外陰部・会陰部の腫瘤 AMFB・CAF・AAM・嚢胞の鑑別

女性の外陰部に、痛みのない腫瘤がゆっくり大きくなってきました。バルトリン腺嚢胞と言われることが多いそうですが、MRIでは何を見て鑑別すればよいでしょうか。
外陰部・会陰部の腫瘤は、まず「嚢胞か充実性か」で分けます。T2強調像で均一な水の信号で造影されなければ、バルトリン腺嚢胞などの嚢胞を考えます。充実性なら、境界明瞭で小さめの血管筋線維芽細胞腫(AMFB)・細胞性血管線維腫(CAF)と、大きく深部へ広がり再発しやすい侵襲性(深在性)血管粘液腫(AAM)を見分けることが大切です。AAMでは渦巻き状・層状の造影が手がかりになります。

先に結論:外陰部・会陰部の腫瘤は「嚢胞か充実性か」→「小さく境界明瞭(AMFB・CAF)か、大きく浸潤性(AAM)か」の順に考える

病変 画像の要点
バルトリン腺嚢胞 大陰唇の後方の嚢胞。T1強調像で低信号、T2強調像で均一な高信号
血管筋線維芽細胞腫(AMFB) 境界明瞭、多くは5 cm未満。T2強調像で高信号、強く均一な造影が多い
細胞性血管線維腫(CAF) 皮下の境界明瞭な腫瘤。中年女性に多く、男性の鼠径・陰嚢部にもできる
侵襲性血管粘液腫(AAM) 大きく(5 cm超が多い)浸潤性。渦巻き状・層状の造影。再発しやすい

外陰部・会陰部の腫瘤をどう分けるか

女性の会陰は、恥骨結合と尾骨の間にある菱形の領域で、前方の尿生殖三角と後方の肛門三角に分けられ、外陰はその外性器の部分です。この領域には、外傷・感染・発生異常による病変、悪性腫瘍、間葉系腫瘍など、さまざまな病気が起こります(Hosseinzadeh 2012)。

画像検査では、経会陰・経陰唇の超音波が最初の評価に使われ、原因の推定と病期診断にはMRIが使われます。外陰・腟の良性病変は、単純な嚢胞(前庭腺嚢胞や子宮内膜症性嚢胞)か、充実性の病変として写ることが多く、悪性腫瘍は大きな充実性腫瘤として腟と会陰の両方に広がることが多いとされます。造影後の画像は鑑別に大切ですが、良性病変でも強く造影されるものがあります(Ning 2023)。

読影の流れは次のとおりです。

  1. 嚢胞か充実性か:T2強調像で均一な水の信号で、壁以外が造影されなければ嚢胞。
  2. 場所:皮下・表在か、骨盤底を越えて深部(坐骨直腸窩・骨盤内)へ広がるか。
  3. 大きさと境界:小さく境界明瞭か、大きく周囲を巻き込むか。
  4. 造影のパターン:均一な強い造影か、渦巻き状・層状か、不均一で壊死を伴うか。

嚢胞性病変:バルトリン腺嚢胞など

バルトリン腺(大前庭腺)嚢胞は、大陰唇で最も多い良性の嚢胞で、MRIではT1強調像で低信号、T2強調像で均一な高信号の、水と同じ信号を示します(Ning 2023)。腟口の高さの病変であるバルトリン腺嚢胞の評価にはMRIが適しているとされます(Hosseinzadeh 2012)。

内容物にたんぱく質や出血を含むと、T1強調像で高信号になることもあります。感染して膿瘍になると壁が厚くなり、周囲に炎症が広がります。会陰部の血腫は処置などに関連することが多く、T1強調像・T2強調像ともに高信号のことが多いとされます(Ning 2023)。

