
先に結論:PMRでは関節の中よりも、滑液包・腱のまわりの炎症が目立つ。棘突起間滑液包、肩、股関節、坐骨結節への集積の「組み合わせ」が手がかりになる
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 頸椎MRI | 未治療のPMR 12人の全員に頸椎の棘突起間滑液包炎。中等度以上はPMRで83.3%、対照で30.7%。部位はC5〜C7(Salvarani 2008) |
| PET-CTの好発部位 | 棘突起間滑液包、股関節、坐骨結節、肩、胸鎖関節の集積がPMRの診断と関連(van der Geest 2021) |
| 組み合わせ | 坐骨結節の近く+(肩関節周囲 または 棘突起間滑液包)で感度90.9%・特異度92.4%(Owen 2020) |
| 症状との関係 | 棘突起間滑液包炎は腰椎に多く、頸部痛・腰痛の有無とは相関しなかった(Camellino 2014) |
| 注意点 | 1か所の集積だけでは決まらない。脊椎関節炎などとも重なる(Pean de Ponfilly-Sotier 2022) |
リウマチ性多発筋痛症(PMR)と画像
リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica、PMR)は、50歳以上の人に多い炎症性の病気で、両肩や首、腰・股関節まわりの痛みとこわばりで始まります。血沈やCRPが上がり、巨細胞性動脈炎と関係が深い病気として知られています。PMRの診断は臨床症状と血液検査が中心で、画像はほかの病気を除き、炎症の分布を確かめるために使われます。
2012年に欧州リウマチ学会(EULAR)と米国リウマチ学会(ACR)が示した暫定的な分類基準では、50歳以上で両肩の痛みがあり、ほかの病気で説明できない人を対象に、朝のこわばり(45分を超える)、股関節の痛みや動きの制限、リウマトイド因子・抗CCP抗体が陰性、末梢関節の痛みがないこと、を点数にしています。超音波の所見を加えた採点も示されました。ただしこの基準は分類のためのもので、診断のための基準ではないと明記されています(Dasgupta 2012)。
画像で見ると、PMRの炎症は関節の内側(滑膜)よりも、関節のまわりの滑液包や腱のまわり(関節包の外側)に目立つことが特徴です。頸椎の棘突起間滑液包炎の研究も、PMRが「関節の外の滑液構造の病気」であるという考えを支えるものとして報告されています(Salvarani 2008)。
頸椎の棘突起間滑液包炎とは
棘突起間滑液包は、隣り合う棘突起のあいだにある小さな滑液包です。首では下位頸椎(C5〜C7あたり)、腰では下位腰椎(L3〜L5あたり)に見られます。炎症を起こすと、MRIのT2強調脂肪抑制像で棘突起のあいだの高信号(液体や浮腫)となり、造影すると周囲が増強されます。
MRIの研究:PMR 12人の全員に所見
Salvaraniらは、未治療の新規PMR 12人と、首の痛みがある対照13人(線維筋痛症5人、頸椎症2人、脊椎関節炎6人)の頸椎MRIを比べました。PMRの12人全員に頸椎の棘突起間滑液包炎が見られ、対照でも線維筋痛症3人、乾癬性脊椎炎2人、頸椎症1人に見られました。中等度以上(0〜3の半定量で2以上)の滑液包炎はPMRで83.3%、対照で30.7%と、PMRで多くなっていました。部位はいずれもC5〜C7の棘突起間でした。腰帯部の痛みがあるPMRの2人では、L3〜L5の腰椎棘突起間滑液包炎も見られています(Salvarani 2008)。
この研究は人数が少なく、対照にも滑液包炎が見られています。「棘突起間滑液包炎があればPMR」とは言えず、程度と分布、臨床像と合わせて読むことが大切です。
PET-CTの研究:腰椎に多く、痛みとは相関しない
Camellinoらは、未治療のPMR 65人と、年齢・性別をそろえた対照65人、関節リウマチ10人にFDG-PET/CTを行いました。棘突起間滑液包炎はPMRの47.7%に見られ、関節リウマチでは10人中1人、対照では0人でした。集積は腰椎に多く(46%)、頸椎は9%でした。一方、自発痛や圧痛が最も多かったのは頸部で、集積と痛みのあいだに相関はありませんでした。著者らは、PMRの頸部痛は棘突起間滑液包炎よりも肩甲帯の病変によるのかもしれないと述べています(Camellino 2014)。
MRIとPETで頸椎の頻度が大きく違う理由は、検査法・対象・評価法の違いが考えられますが、直接比べた研究ではありません。2つの結果は、「棘突起間滑液包炎はPMRでよく見られる所見だが、首の痛みの原因かどうかは議論がある」と読むのが無難です。
症例 PMRの頸椎棘突起間のFDG集積(引用元の図)

引用:Camellino D, et al. Interspinous bursitis is common in polymyalgia rheumatica, but is not associated with spinal pain. Arthritis Res Ther 2014;16(6):492 (Figure 2). CC BY 4.0。PMC4265351
FDG-PET/CTの横断像(A、第5頸椎の高さ)と矢状断像(B)で、第5と第6頸椎の棘突起のあいだに集積があり、棘突起間滑液包炎を示しています(矢印)(Camellino 2014)。
肩・股関節まわりのMRI所見
PMRで肩や股関節のMRIを撮ると、関節の中の水(関節液)よりも、滑液包と腱・関節包のまわりの浮腫が目立ちます。未治療のPMR 16人の検討では、次のような所見が報告されています(Leão 2022)。
| 部位 | 所見と頻度 |
