神経梅毒(neurosyphilis)
- 日本ではペニシリンの普及とともに減少していたが、近年感染者が増えている。
- 神経梅毒も感染晩期に発症する進行麻痺として診断することが多かったが、より早期に髄膜炎として発症する例も増えている。
- 感染から1年以内を早期梅毒(第1期、2期)といい、1年以降は後期潜伏梅毒となる。
- その一部が数年〜数十年を経て、心血管など臓器病変が進行した第3期梅毒になる。
- 神経梅毒には第1,2期に生じる早期神経梅毒と、その後に生じる晩期神経梅毒がある。最も進行したものが進行麻痺や脊髄癆。
- 髄膜炎を来す髄膜型と、血管炎を来す髄膜血管型や脳脊髄の実質が障害される実質型に分けられる。
- 判断力低下、幻覚、妄想など多彩な神経症状を生じる。進行性の認知症をきたすことがあり、梅毒検査がされないままフォローさrていることがある。
- 血清、髄液検査が診断に重要。
神経梅毒(neurosyphilis)のMRI画像所見
- MRIでは側頭葉先端部皮質下白質のT2WIが有名。
- 全く異常を認めないものから、側頭葉を中心とした萎縮、髄膜炎、水頭症、脳梗塞、非特異的な白質の異常信号、脳表の非特異的肉芽腫様腫瘤(ゴム腫)、血管炎などが見られる。
- 進行麻痺は側頭葉前方を中心に、島回、前頭葉を含む大脳白質にT2WI,FLAIR高信号が散在し、大脳萎縮を伴う。髄膜炎と異なり、認知症診断で外来通院のみで経過観察されることがあるので画像から神経梅毒の可能性を考えることが重要。
- 髄膜炎で髄膜に広範に感染巣を生じる場合や、髄膜の造影効果や大脳浮腫など非特異的な所見を呈する。
症例 50歳代男性 何ヶ月にもわたる持続的な左側頭痛
引用:radiopedia
FLAIRで左側頭葉を中心に高信号を認めています。
T1WIでは等信号〜軽度低信号で、造影で広範に硬膜の不整な造影効果および結節を認めています。
炎症性硬髄膜疾患が疑われ、サルコイドーシス、血管炎、または非定型感染症などの鑑別診断があります。
血清学的および脳脊髄液検査にて抗トレポネーマ抗体陽性であり、神経梅毒と診断されました。
前側頭極皮質下高信号を呈する鑑別疾患
- CADASIL/CARASIL:側頭極だけでなく、白質病変や微小出血、ラクナを合併する点がポイント
- 筋強直性ジストロフィー
- 神経梅毒
- 前頭側頭葉変性症
- 認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症
参考文献:
- 臨床画像 Vol.34 No.4 増刊号,2018 P73-4
- よくわかる脳MRI 改訂第4版 P699
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