バルトリン腺嚢胞・スキーン腺嚢胞・ガートナー管嚢胞の場所の違いは、バルトリン腺嚢胞・スキーン腺嚢胞・ガートナー管嚢胞の違いで詳しく解説しています。

注意したいのは、充実性の間葉系腫瘍も、臨床的にはバルトリン腺嚢胞と間違えられやすいことです。AMFB・CAF・AAMはいずれも、バルトリン腺嚢胞と誤認されやすいと病理の総説で指摘されています(Angelico 2022)。「バルトリン腺嚢胞」として紹介された腫瘤でも、MRIで充実成分や造影効果があれば、間葉系腫瘍を考えます。

外陰・腟の間葉系腫瘍(特異的間質腫瘍)

下部女性生殖器の「特異的間質腫瘍」には、侵襲性(深在性)血管粘液腫(AAM/DAM)、細胞性血管線維腫(CAF)、血管筋線維芽細胞腫(AMFB)、筋線維芽細胞腫(MFB)が含まれます。典型例なら区別は難しくありませんが、形態や免疫染色が重なる例もあります。このうち、局所再発の危険が比較的高いAAMを、ほかの腫瘍と区別することが最も大切です(Angelico 2022)。

パキスタンの1施設で15年間にこの3つの腫瘍と診断された207例の検討では、年齢の中央値は33歳、腫瘍径の中央値は5 cmで、外陰が47.3%を占めました。AAMは31〜45歳に多く、AMFBとCAFは30歳未満に多い結果でした。AAMの46.8%は6〜10 cmで、CAFは全例、AMFBは53.2%が5 cm未満でした。再発率はAAMで27.3%と高く、腫瘍が大きいほど再発が多く、10 cmを超えるものでは60%でした(Haroon 2022)。

項目 AMFB CAF AAM(DAM)
どんな腫瘍か 良性。表在(皮下)の間質腫瘍 良性。線維芽細胞性の皮下腫瘍 局所浸潤性で転移しない筋線維芽細胞性腫瘍
好発 生殖年齢の女性の外陰・腟(閉経後は約10%) 中年女性の外陰・腟の皮下。男性の鼠径・陰嚢部にも 生殖年齢の女性。外陰・腟・会陰・骨盤。男性の鼠径・陰嚢にもまれに
大きさ 多くは5 cm未満 0.6〜25 cm 大きいことが多い
境界 境界明瞭 境界明瞭(周囲脂肪へのわずかな浸潤はあり得る) 周囲の組織へ広がる。深部にあり浸潤性の辺縁
再発 低い 低い 高い

表は Angelico 2022 の病理総説の記載をもとにしています。再発の頻度の具体値は報告で異なり、Haroon 2022ではAAMで27.3%、Eckhardt 2018がまとめた文献ではAAMの再発は33〜72%とされています。

血管筋線維芽細胞腫(AMFB)の画像

AMFBは、閉経前〜閉経周辺期の外陰・腟の腫瘤として考えるべき腫瘍です。2015年までの文献のまとめでは、女性のAMFB 125例の92%が外陰(98例)か腟(17例)に発生し、年齢の中央値は45歳でした(Eckhardt 2018が引用)。

  • MRI:典型的には境界明瞭です。T1強調像で骨格筋と同じくらいの低信号、T2強調像で高信号、ガドリニウム造影で強く均一に造影されることが多いと報告されています。造影の記載があった5報のうち、4報は均一な強い造影、1報は不均一な造影でした。中心部の壊死や変性はまれですが、あってもAMFBを否定する根拠にはなりません(Eckhardt 2018)。
  • 信号と病理の対応:T2強調像で高信号で造影されない部分は、細胞が少なく膠原線維の多い部分、強く造影される部分は細胞と血管が多い部分に対応すると説明されています(Eckhardt 2018)。
  • 超音波:均一なエコーの間質の中に、不整な小さい低エコーの嚢胞状部分が混じる像が報告され、カラードプラの血流は少ないことがあります(Eckhardt 2018)。

症例 30歳代女性 腟の血管筋線維芽細胞腫

腟の血管筋線維芽細胞腫のMRI 矢状断T2強調像・横断T1強調像・造影後矢状断像
引用:Eckhardt S, et al. Case Rep Obstet Gynecol 2018(Figure 3)(CC BY)