|---|---|
| 肩(24肩) | 肩峰下・三角筋下滑液包炎 21(87.5%)、肩甲上腕関節の関節液 17(70.8%)、上腕二頭筋長頭腱鞘の液体 15(62.5%)、腱周囲炎 21(87.5%)、関節包の浮腫 17(70.8%) |
| 股関節(17関節) | 関節液 12(70.6%)、大転子部の滑液包炎 11(64.7%)、腱周囲炎 17(100%)、関節包の浮腫 14(82.4%) |
| 脊椎(6人) | 6人全員に棘突起間滑液包炎 |
この研究には対照群がなく、著者らも症例対照研究で確かめる必要があるとしています(Leão 2022)。腱板断裂や変形性関節症でも滑液包に水がたまることはあるため、「両側」「多部位」「腱・関節包のまわりの浮腫」という組み合わせに注目します。肩峰下滑液包の場所と見え方は肩峰下滑液包炎のMRI・エコーの記事、股関節まわりの滑液包は股関節周囲の滑液包と滑液包炎の記事にまとめています。
症例 60歳代女性 リウマチ性多発筋痛症の右肩

引用:Leão RV, et al. Magnetic resonance imaging findings in patients with polymyalgia rheumatica. Radiol Bras 2022;55(6):346-352 (Figure 2). CC BY 4.0。PMC9743254
T2強調脂肪抑制の冠状断(A)で関節液(矢印)と、肩峰下・三角筋下滑液包の少量の液体(矢頭)、矢状断(B)で小円筋の腱と筋の腱周囲炎、横断(C)で棘下筋と肩甲下筋の腱周囲炎が見られます(Leão 2022)。
FDG-PET/CTの集積パターン
FDG-PET/CTは全身を一度に見られるため、PMRの炎症の分布を確かめたり、悪性腫瘍や血管炎を同時に探したりする目的で使われることがあります。
どの部位が診断に役立つか
系統的レビューとメタ解析(9研究・636人)では、FDGの集積がPMRの診断と関連した部位と陽性尤度比(LR+)は次のとおりでした。陰性尤度比は、これらの部位と大転子でいずれも0.50未満でした。複数部位を合わせたスコアでは、LR+ 3.91、LR− 0.19でした(van der Geest 2021)。
| 部位 | 陽性尤度比(95%信頼区間) |
|---|---|
| 棘突起間滑液包 | 4.00(1.84〜8.71) |
| 股関節 | 2.91(2.09〜4.05) |
| 坐骨結節 | 2.86(1.91〜4.28) |
| 肩 | 2.57(1.24〜5.32) |
| 胸鎖関節 | 2.31(1.33〜4.02) |
棘突起間滑液包は、この中で陽性尤度比が最も高い部位でした。ただし研究ごとの患者選択・撮像法・判定基準の違いによる不均一性が中等度から高度で、著者らは手順の標準化が必要だとしています(van der Geest 2021)。
1か所ではなく組み合わせで見る
ステロイド未使用の新規PMR 33人と、年齢・性別をそろえた対照132人を比べた前向き研究では、個々の部位だけでは診断に不十分でした。坐骨結節の近くの集積(4段階で2以上)に、肩関節周囲の所見か棘突起間滑液包の所見を組み合わせると、感度90.9%・特異度92.4%でした(Owen 2020)。
PMR 50人と腫瘍の対照53人を比べた研究でも、強い集積の部位が3か所以上あることが、感度74%・特異度79%でPMRと関連し、とくに肩、坐骨結節、棘突起間滑液包で差が大きくなっていました(Sondag 2016)。
脊椎関節炎との重なり
非典型的なPMRと脊椎関節炎を比べた研究では、坐骨結節への集積(88.6% 対 48.1%)と棘突起間への集積(91.4% 対 51.9%)はPMRで多かったものの、脊椎関節炎でも半数近くに見られました。仙腸関節の集積は脊椎関節炎に特有でしたがまれ(14.8%)でした。集積の強さは両者で同じくらいで、著者らはパターンが大きく重なるとしています(Pean de Ponfilly-Sotier 2022)。
PET/CTでがんの検索をしたときに、この分布の集積に気づくこともあります。転移と紛らわしい集積の考え方はFDG-PETの偽陽性の記事で整理しています。
鑑別で考えること
| 状況 | 考えたいこと |
|---|---|
| 首の棘突起のあいだの所見 | PMRのほか、線維筋痛症・脊椎関節炎・頸椎症の対照にも滑液包炎が見られた(Salvarani 2008)。項部の靱帯の石灰化や棘突起の骨折も鑑別に入る |
| 坐骨結節・棘突起間の集積 | 脊椎関節炎でも約半数に見られる(Pean de Ponfilly-Sotier 2022) |
| 肩・股関節の関節液と滑液包炎 | 関節リウマチ、変形性関節症、腱板病変。末梢関節の痛みや自己抗体の有無を合わせて判断する(Dasgupta 2012) |
| 大血管への集積 | 巨細胞性動脈炎の合併を考え、主治医に伝える |
首の後ろの痛みで棘突起のまわりを見るときは、項靱帯の石灰化(バルソニー病の記事)や、外傷後の棘突起骨折も頭に置きます。
読影レポートでの書き方の工夫
PMRが疑われる人の画像では、所見を部位ごとに並べるよりも、「両側の肩峰下・三角筋下滑液包炎」「下位頸椎・腰椎の棘突起間滑液包炎」「坐骨結節周囲の集積」のように、分布としてまとめて書くと主治医に伝わりやすくなります。そのうえで、PMRの分布に合うこと、ただし画像だけで診断は決まらないことを添えます。大血管の集積や悪性腫瘍を疑う集積の有無も、あわせて明記します。
