)。この例は外傷の検査で撮ったCTAで見つかり、DSAで右側のtwig-like MCAと確かめられています。
もやもや病との区別
twig-like MCAが問題になるのは、もやもや病(もやもや血管症)とよく似て見えるためです。日本の多施設研究では、twig-like MCA 29例ともやもや血管症57例を比べ、twig-like MCAの69%(20例)が最初はもやもや病と診断されていました(Goto 2022)。この研究で両者に差がみられた点を表にします。
| 項目 | twig-like MCA(29例) | もやもや血管症(57例) |
|---|---|---|
| 平均年齢 | 47歳 | 39歳 |
| 内頸動脈終末部の病変 | 0% | 100% |
| 後大脳動脈の病変 | 0% | 23% |
| 経硬膜吻合 | 0% | 51% |
| 頭蓋内動脈瘤 | 35% | 11% |
| ほかの動脈の破格 | 48% | 12% |
| 脳卒中で発症 | 59% | 86% |
| 無症状 | 28% | 12% |
出典:Goto 2022
読影で押さえる要点は次の3つです。1つ目は、内頸動脈終末部(C1部)が保たれているかどうかです。もやもや病は内頸動脈終末部から前・中大脳動脈の起始部にかけての狭窄・閉塞が基本で、twig-like MCAではこの部分に病変がありません。2つ目は、病変が片側のMCAに限られるかどうかです。15例の検討では異常は全例で片側のM1部に限られ、隣の主要動脈に狭窄はありませんでした(Seo 2012)。3つ目は、外頸動脈系からの経硬膜吻合がないことです(Goto 2022)。もやもや病のMRI・MRA所見(ivy signなど)はもやもや病のMRI・MRA画像診断で解説しています。
一方で、twig-like MCAとRNF213 R4810K変異(もやもや病の感受性遺伝子として知られる変異)の関係を示す報告もあり(Park 2026)、両者がまったく無関係とは言い切れません。画像の所見で区別したうえで、経過で変化しないかを見ていくことになります。動脈硬化による中大脳動脈の閉塞も鑑別に入り、年齢や血管壁の所見、ほかの動脈の動脈硬化の程度を合わせて考えます。
出血の危険と症状
twig-like MCAは無症状で見つかることもありますが、出血と虚血のどちらでも発症します。報告ごとの発症の内訳を表にします。
| 報告 | 出血 | 虚血 | 無症状・頭痛など |
|---|---|---|---|
| Seo 2012(15例) | 6例(40%) | 5例(33.3%) | 4例(26.7%) |
| Viso 2021(9例) | 5例 | 記載なし | 記載なし |
| Ryu 2025(12例) | 4例 | 5例 | 3例 |
| Park 2026(51例) | 8例(15.7%) | 18例(35.3%) | 偶然の発見25例(49.0%) |
出血の原因としては、網の中や側副路にできた動脈瘤の破裂、網と脳室周囲の血管の吻合、拡張したレンズ核線条体動脈などが報告されています。Visoらの5例の出血は、前交通動脈瘤の破裂2例、脳室周囲の吻合による脳内出血2例、原因のはっきりしない脳室内出血1例でした(Viso 2021)。Goto 2022の多施設研究でも、脳卒中で発症した人のうち出血の割合はtwig-like MCAで41%と、もやもや血管症の29%より高い結果でした。
くも膜下出血で見つかる例もあります。イランの3例の報告では、2例がくも膜下出血で発症し、1例は偶然見つかりました(Hejazian 2026)。動脈瘤が見つからないくも膜下出血や、若い人の基底核・脳室内出血で、片側のM1部の異常がMRA・CTAに写っていないかを見直すことが大切です。
症例 20歳代女性 突然の頭痛で受診したtwig-like MCA

引用:Hejazian E, Kazemi I, Ebrahimi H, et al. Twig-like middle cerebral artery: Clinical and radiological features – a study of three patients from a single center. J Cerebrovasc Endovasc Neurosurg 2026;28(2):177-183(Fig. 1)(CC BY-NC 4.0)
MRAの横断像(A)で、右中大脳動脈のM1部に流れが写らず、細い血管の網に置き換わっています。右内頸動脈造影(B)でも、M1部が網状の動脈(矢印)に置き換わっていることが確かめられました。この例は保存的に治療され、経過観察となりました(Hejazian 2026)。
治療と経過観察の考え方
治療の方針は症例ごとに決められており、確立した基準はありません。報告では、動脈瘤があればクリッピングやコイル塞栓術で動脈瘤そのものを治療し、血腫の吸引や間接的な血行再建術が行われた例もあります(Seo 2012)。無症状の例は経過観察となることが多く、画像では動脈瘤の新たな出現や網の変化がないかを見ます。新たにtwig-like MCAが現れた例や、無症状から脳内出血に進んだ例も報告されているため(Ryu 2025、Park 2026)、一度の検査で「変わらない異常」と決めないことが大切です。具体的な検査の間隔や治療の選択は、主治医・脳神経外科医の判断によります。
よくある疑問(Q&A)
Q1. MRAでM1が途切れて見えたら、すぐもやもや病と考えてよいですか?
