
先に結論:MRI検査の流れ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 時間 | 撮影はおおむね15〜40分(部位や撮る内容で変わる)。着替えなどを含めると全体で1時間ほどみておくと安心 |
| 音 | 「ガンガン」「ピーピー」と大きい。耳栓・ヘッドホンをつける |
| 準備 | 金属をすべて外す・検査着に着替える。腹部は食事制限があることも |
| 造影MRI | 腎臓の働きやアレルギーを事前に確認。気になることは申告 |

予約から検査が終わるまでの流れ
- 予約・問診票:体内の金属(ペースメーカー、手術の金属など)、閉所が苦手か、妊娠の可能性、腎臓の病気、造影剤のアレルギー歴などを聞かれます
- 受付・更衣:ロッカーに荷物を預け、金属のない検査着に着替えます。アクセサリー・時計・ヘアピン・カイロ・貼り薬なども外します
- 最終確認:技師が金属を持っていないかもう一度確認します
- 検査台へ:寝た姿勢で、調べる部位に「コイル」という受信用の器具をのせます。耳栓やヘッドホンをつけ、緊急用のブザーを握ります
- 撮影:トンネルのような装置の中に入り、何回かに分けて撮ります。1回ごとに数分の音が続きます
- 造影する場合:途中で腕の点滴から造影剤を入れ、続けて撮影します
- 終了・着替え:造影した場合は少し様子を見てから帰ります。結果は後日、主治医から説明されることが多いです
金属についてくわしくは「MRIと金属」の記事、閉所が不安な方は「MRIが怖い・閉所恐怖症でも受けられる?」で、乗り切る工夫をまとめています。
部位別のおおよその撮影時間
撮影時間は、装置の種類、撮る範囲、造影するかどうか、施設の撮り方で大きく変わります。下の表は一般的な目安です。
| 部位 | 撮影時間の目安 | ひとこと |
|---|---|---|
| 頭部(脳ドックなど) | 15〜30分ほど | 脳の血管(MRA)を一緒に撮ることが多い |
| 腰・首(脊椎) | 15〜30分ほど | あおむけでじっとする |
| 膝・肩などの関節 | 20〜30分ほど | その部位を固定して撮る |
| 腹部(肝臓・膵臓・胆道) | 20〜40分ほど | 息止めの合図が何度もある。食事制限があることも |
| 骨盤(子宮・卵巣・前立腺) | 20〜40分ほど | 腸の動きを抑える注射をすることがある |
| 造影MRIを追加 | +10〜20分ほど | 点滴の準備と追加の撮影 |
CTと比べてMRIが時間がかかる理由は「CTとMRIの違い」で説明しています。胆管や膵管を見る検査は「MRCP検査とは?」もどうぞ。
音はどれくらい大きい?
MRIの音は、撮影中に磁場を素早く切り替えることで装置が振動して出ます。研究では、撮り方によっては120デシベル(dB)に達することもあり、耳の保護が必要とされています(Corcuera-Solano 2015)。1.5テスラの装置で、患者さんの位置で約100dBになる撮り方があり、会話を聞き取るには叫ぶほどの声が必要だったという報告もあります(Moelker 2004)。
そのため検査では、耳栓やヘッドホンをつけます。最近は音を小さくする撮り方もあり、約75dBまで下げても画質はほぼ同じだったという報告があります(Corcuera-Solano 2015)。音そのものは体に害を与えるためのものではなく、「今、写真を撮っている合図」と思っておくと少し気が楽です。
造影MRI(ガドリニウム造影剤)の注意
MRIの造影剤には、主にガドリニウムという金属を含む薬が使われます(CTのヨード造影剤とは別の薬です)。病変を目立たせ、がんや炎症の広がりをくわしく調べるときに使います。造影剤の種類や副作用は「MRI造影剤の種類一覧と副作用」にまとめています。
腎臓が悪い人とNSF
腎臓の働きがかなり落ちている人では、ガドリニウム造影剤のあとに皮膚や体が硬くなる腎性全身性線維症(NSF)という病気が問題になったことがあります。そのため、事前に血液検査(eGFR)で腎臓の働きを確認します。
現在主に使われている種類(ACRのグループII)では、腎臓の働きがとても低い人(eGFR 30未満)への4931回の投与でNSFは0件で、リスクはとても低いと考えられています。アメリカ放射線学会と腎臓財団の合同声明では、検査を遅らせたり中止したりする不利益とNSFのリスクをくらべて判断するとされています(Weinreb 2021)。透析中の人や腎臓の病気がある人は、忘れずに申告してください。
脳にわずかに残る(沈着)
