前頭側頭葉変性症(FTLD:frontotemporal lobar defeneration)とは?
- frontotemporal lobar defeneration:FTLD。
- エピソード記憶障害のない認知症。行動異常など。
- 前頭葉・側頭葉の葉性萎縮を示す非アルツハイマー病性変性疾患。
- アルツハイマー病に比べて、若年で発症することが多い。
- Pick病、前頭側頭型認知症を包括する概念。
- 多くは初老期に発症する。
以下の3つの臨床症候群がある。
- 前頭側頭型認知症型(FTD:fronto-temporal dementia)、
- 意味性認知症型(SD:semantic dementia)
- 進行性非流暢性失語型(PNA:progressive non-fluent aphasia)
※このようにFTLDの中にFTDは含まれる。
- アルツハイマー病やDLBの治療薬である、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、アリセプト®)は無効。
前頭側頭型認知症型(FTD:fronto-temporal dementia)
- 前頭葉変性症型、Pick型、運動ニューロン型。
- 人格変化と社会的接触性の障害が病初期および全経過を通じて優勢な特徴。
- 認知、空間的技能、行為、記憶等の道具的機能は正常か比較的よく保たれる。
- 血流・代謝は前頭側頭葉で低下。萎縮よりも高度。
- 萎縮は前頭葉や側頭葉に限局的に起こる。
FTDの基礎疾患
- 3リピートタウオパチー(Pick球を有するPick病(PDPB))
- 4リピートタウオパチー(大脳皮質基底核変性症(CBD)、進行性核上性麻痺(PSP)、嗜銀顆粒性認知症(DG))
- TDP43プロテイノパチー(ユビキチン陽性封入体を有する前頭側頭変性症、認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症(FLUD≒ALS-D=MND-D))
- FUS/TLSプロテイノパチー(好塩基性封入体病、神経中間線維封入体病)
- アルツハイマー病
- クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)など
画像所見
- 側脳室前角の拡大
- 比較的左右差の強い萎縮。
- knife-brade gyral atrophy
- 萎縮している脳回の境界がはっきりしている。
Pick病
- 前頭葉や側頭葉の限局性萎縮と大脳皮質症状を呈して、Pick小体の出現を神経病理学的特徴とする変性性認知症。
- 同語反復、反響言語、無言症、無表情を4徴とする。
- 人格、行動、感情面の障害が主体。
- 病変部皮質の著明な萎縮。Knife-blade atrophyが特徴的。
- 早期から大脳皮質がペラペラになる。早期:皮質→進行:白質も萎縮。
- 萎縮に左右差を認める事も多く、大脳皮質基底核変性症との鑑別を要する場合がある。
進行性非流暢性失語型(PNA:progressive non-fluent aphasia)
- 言語了解は良好だが、表出言語の障害。発語は短く、口ごもりがち。
- 左Sylvius裂周囲皮質が萎縮。左の前〜側頭葉の萎縮が目立つ。また同部位の血流・代謝の低下を伴う。
症例 70歳代女性
- VSRADがわかりやすい。
意味性認知症型(SD:semantic dementia)
- 流暢で正しい文法を使った会話ができるが、言葉の意味が分からなくなる。物品呼称ができなくなる。
- 左側頭葉極の萎縮が目立つ。また同部位の血流代謝の低下。アルツハイマー病でも左右差が目立つことがあるが、外側までは落ちない。
- 画像所見:VSRADおよびMRにて左側頭葉の萎縮著明。
前頭側頭葉変性症 右側優位型
- 左ではなくて、右の前〜側頭葉の萎縮が目立つ場合は名前がついていない。
- 人の区別ができなくなるという特徴的な症状あり。