出産後4年間続いていた腟の腫瘤で、MRIでは腟の後壁から生じた約5 cmの腫瘤です。矢状断T2強調像で主に高信号で、中心部に小さな低信号域があります(a)。横断T1強調像では均一な低信号です(b)。造影後の矢状断像では、上部は造影されず(*)、下部に不均一な強い造影がみられます(破線矢印)(c)。cxは子宮頸部です。手術で切除され、AMFBと診断されました。

細胞性血管線維腫(CAF)

CAFは1997年に報告された良性の間質腫瘍で、筋線維芽細胞性というより線維芽細胞性の性質をもちます。中年女性の外陰・腟の皮下に多く、男性の鼠径・陰嚢部にも同じような腫瘍が報告されています。ゆっくり大きくなる痛みのない腫瘤で、大きさは0.6〜25 cmと幅があり、肉眼的には円形〜分葉状で境界明瞭です。バルトリン腺嚢胞に似ることが多いとされます(Angelico 2022)。

CAFの画像所見をまとめた系統的な研究は少なく、画像だけでAMFBと区別するのは難しいことが多いと考えられます。境界明瞭な皮下の充実性腫瘤で、血管が豊富という点が、表在の良性間質腫瘍として共通する特徴です。最終的な診断は病理で行われ、CAFはCD34陽性・デスミン陰性で、核のRB1発現が失われることが、デスミン陽性のAAMとの区別に使われます(Angelico 2022)。

侵襲性(深在性)血管粘液腫(AAM)

AAMは局所浸潤性で転移しない筋線維芽細胞性の間質腫瘍で、生殖年齢の女性に多く(発症のピークは20歳代)、外陰・腟・会陰・骨盤に発生します。比較的境界のある大きな多分葉状の腫瘤として、周囲の組織へ広がるのが特徴です(Angelico 2022)。36例の原発腫瘍の病理学的検討では、25例が古典的な形態を示し、残りでは線維化・細胞密度の高い部分などのまれな形態がみられ、診断が難しくなる原因になっていました(Magro 2021)。

MRIでは、T1強調像・T2強調像の信号はAMFBと似ており、造影のパターンで区別するのが最もよいとされます。AAMは強く、渦巻き状(swirl)または層状に造影され、造影CTでも同じような渦巻き状・層状の造影がみられます。浸潤性の広がりと渦巻き状・層状のパターンがあれば、AMFBよりAAMの可能性がずっと高くなります(Eckhardt 2018)。超音波では均一な低エコーの腫瘤に、線維性の隔壁に対応する高エコーの線が入り、カラードプラの血流はAMFBより目立つことがあります(Eckhardt 2018)。

AAMは広範囲に浸潤するため、AMFBの単純な切除とは違い、広い局所切除が必要になるとされ、術前に両者を区別しようとすることが大切です(Eckhardt 2018)。AAMのMRI所見の詳細は、侵襲性血管粘液腫(aggressive angiomyxoma)のMRI所見で解説しています。

そのほかの鑑別

  • 平滑筋腫:外陰・腟の良性の充実性病変として代表的です。腟前壁の大きな平滑筋腫で、T1強調像で等信号、T2強調像で不均一な信号を示した例が示されています(Ning 2023)。
  • 子宮内膜症性嚢胞:大陰唇に多房性の嚢胞性病変として写った例が示されています(Ning 2023)。
  • 脂肪腫:会陰ではまれですが、脂肪の信号で診断できます(Ning 2023)。
  • 悪性腫瘍:外陰癌(扁平上皮癌)、Paget病、肉腫、悪性黒色腫などは、大きな充実性腫瘤として腟と会陰に広がることが多く、MRIでは局所の広がりと鼠径・骨盤リンパ節を評価します(Ning 2023)。外陰癌の病期の考え方は腟癌・外陰癌のMRI所見をご覧ください。