造影MRIを何度も受けた人で、脳の一部(歯状核・淡蒼球)が造影剤を使わない画像で白っぽく見えることが日本から報告されました(Kanda 2014)。その後、腎臓の働きがほぼ正常な人でも、くり返し使うと脳にごく微量のガドリニウムが残ることが確かめられています(McDonald 2015)。ただし、それが体に悪い影響を与えるかどうかは、まだわかっていません(McDonald 2015)。必要な検査をこわがって避けるより、「必要なときに使う」という考え方が大切です。
当日の注意(チェックリスト)
- 食事:腹部のMRIでは、検査の数時間前から食事を控えるよう言われることがあります。指示どおりに
- 薬:ふだんの薬は、特に言われなければ飲んでよいことが多いですが、施設の指示を確認
- 服装・化粧:金属のない服で。ラメ入りの化粧品やまつ毛エクステ、カラーコンタクトも確認されることがあります
- 持ち物:ペースメーカー手帳、手術の記録、お薬手帳。貴重品は少なめに
- 妊娠中・授乳中:忘れずに伝える(「妊娠中のMRIは大丈夫?」の記事参照)
- 体のほてり:撮影中に体が少し温かく感じることがあります。熱い・痛いと感じたらすぐブザー
よくある疑問(Q&A)
Q. MRIは被ばくしますか?
A. MRIは放射線(X線)を使わないので、被ばくはありません。CTやレントゲンの被ばくについては「レントゲン・CTの被ばく量は大丈夫?」で説明しています。
Q. 寝てしまってもいいですか?
A. 動かなければ大丈夫なことが多いです。ただ、腹部では息止めの合図があるので、声かけには応じられるようにしておきましょう。
Q. 造影剤のあと、気をつけることは?
A. 特に指示がなければふだんどおり過ごせることが多いです。発疹やかゆみ、気分の悪さが出たら、検査を受けた病院に連絡してください。
まとめ
- 撮影はおおむね15〜40分。全体で1時間ほどみておくと安心
- 音は大きいので耳栓・ヘッドホンをつける。困ったらブザー
- 金属はすべて外す。体内の金属は忘れずに申告
- 造影MRIは腎臓の働きを確認。脳への沈着は健康への影響がまだわかっていない
- 準備や薬のことは、検査を受ける施設と主治医に確認を
関連:「CTとMRIの違い」・「MRIが怖い・閉所恐怖症」・「レントゲン・CTの服装」
▶ ほかの所見も調べる:健診・人間ドックの画像検査で言われやすい所見一覧
参考文献
- Corcuera-Solano I, Doshi A, Pawha PS, et al. Quiet PROPELLER MRI techniques match the quality of conventional PROPELLER brain imaging techniques. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(6):1124-1127. PubMed
- Moelker A, Maas RA, Pattynama PM. Verbal communication in MR environments: effect of MR system acoustic noise on speech understanding. Radiology. 2004;232(1):107-113. PubMed
- Weinreb JC, Rodby RA, Yee J, et al. Use of Intravenous Gadolinium-based Contrast Media in Patients with Kidney Disease: Consensus Statements from the American College of Radiology and the National Kidney Foundation. Radiology. 2021;298(1):28-35. PubMed
- Kanda T, Ishii K, Kawaguchi H, et al. High signal intensity in the dentate nucleus and globus pallidus on unenhanced T1-weighted MR images: relationship with increasing cumulative dose of a gadolinium-based contrast material. Radiology. 2014;270(3):834-841. PubMed
- McDonald RJ, McDonald JS, Kallmes DF, et al. Intracranial Gadolinium Deposition after Contrast-enhanced MR Imaging. Radiology. 2015;275(3):772-782. PubMed
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