胃癌術後の合併症には、

  • 縫合不全
  • 膵液瘻
  • 内ヘルニア
  • 輸入脚症候群

が知られている。

縫合不全

  • 吻合部および十二指腸断端瘻がある。
  • 胃癌術後の縫合不全は胃全摘術の食道空腸吻合部で多く3.6~5.7%。
  • 十二指腸断端瘻の頻度は1%程度とまれだが、逆行性に膵液が腹腔内に漏出する危険性あり、重篤化しやすい合併症の一つ。
  • 吻合部の不連続性、吻合部周囲のairを含む液体貯留(>3cm)を縫合不全と関連する所見として報告されているが、術後の反応性腹水やairと縫合不全による変化の鑑別は画像だけでは、難しく、ドレーン性状などを含めて総合的に判断する必要がある。

膵液瘻

  • 仮性動脈瘤を形成、破裂による腹腔内出血のリスクとなる重篤な合併症の一つ。
  • 膵合併切除後はもちろんだが、膵周囲リンパ節郭清時の膵実質損傷も原因となるので注意。
  • 腹腔鏡手術では膵周囲リンパ節郭清の際に膵を圧排しrotationさせる必要があり、この操作も膵液瘻のリスク。
  • 縫合不全と同様に術後変化と画像で鑑別が難しい場合がある。
  • 近傍にドレーンが留置されている場合はドレーン排液中のアミラーゼ値が診断の一助となる。

関連:膵頭十二指腸切除後(PD)の出血をみたときの原因と治療、仮性動脈瘤

内ヘルニア

  • B-Ⅱ法やRou-en-Y法による再建後には新たな間隙が生じるため、内ヘルニアの原因となる。
  • Y脚作成部分の小腸間膜にも間隙が生じるほか、結腸後経路においては横行結腸間膜に小孔を作成するため、この部分もヘルニア門になりうる。

関連記事:Roux-en-Y術後の内ヘルニアの画像診断

輸入脚症候群

  • B-Ⅱ再建における輸入脚の通過障害に伴う病態の他、広義にはRou-en-Y再建における十二指腸断端からY吻合部までの腸管の拡張に伴う病態も含まれる。
  • 消化管穿孔や膵炎、胆管炎のリスクがあり、減圧のための適切な対応が必要である。
  • CTで十二指腸に限局した拡張を認め、診断は比較的容易。

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参考文献:

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