読影のポイント

所見 考えること
T2で均一な水の信号、壁以外は造影されない バルトリン腺嚢胞などの嚢胞
皮下の小さめ(5 cm未満)の境界明瞭な充実性腫瘤で、強く均一に造影 AMFB、CAFなどの表在の良性間質腫瘍
大きく、骨盤底を越えて深部へ広がる。渦巻き状・層状の造影 AAM
不規則な形で皮膚・粘膜に露出、リンパ節腫大を伴う 外陰癌などの悪性腫瘍

報告書には、大きさ、深さ(骨盤底との関係)、周囲臓器(腟・尿道・直腸・肛門括約筋)との関係を書いておくと、手術の計画に役立ちます。外陰部のしこりが急に大きくなる、痛みや出血・潰瘍がある、発熱を伴って腫れる、といったときは早めに婦人科を受診してください。

よくある疑問(Q&A)

Q1. 「バルトリン腺嚢胞」と言われた腫瘤でもMRIは必要ですか?

外陰・会陰の病変の最初の評価には超音波が使われます(Ning 2023)。ただし、AMFB・CAF・AAMなどの充実性腫瘍もバルトリン腺嚢胞と間違えられやすいため(Angelico 2022)、充実成分がある、大きい、再発した、といった場合はMRIでの評価が役立ちます。必要性は主治医が判断します。

Q2. AMFBとAAMはMRIで区別できますか?

T1強調像・T2強調像の信号は似ていますが、AAMは渦巻き状・層状の強い造影と浸潤性の広がりが手がかりになります(Eckhardt 2018)。大きさも参考になり、AAMは大きいものが多く、AMFBは5 cm未満が多いと報告されています(Haroon 2022)。それでも確実な区別は難しく、診断は病理で行います。

Q3. 男性にもこれらの腫瘍はできますか?

CAFと似た腫瘍は男性の鼠径・陰嚢部にも報告されており、AAMも男性の鼠径部・精索・陰嚢にまれに発生します(Angelico 2022)。

Q4. AAMは手術後も画像で経過をみるのですか?

AAMは局所再発が多く、大きい腫瘍ほど再発が多いと報告されています(Haroon 2022)。再発例では線維化の強い形態など、最初の腫瘍と違う像を示すことがあります(Magro 2021)。経過観察の方法は主治医が決めます。

あわせて読みたい:CALME(小児の非対称性大陰唇腫大)の超音波・MRI|腫瘤のない片側の腫れと鑑別、保存的な方針

参考文献

  1. Angelico G, Marletta S, Broggi G, et al. Practical Approach to the Diagnosis of the Vulvo-Vaginal Stromal Tumors: An Overview. Diagnostics (Basel). 2022;12(2):357. PubMed
  2. Eckhardt S, Rolston R, Palmer S, et al. Vaginal Angiomyofibroblastoma: A Case Report and Review of Diagnostic Imaging. Case Rep Obstet Gynecol. 2018;2018:7397121. PubMed
  3. Haroon S, Irshad L, Zia S, et al. Aggressive Angiomyxoma, Angiomyofibroblastoma, and Cellular Angiofibroma of the Lower Female Genital Tract: Related Entities With Different Outcomes. Cureus. 2022;14(9):e29250. PubMed
  4. Magro G, Angelico G, Michal M, et al. The Wide Morphological Spectrum of Deep (Aggressive) Angiomyxoma of the Vulvo-Vaginal Region: A Clinicopathologic Study of 36 Cases, including Recurrent Tumors. Diagnostics (Basel). 2021;11(8):1360. PubMed
  5. Ning Y, Ling R, Zhang F, et al. Common and uncommon lesions of the vulva and vagina on magnetic resonance imaging: correlations with pathological findings. BJR Open. 2023;5(1):20230002. PubMed
  6. Hosseinzadeh K, Heller MT, Houshmand G. Imaging of the female perineum in adults. Radiographics. 2012;32(4):E129-68. PubMed

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