PMRの診断と治療方針は、リウマチ・膠原病の主治医が臨床症状と血液検査を合わせて判断します。一般の方で、両肩や首・腰のこわばりが続き朝に強い、急に腕が上がらなくなった、こめかみの痛みや目の見えにくさ、あごの疲れを伴うといったときは、早めに医療機関を受診してください。目の症状があるときは急いで受診してください。
よくある疑問(Q&A)
Q. 頸椎MRIで棘突起間滑液包炎があれば、PMRと診断できますか?
A. できません。PMRの全員に見られた報告がある一方、線維筋痛症・脊椎関節炎・頸椎症の対照にも見られています(Salvarani 2008)。程度と分布、臨床像を合わせて判断します。
Q. 首が痛いのは棘突起間滑液包炎のせいですか?
A. はっきりしません。PET-CTの研究では、首の痛みが最も多かった一方で、棘突起間の集積は腰椎に多く、痛みとの相関はありませんでした(Camellino 2014)。MRIの研究は首の不快感の原因になりうるとしています(Salvarani 2008)。
Q. PET-CTで一番大事な部位はどこですか?
A. メタ解析では棘突起間滑液包の陽性尤度比が最も高い結果でした(van der Geest 2021)。ただ、1か所では足りず、坐骨結節と肩・棘突起間の組み合わせで判断する方法が報告されています(Owen 2020)。
Q. 2012年のEULAR/ACR基準で画像は必要ですか?
A. 臨床項目だけの採点と、超音波を加えた採点の両方が示されています。基準は分類用で、診断用ではないとされています(Dasgupta 2012)。
参考文献
- Salvarani C, Barozzi L, Cantini F, et al. Cervical interspinous bursitis in active polymyalgia rheumatica. Ann Rheum Dis. 2008;67(6):758-61. PubMed
- Camellino D, Paparo F, Morbelli S, et al. Interspinous bursitis is common in polymyalgia rheumatica, but is not associated with spinal pain. Arthritis Res Ther. 2014;16(6):492. PubMed
- Leão RV, Calich ALG, Calich I, et al. Magnetic resonance imaging findings in patients with polymyalgia rheumatica. Radiol Bras. 2022;55(6):346-352. PubMed
- van der Geest KSM, Treglia G, Glaudemans AWJM, et al. Diagnostic value of [18F]FDG-PET/CT in polymyalgia rheumatica: a systematic review and meta-analysis. Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2021;48(6):1876-1889. PubMed
- Owen CE, Poon AMT, Yang V, et al. Abnormalities at three musculoskeletal sites on whole-body positron emission tomography/computed tomography can diagnose polymyalgia rheumatica with high sensitivity and specificity. Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2020;47(10):2461-2468. PubMed
- Sondag M, Guillot X, Verhoeven F, et al. Utility of 18F-fluoro-dexoxyglucose positron emission tomography for the diagnosis of polymyalgia rheumatica: a controlled study. Rheumatology (Oxford). 2016;55(8):1452-7. PubMed
- Pean de Ponfilly-Sotier M, Besson FL, Gomez L, et al. Use of (18)F FDG PET-CT to discriminate polymyalgia rheumatica and atypical spondylarthritis in clinical practice. Joint Bone Spine. 2022;89(3):105325. PubMed
- Dasgupta B, Cimmino MA, Maradit-Kremers H, et al. 2012 provisional classification criteria for polymyalgia rheumatica: a European League Against Rheumatism/American College of Rheumatology collaborative initiative. Ann Rheum Dis. 2012;71(4):484-92. PubMed
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