胃癌を手術する場合、癌がどこにあるか、進展範囲がどの程度であるかにより、術式が異なります。

どことどこをどう繋げるのか、なかなかイメージが難しいこともしばしばあります。

そこでわかりやすいシェーマを作成して、胃癌の手術の方法、再建方法についてまとめました。

先に結論:胃癌の手術の再建方法(一覧)

再建法 つなぎ方 主に使う手術
ビルロートⅠ法(B-I) 残った胃と十二指腸を直接つなぐ。食べ物の通り道が自然に近い 幽門側胃切除
ビルロートⅡ法(B-II) 十二指腸の端を閉じ、残った胃と空腸をつなぐ。胆汁の逆流を減らすため空腸どうしをつなぐブラウン吻合を加えることも 幽門側胃切除(残胃が小さいとき)
ルーワイ法(Roux-en-Y、R-Y) 空腸を切って持ち上げ、食道や残った胃とつなぎ、十二指腸側の空腸は下のほうでY字につなぐ 胃全摘術・幽門側胃切除

胃の切り方は、がんの場所と広がりで幽門側胃切除・噴門側胃切除・胃全摘術から選びます。

胃癌の手術法は?

標準的な胃癌の手術は、胃の2/3以上の切除とリンパ節郭清(D2郭清)を行う定型手術です(日本胃癌学会 2023)。

どこに癌があるか、どの程度広がっているかで以下の3つに分けられます。

  • 幽門側胃切除
  • 噴門側胃切除
  • 胃全摘術

胃の解剖は次のようになります。

anatomy of stomach

幽門側胃切除

癌の部位が噴門と離れている時には、幽門側胃切除が行われます。

Distal gastrectomy

噴門側胃切除

癌の部位が噴門に近く、広範でない場合は、噴門側胃切除が行われます。

fundusectomy

胃全摘術

腫瘍が広範に認められる場合は、胃全摘術が行われます。

total gastrectomy

幽門側胃切除の再建法は?Billroth 法とは?

幽門側胃切除の再建法には大きく2つあります。

  • Billroth Ⅰ法
  • Billroth Ⅱ法

です。ビルロートと読みます。生理的で合併症が少ないBillroth Ⅰ法が好まれてきましたが、再建法は施設により異なります。Billroth Ⅱ法は残胃が小さく十二指腸まで届かない時などに用いられる再建方法です。

この2つの再建法を順を追って見ていきましょう。まず、幽門側で胃切除を行うところまでは共通です。

Distal gastrectomy1

この後の吻合の仕方で、Billroth Ⅰ法とBillroth Ⅱ法に分かれます。

Distal gastrectomy Billroth

Billroth Ⅰ法は幽門側を切除した後、単純に残胃と十二指腸を端々吻合する方法です。

一方で、Billroth Ⅱ法は、十二指腸は盲端として、残胃を空腸に吻合する端側吻合を行う方法です。ブラウン吻合を加えたBillroth Ⅱ法とRoux-en-Y法を比べたメタ解析では、ブラウン吻合付きBillroth Ⅱ法は手術時間・吻合時間が短い一方で、胆汁逆流はRoux-en-Y法より多いと報告されています(Chang 2026)。

噴門側胃切除の再建法は?

噴門側胃切除の再建法は噴門に近い癌で、早期で比較的小さな癌に適応となります。

fundusectomy1

噴門部の腫瘍がある部位を切除して、食道と残胃を端々吻合します。

ただし、腸からの液の逆流(逆流性食道炎)が起こることがあるので、それを防ぐため、食道と残胃の間に空腸の一部をつなぐこともあります。噴門側胃切除後の再建法を比べた27研究・2410例のメタ解析では、逆流性食道炎の頻度は食道残胃吻合で27.3%、ダブルトラクト再建で7.6%、空腸間置で7.1%、ダブルフラップ法で9.1%と報告されています(Li 2024)。食道と空腸をつなぐ方法は逆流と吻合部狭窄が少ない一方、食道と残胃をつなぐ方法は手術時間が短く、術後の体重減少が少ないとされます。

基本的に逆流性食道炎が多く起こるので、胃の肛門側を半分以上残せる場合などに選択されることがある術式で(日本胃癌学会 2023)、噴門部近くに腫瘍がある場合は、全摘が行われることも多いです。

胃部分切除後の再建方法を動画でわかりやすく!

胃全摘術の再建法は?Roux-en-Y法とは?

胃全摘術の再建の場合は、十二指腸断端を閉鎖して、食道空腸吻合と空腸空腸吻合をするRoux-en-Y法が通常行われます。

 

Roux-en-Y

最終的な図だけ見てもどことどこをつなげたのかわかりにくいので、上のように順を追って見ていくとわかりやすいです。

  • 空腸を持ち上げて食道と吻合する点(食道空腸吻合)
  • Treitz靭帯先の空腸を持ち上げた後の空腸に吻合する点(空腸空腸吻合)

がポイントです。

また、逆流性食道炎を防ぐために、空腸空腸吻合部と食道空腸吻合部の間の空腸(挙上空腸)は、40cmを超える十分な長さをとることもポイントとされます(Salo 1990)。

胃全摘後の再建方法を動画でわかりやすく!

 

術後に起こりうる病態としてblind loop症候群があります。詳しくはこちら→blind loop症候群(盲管症候群)の原因や治療法は?イラストでわかりやすく!

 

まとめ

gastric cancer operation

  • 幽門部切除では、Billroth Ⅰ法が選択されることが多いが、施設により異なる。
  • 噴門部切除は早期癌で胃を半分以上残せる場合などに選択されることがあるが、逆流性食道炎が多く、全摘になることも多い。
  • 全摘の場合は、Roux-en-Y法で再建されることが多い。

 

 

ややこしい膵頭十二指腸切除術後の再建術もシェーマにしました。

    参考文献

    1. Japanese Gastric Cancer Association. Japanese Gastric Cancer Treatment Guidelines 2021 (6th edition). Gastric Cancer. 2023;26(1):1-25. PubMed
    2. Chang W, Delgado LM, Ng J, et al. Billroth II With Braun Anastomosis Versus Roux-En-Y Reconstruction Following Distal Gastrectomy: A Systematic Review and Meta-Analysis. World J Surg. 2026;50(3):693-702. PubMed
    3. Japanese Gastric Cancer Association. Japanese gastric cancer treatment guidelines 2025 (7th edition). Gastric Cancer. 2026;29(2):271-299. PubMed
    4. Li B, Wang Y, Li B, et al. Short-term outcomes and long-term quality of life of reconstruction methods after proximal gastrectomy: a systematic review and meta-analysis. BMC Cancer. 2024;24(1):56. PubMed
    5. Salo JA, Kivilaakso E. Failure of long limb Roux-en-Y reconstruction to prevent alkaline reflux esophagitis after total gastrectomy. Endoscopy. 1990;22(2):65-7. PubMed

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