決められません。片側のM1部だけが途切れ、内頸動脈終末部と後大脳動脈が保たれ、経硬膜吻合がない場合はtwig-like MCAを考えます(Goto 2022)。動脈硬化による閉塞や塞栓の可能性もあり、確定にはDSAで血管構築を確かめることが勧められています(Zedde 2024)。
Q2. twig-like MCAは生まれつきのものですか?
以前は胎生期の動脈の網が残った先天的な異常と考えられてきました(Seo 2012)。しかし正常なMCAから新たにできた例が報告され、後天的な病変とする考え方も出ています(Park 2026)。成り立ちはまだ結論が出ていません。
Q3. どんな出血を起こしますか?
動脈瘤の破裂によるくも膜下出血、網や穿通枝の吻合からの脳内出血、脳室内出血が報告されています(Viso 2021、Ryu 2025)。15例の検討では動脈瘤の合併は33.3%でした(Seo 2012)。
Q4. 無症状で見つかったらどうしますか?
多くは経過観察となりますが、動脈瘤の有無や血管構築を確かめたうえで方針が決まります。新たな動脈瘤や網の変化が起こりうるため、画像で経過を見ていきます(Ryu 2025)。頭痛の悪化や手足の脱力・言葉の出にくさなど新しい症状が出たときは、早めに医療機関を受診してください。
参考文献
- Seo BS, Lee YS, Lee HG, et al. Clinical and radiological features of patients with aplastic or twiglike middle cerebral arteries. Neurosurgery. 2012;70(6):1472-80. PubMed
- Goto Y, Nanto M, Oka H, et al. Radiological and clinical features of twig-like middle cerebral artery in comparison with moyamoya angiopathy: a multicenter retrospective study. J Neurosurg. 2022;137(6):1718-1726. PubMed
- Viso R, Lylyk I, Albiña P, et al. Hemorrhagic events associated with unfused or twig-like configuration of the Middle cerebral artery: A rare vascular anomaly with clinical relevance. Interv Neuroradiol. 2021;27(2):285-290. PubMed
- Onoue K, Nguyen TN, Mian A, et al. Twig-like middle cerebral arteries: Clinical and radiological findings. Clin Imaging. 2021;73:31-37. PubMed
- Zedde M, Moratti C, Pavone C, et al. Twig-like Middle Cerebral Artery: Case Series in a European Population. World Neurosurg. 2024;183:e11-e21. PubMed
- Ryu B, Sgreccia A, Pizzuto S, et al. Angioarchitecture of Twig-like Middle Cerebral Artery: the Looping Lenticulostriate Artery Anastomoses as an Angiographic Landmark for Hemorrhagic Presentation. Clin Neuroradiol. 2025;35(3):433-442. PubMed
- Park YK, Yoon BH, Hwang EH, et al. Twig-Like Middle Cerebral Artery : Acquired Lesion Rather than Congenital Anomaly. J Korean Neurosurg Soc. 2026;69(1):51-60. PubMed
- Hejazian E, Kazemi I, Ebrahimi H, et al. Twig-like middle cerebral artery: Clinical and radiological features – a study of three patients from a single center. J Cerebrovasc Endovasc Neurosurg. 2026;28(2):177-183. PubMed
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